転生!底辺ドワーフの下剋上~小さい英雄の建国記~

西の果てのぺろ。

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第97話 評価と勧誘

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 一等級、超魔鉱鉄製の刀に、まさかの大金貨四枚評価で、コウとイッテツは度肝を抜かれていた。

「こんなに貰っていいんですか!?」

 コウはみたことがない大金に完全にドン引きしている状態であった。

「まあ、丁度いいんじゃないか? 二人とも、バル様はこう言ってはいるが、正当な評価だと思うぞ?」

 ヨースは当然とばかりに、二人を落ち着かせるように間に入ってきた。

「「正当な評価?」」

 コウとイッテツはヨースの言葉に少し平静を保ち、疑問を口にする。

「ああ。確かに素材はバル様の持ち込みだから、高く感じるかもしれないが、一流ブランドの一等級品なんて幻過ぎて、市場に出回ることなんてほぼあり得ない。大抵はオークション行きだな。そんな一等級品に付く金額は、もっと高いぞ。うちは駆け出しのブランドだから、もっと安くなるところだが、これから伸びることを考えると丁度いい額を付けてもらったと言っていいと思う」

 ヨースはそう言うとバルことオーウェン王子の手に握られる白色に紫の模様が入った鞘に収まった刀に視線を向け、コウとイッテツの肩を叩くのであった。

「そういうことだ。まだ、無名だから値切ってもいいところだが、この一等級がまぐれで出来たものではない事を知っているからな。今後、価値が上がると見込んで、付けた値段だ」

 バルことオーウェン王子も、ヨースの言葉を引き継いで、改めて評価した。

「……そっか。──イッテツさん、やりましたね!」

 コウは正当な評価と聞いて、涙が出てくる。

 なにしろこれはドワーフが打った武器だ。

 それだけで正当な評価が付けられない可能性もある。

 だが、この国の王族が、まともな評価をしてくれたことは、とても、喜ばしいことだった。

「馬鹿野郎、泣いてどうする……。儂とお前で作った作品だぞ。評価されて当然だぞ……」

 イッテツもコウの涙にほだされて、涙目になっている。

「今日は仕事、もう終わりだな」

 二人の姿に感慨深いものがあったが、ヨースはそれを振り払うように告げた。

「うん! 今日は、僕とイッテツさんの奢りです。みんなで飲みましょう!」

 コウはそう言うと、バルことオーウェン王子一行も飲みに誘う。

「うちで払ったお金で奢ってもらうのか? ──はははっ! よし、飲むか!」

 バルことオーウェン王子は、思わず吹き出すように笑うと、コウの誘いに乗るのであった。


 飲み会はコウの自宅の庭で行われることになった。

 バルことオーウェン王子一行はそこに招待された形だ。

 コウの自宅には従魔のベルやダークエルフのララノアをはじめ、村長のヨーゼフやその娘でドワーフのカイナ、ダンカン達髭なしドワーフに医者のドクや鍛冶屋のイッテツなど友人達、さらに大鼠族のヨース達に、最近ご近所に引っ越してきたエルフのアルミナスとその彼女で猫人族のキナコなど異種族が多い中でのパーティーになった。

 これには、コウのように人とドワーフの混血である『雑種』という意味で同じくハーフエルフと人の混血であるバルことオーウェン王子も圧倒される。

「コウの周りにはいろんな種族の者が集まるのだな」

 バルことオーウェン王子は、王都で散々いろんな種族を見てきたはずだが、こんなに近い距離間で差別される種族たちと飲むのは初めてであったから、感慨深いものがあった。

「この村が、いろんな人を受け入れることができる懐の広い土地になっているからだと思いますよ」

 コウは、バルことオーウェン王子の言葉に、控えめに応じた。

「それもだが、俺は、コウの人柄が一番大きいと思うぞ!」

 ダンカンが、木のジョッキを手に、二人の会話に入ってきた。

「そうです。私達もコウのお陰でこの村からスムーズに歓迎されたと思っていますから」

 エルフのアルことアルミナスは、ご近所付き合いさせてもらっていることを感謝して、ダンカンの言葉を支持した。

 傍では彼女のキナコが何度も頷いて賛同している。

「ほう、やはりか。コウのことはここまでの道中や、ここ数日の滞在でも色々話したり観察させてもらったが、特別なものを感じるな。──どうだ、コウ。やはり、私に仕えないか?」

 バルことオーウェン王子は、王子としてもいろんな人物と会ってきたが、その中で特別と思えるタイプの人物と出会うことがあり、コウはそのタイプに重なる部分があると感じていたので改めて勧誘した。

「ちょっと、お待ちください。コウはこの村に必要な男です。いくら、あなたが王子殿下であろうとうちのコウを渡すわけにはいかないですよ」

 村長のヨーゼフがバルことオーウェン王子に挨拶をしようとしたところに、コウの勧誘を耳にして止めに入った。

「そうだ、コウは『コウテツ』ブランドを支える儂の相棒だ。譲るわけにはいかんな」

 イッテツも酔っているのか、顔を赤らめた状態で割って入ってきた。

「うちもコウのアドバイスでこの村の医療技術が上がっている。そんな人材を他所にはやれんな」

 医者のドクもみんな同様に止めに入った。

「はははっ! コウ、お前は男にモテるのだな!」

 バルことオーウェン王子は、コウを止めるのはおっさんばかりだったので、思わず笑う。

「みんなの気持ちは嬉しいけれど……。くっ! 異性にモテないのはやっぱり悲しい……!」

 バルことオーウェン王子の指摘に、コウはみんなの好意が嬉しい反面、残念そうにつぶやく。

「ふふふっ。私はコウのお陰で居場所が出来たから、コウの行くところにはどこでもついて行くわよ」

 ララノアが、そんなコウを励ますように、挙手をした。

 これにはカイナも、

「私も!」

 と挙手する。

 コウの足元で静かにお肉を食べていたベルもここぞとばかりに、

「ニャウ!」

 と返事をした。

「これは失礼。コウは男女問わず誰にでもモテる、だな。今回の勧誘は諦めよう。はははっ!」

 バルことオーウェン王子は、コウのこの村での人気が本物であることがわかると、笑って勧誘を諦め、それに対して一同はほっと安心するのであった。
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