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第91話 王子一行との帰り道
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コウと大鼠族のヨース、ダークエルフのララノア、村長の娘カイナ、剣歯虎《サーベルタイガー》のベルは、出発の朝になり、それを確認するまでは未だ半信半疑であった。
それは、オーウェン第三王子とその一行が自分達に同行するということにだ。
いくらハーフエルフの妾との間に生まれた子とはいえ、やはり王家の血筋。
さすがに異種族だらけのこのメンバーと共に、旅をするというのは無理があると思っていた。
それだけにコウ一行が『星の海亭』の主人にお礼を言って外に出ると、オーウェン王子とその側近である黒髪、黒い目のセバス、護衛の赤髪、赤い目のカイン、青髪、青い目のアベルの四人が自前の馬車と共に待機していたことに驚かずにはいられなかった。
「本当に来たんですか!?」
コウは思わず、オーウェン王子にそう本音を口走ってしまった。
「はははっ! 約束を交わしたのだから、当然だ。それにほら、旅装も堂に入ったものだろう?」
オーウェン王子はそう答えると、外套の前を開いてその姿を見せる。
確かに王子の言う通り、意外に使い込まれた革鎧に剣や鞄などは旅慣れた者のものだ。
それは側近セバスやカインとアベルも同じで、一見すると冒険者に見えないこともない。
「わかりました。──それじゃあ、みんな、帰りの寄り道は無しということで」
コウは王子の同行を改めて承諾すると、事前に話し合っていたのか、帰り道ついてララノア達に断りを入れた。
「なんだ? どこかに寄るつもりだったのなら、我々もそれで構わないぞ?」
オーウェン王子は、気を遣われるのが嫌なのか、そう答えた。
「いえ、またの楽しみにします。さすがにみなさんを連れたまま、観光するわけにもいかないですし……。──あ! それと呼び方はどうしましょうか?」
コウは王子とは口にせず、呼び方を確認する。
旅程で「王子」などとは口が裂けても言えないからだ。
「こういう時は、いつもバルと名乗っている。だから、お前達もバルと呼んでくれ」
オーウェン第三王子ことバルはそういうと笑顔を見せた。
「バル……、バルバロス王国のバル……? わかりました。──他の三人は?」
「我々はそのままで結構です」
側近のセバスが、眼鏡をくいっと上げてそう応じると、護衛騎士のカインとアベルも頷く。
三人も先日の王子の側近という姿ではなく、同じく旅装に身を包み、態度以外は旅仲間と言った見た目だ。
「よし、それじゃあ、俺達の後に付いて来てくれ」
ヨースはそう言うと、御者台に乗り込む。
ララノアとカイナもそれに続いて荷台に乗る。
そして、コウはベルの背中に跨った。
「おお? ──コウはその剣歯虎の背中に乗るのか……。私も体が小さければ乗ってみたかったな……」
オーウェン王子ことバルはベルに跨るコウを羨ましそうにそう漏らすのであったが、ヨースが馬に鞭を打って出発させたので、慌てて自分達も馬車に乗り込むのであった。
帰り道は王都を出発して三日は何事もなく、野宿するか安宿に泊まるという王都に来た際のことをそのまま行った。
王子が気を遣うなと言ったからだ。
実際、オーウェン王子ことバルは、野宿にも慣れており、その準備もセバス達に任せることなく率先して動いていたから、コウとヨースは内心感心していた。
口だけではなかったからだ。
それはララノアとカイナも一緒で、
「本当に旅慣れているのね、バル達は」
と実際に口にしたので、さすがにこの時には側近のセバスが、
「バルに失礼ですよ」
とララノアに怖い顔で詰め寄るという場面があった。
これにはバルが止めに入り、笑って済んだ。
側近のセバスはオーウェン王子ことバルのこととなると、受け流すことを忘れるらしい。
カインは笑ってみているし、アベルは無口なのか、黙って静観している。
一緒に旅をして三日、この四人がどういう関係性なのかわかり始めた頃。
周囲に民家がない街道を南下していた。
ベルの上にはずっと乗ってみたいと言っていたララノアが跨り、結構前を先行して進んでいた。
二台の馬車からはそのララノアとベルが見えなくなる程、距離が開いた時である。
丁度、他の旅人や馬車がオーウェン王子ことバルの馬車に近づいた時に問題は起きた。
突然旅人達が剣を抜き、馬車からも剣を抜いた者達が飛び出してきたのである。
これには、前を進んでいたコウ達の馬車もさすがに気づき、ヨースが慌てて馬車を止める。
すでにバルの馬車は何者かであるその集団に囲まれ、護衛騎士のカインとアベルが剣を抜いて対応。
側近のセバスも馬車から飛び出し、剣を抜いて敵を威嚇しつつ、護衛騎士の二人に支援魔法を使って強化していた。
この光景にコウ達も慌てて馬車から降りて駆け付けようとした。
すると間に入ってきた刺客達の一人が、
「貴様らは見逃してやる。死にたくなければ、とっとと去れ」
とコウとララノア、カイナに警告する。
「……それで去ったら、彼らの死を僕らに擦り付けるつもりでしょ?」
