転生!底辺ドワーフの下剋上~小さい英雄の建国記~

西の果てのぺろ。

文字の大きさ
91 / 190

第91話 王子一行との帰り道

しおりを挟む
 コウと大鼠族のヨース、ダークエルフのララノア、村長の娘カイナ、剣歯虎《サーベルタイガー》のベルは、出発の朝になり、それを確認するまでは未だ半信半疑であった。

 それは、オーウェン第三王子とその一行が自分達に同行するということにだ。

 いくらハーフエルフの妾との間に生まれた子とはいえ、やはり王家の血筋。

 さすがに異種族だらけのこのメンバーと共に、旅をするというのは無理があると思っていた。

 それだけにコウ一行が『星の海亭』の主人にお礼を言って外に出ると、オーウェン王子とその側近である黒髪、黒い目のセバス、護衛の赤髪、赤い目のカイン、青髪、青い目のアベルの四人が自前の馬車と共に待機していたことに驚かずにはいられなかった。

「本当に来たんですか!?」

 コウは思わず、オーウェン王子にそう本音を口走ってしまった。

「はははっ! 約束を交わしたのだから、当然だ。それにほら、旅装も堂に入ったものだろう?」

 オーウェン王子はそう答えると、外套の前を開いてその姿を見せる。

 確かに王子の言う通り、意外に使い込まれた革鎧に剣や鞄などは旅慣れた者のものだ。

 それは側近セバスやカインとアベルも同じで、一見すると冒険者に見えないこともない。

「わかりました。──それじゃあ、みんな、帰りの寄り道は無しということで」

 コウは王子の同行を改めて承諾すると、事前に話し合っていたのか、帰り道ついてララノア達に断りを入れた。

「なんだ? どこかに寄るつもりだったのなら、我々もそれで構わないぞ?」

 オーウェン王子は、気を遣われるのが嫌なのか、そう答えた。

「いえ、またの楽しみにします。さすがにみなさんを連れたまま、観光するわけにもいかないですし……。──あ! それと呼び方はどうしましょうか?」

 コウは王子とは口にせず、呼び方を確認する。

 旅程で「王子」などとは口が裂けても言えないからだ。

「こういう時は、いつもバルと名乗っている。だから、お前達もバルと呼んでくれ」

 オーウェン第三王子ことバルはそういうと笑顔を見せた。

「バル……、バルバロス王国のバル……? わかりました。──他の三人は?」

「我々はそのままで結構です」

 側近のセバスが、眼鏡をくいっと上げてそう応じると、護衛騎士のカインとアベルも頷く。

 三人も先日の王子の側近という姿ではなく、同じく旅装に身を包み、態度以外は旅仲間と言った見た目だ。

「よし、それじゃあ、俺達の後に付いて来てくれ」

 ヨースはそう言うと、御者台に乗り込む。

 ララノアとカイナもそれに続いて荷台に乗る。

 そして、コウはベルの背中に跨った。

「おお? ──コウはその剣歯虎の背中に乗るのか……。私も体が小さければ乗ってみたかったな……」

 オーウェン王子ことバルはベルに跨るコウを羨ましそうにそう漏らすのであったが、ヨースが馬に鞭を打って出発させたので、慌てて自分達も馬車に乗り込むのであった。


 帰り道は王都を出発して三日は何事もなく、野宿するか安宿に泊まるという王都に来た際のことをそのまま行った。

 王子が気を遣うなと言ったからだ。

 実際、オーウェン王子ことバルは、野宿にも慣れており、その準備もセバス達に任せることなく率先して動いていたから、コウとヨースは内心感心していた。

 口だけではなかったからだ。

 それはララノアとカイナも一緒で、

「本当に旅慣れているのね、バル達は」

 と実際に口にしたので、さすがにこの時には側近のセバスが、

「バルに失礼ですよ」

 とララノアに怖い顔で詰め寄るという場面があった。

 これにはバルが止めに入り、笑って済んだ。

 側近のセバスはオーウェン王子ことバルのこととなると、受け流すことを忘れるらしい。

 カインは笑ってみているし、アベルは無口なのか、黙って静観している。

 一緒に旅をして三日、この四人がどういう関係性なのかわかり始めた頃。

 周囲に民家がない街道を南下していた。

 ベルの上にはずっと乗ってみたいと言っていたララノアが跨り、結構前を先行して進んでいた。

 二台の馬車からはそのララノアとベルが見えなくなる程、距離が開いた時である。

 丁度、他の旅人や馬車がオーウェン王子ことバルの馬車に近づいた時に問題は起きた。

 突然旅人達が剣を抜き、馬車からも剣を抜いた者達が飛び出してきたのである。

 これには、前を進んでいたコウ達の馬車もさすがに気づき、ヨースが慌てて馬車を止める。

 すでにバルの馬車は何者かであるその集団に囲まれ、護衛騎士のカインとアベルが剣を抜いて対応。

 側近のセバスも馬車から飛び出し、剣を抜いて敵を威嚇しつつ、護衛騎士の二人に支援魔法を使って強化していた。

 この光景にコウ達も慌てて馬車から降りて駆け付けようとした。

 すると間に入ってきた刺客達の一人が、

「貴様らは見逃してやる。死にたくなければ、とっとと去れ」

 とコウとララノア、カイナに警告する。

「……それで去ったら、彼らの死を僕らに擦り付けるつもりでしょ?」

 コウは目撃者である自分達に刺客が寛大な態度を取る理由がないので、すぐにその企みを言い当てた。

「勘のいいガキだ……。──やれ!」

 刺客の一人が、そう命令すると背後に控えていた刺客達はコウ達に向かってくるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...