コウは目撃者である自分達に刺客が寛大な態度を取る理由がないので、すぐにその企みを言い当てた。
「勘のいいガキだ……。──やれ!」
刺客の一人が、そう命令すると背後に控えていた刺客達はコウ達に向かってくるのであった。
それは、オーウェン第三王子とその一行が自分達に同行するということにだ。
いくらハーフエルフの妾との間に生まれた子とはいえ、やはり王家の血筋。
さすがに異種族だらけのこのメンバーと共に、旅をするというのは無理があると思っていた。
それだけにコウ一行が『星の海亭』の主人にお礼を言って外に出ると、オーウェン王子とその側近である黒髪、黒い目のセバス、護衛の赤髪、赤い目のカイン、青髪、青い目のアベルの四人が自前の馬車と共に待機していたことに驚かずにはいられなかった。
「本当に来たんですか!?」
コウは思わず、オーウェン王子にそう本音を口走ってしまった。
「はははっ! 約束を交わしたのだから、当然だ。それにほら、旅装も堂に入ったものだろう?」
オーウェン王子はそう答えると、外套の前を開いてその姿を見せる。
確かに王子の言う通り、意外に使い込まれた革鎧に剣や鞄などは旅慣れた者のものだ。
それは側近セバスやカインとアベルも同じで、一見すると冒険者に見えないこともない。
「わかりました。──それじゃあ、みんな、帰りの寄り道は無しということで」
コウは王子の同行を改めて承諾すると、事前に話し合っていたのか、帰り道ついてララノア達に断りを入れた。
「なんだ? どこかに寄るつもりだったのなら、我々もそれで構わないぞ?」
オーウェン王子は、気を遣われるのが嫌なのか、そう答えた。
「いえ、またの楽しみにします。さすがにみなさんを連れたまま、観光するわけにもいかないですし……。──あ! それと呼び方はどうしましょうか?」
コウは王子とは口にせず、呼び方を確認する。
旅程で「王子」などとは口が裂けても言えないからだ。
「こういう時は、いつもバルと名乗っている。だから、お前達もバルと呼んでくれ」
オーウェン第三王子ことバルはそういうと笑顔を見せた。
「バル……、バルバロス王国のバル……? わかりました。──他の三人は?」
「我々はそのままで結構です」
側近のセバスが、眼鏡をくいっと上げてそう応じると、護衛騎士のカインとアベルも頷く。
三人も先日の王子の側近という姿ではなく、同じく旅装に身を包み、態度以外は旅仲間と言った見た目だ。
「よし、それじゃあ、俺達の後に付いて来てくれ」
ヨースはそう言うと、御者台に乗り込む。
ララノアとカイナもそれに続いて荷台に乗る。
そして、コウはベルの背中に跨った。
「おお? ──コウはその剣歯虎の背中に乗るのか……。私も体が小さければ乗ってみたかったな……」
オーウェン王子ことバルはベルに跨るコウを羨ましそうにそう漏らすのであったが、ヨースが馬に鞭を打って出発させたので、慌てて自分達も馬車に乗り込むのであった。
帰り道は王都を出発して三日は何事もなく、野宿するか安宿に泊まるという王都に来た際のことをそのまま行った。
王子が気を遣うなと言ったからだ。
実際、オーウェン王子ことバルは、野宿にも慣れており、その準備もセバス達に任せることなく率先して動いていたから、コウとヨースは内心感心していた。
口だけではなかったからだ。
それはララノアとカイナも一緒で、
「本当に旅慣れているのね、バル達は」
と実際に口にしたので、さすがにこの時には側近のセバスが、
「バルに失礼ですよ」
とララノアに怖い顔で詰め寄るという場面があった。
これにはバルが止めに入り、笑って済んだ。
側近のセバスはオーウェン王子ことバルのこととなると、受け流すことを忘れるらしい。
カインは笑ってみているし、アベルは無口なのか、黙って静観している。
一緒に旅をして三日、この四人がどういう関係性なのかわかり始めた頃。
周囲に民家がない街道を南下していた。
ベルの上にはずっと乗ってみたいと言っていたララノアが跨り、結構前を先行して進んでいた。
二台の馬車からはそのララノアとベルが見えなくなる程、距離が開いた時である。
丁度、他の旅人や馬車がオーウェン王子ことバルの馬車に近づいた時に問題は起きた。
突然旅人達が剣を抜き、馬車からも剣を抜いた者達が飛び出してきたのである。
これには、前を進んでいたコウ達の馬車もさすがに気づき、ヨースが慌てて馬車を止める。
すでにバルの馬車は何者かであるその集団に囲まれ、護衛騎士のカインとアベルが剣を抜いて対応。
側近のセバスも馬車から飛び出し、剣を抜いて敵を威嚇しつつ、護衛騎士の二人に支援魔法を使って強化していた。
この光景にコウ達も慌てて馬車から降りて駆け付けようとした。
すると間に入ってきた刺客達の一人が、
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「……それで去ったら、彼らの死を僕らに擦り付けるつもりでしょ?」
コウは目撃者である自分達に刺客が寛大な態度を取る理由がないので、すぐにその企みを言い当てた。
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