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魔物の襲来
容疑者達
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「年寄りにはもっと優しくしてくれんかな」
レグロス率いる執務隊に連行されてたセバスは、地下にある牢に入れられた。
身に覚えのない件に関して、重要参考人つまり容疑者として扱われたセバスだったが、残してきた孫達のことを考え大人しく牢にはいる。
冷たい地面に腰を下ろしたセバスは、向かいの牢の中に見知った顔がおり驚いた表情を浮かべた。
牢の中には全身アザだらけで、気力のつきかけそうなベンダーがいた。
ベンダーは誰か牢に入ってきたというのに、まともに顔すらあげない。
「お主がそんなにボロボロになるとわ」
ベンダーは聞き覚えのある声にピクッと反応するとゆっくりと顔を上げた。
知り合いに会えたことに表情が綻んだが、場所が場所なだけに暗い面持ちになる。
「セバス隊長までこんな場所に。ドンベルのやつ何を考えているのか」
ベンダーは弱々しい声だが、怒りのこもったように言う。
しかし、セバスはベンダーの言葉に首を横に振った。
「いや、ワシのとこはレグロスの奴がやってきおったわ」
騎士団と執務隊は、管轄が全く異なる事から、セバスはドンベルの差し金ではないだろうと判断した。
「それなら、セバス隊長はこんな姿にはならないみたいですね」
容疑者とされはしたが、執務隊は容疑が確定するまではあくまでも容疑者としての扱いをする。
彼らは正しい正義の執行人とのプライドを持っており、暴力や執拗な尋問による自白の強要などはしないのだ。
それとは反して騎士団に拘束された場合は、なんとしても自白を取ろうとしてくるという噂がある。
騎士団は外敵から国を守っているが、安全な場所にいながら、権力を持つ執務隊をよく思っていない。
そのため、国内の治安に対しても力があるとアピールするために、執務隊よりも早く成果を上げ、仕事を奪ってしまおうと躍起になっているとされていた。
ただし、そういう思惑を持つのは国外に派遣される可能性のある騎士ではなく、国内で王族を守っている近衛部隊にいる騎士達であった。
かつて騎士団の隊長をしていたセバスも、噂はしっていたが利権争いに興味はなく特に気にも止めていなかった。
「ここまでやるとはの。それも身内である騎士団の隊長に対して」
しかし、ベンダーの姿を見て今になって後悔の念に駆られた様子だ。
「ドンベルの奴がいかれてるだけですよ。ドンベルが気絶した後を率いた私が魔物を追い払ったことが気に食わないのでしょう。全て自分を失墜させるために私が仕組んだ事だと宣っているようです」
ベンダーの脳裏に、自分の落ち度は棚に上げ立場を守るため、大勢の集まる場ででっち上げでしかない話を雄弁に語り、周りの空気がそうなったタイミングで、自分の手に手錠をはめにきたドンベルの表情が蘇る。
セバスはベンダーの話を聞きながら、ベンダーが指揮を取ったタイミングでレム様の力が奇跡を起こしたのだと思った。
そして、弱体化した魔物を簡単に蹴散らしたベンダーを面白く思わず、自分の地位を脅かされる事も恐れ強行に出たのだろうと推察した。
レグロス率いる執務隊に連行されてたセバスは、地下にある牢に入れられた。
身に覚えのない件に関して、重要参考人つまり容疑者として扱われたセバスだったが、残してきた孫達のことを考え大人しく牢にはいる。
冷たい地面に腰を下ろしたセバスは、向かいの牢の中に見知った顔がおり驚いた表情を浮かべた。
牢の中には全身アザだらけで、気力のつきかけそうなベンダーがいた。
ベンダーは誰か牢に入ってきたというのに、まともに顔すらあげない。
「お主がそんなにボロボロになるとわ」
ベンダーは聞き覚えのある声にピクッと反応するとゆっくりと顔を上げた。
知り合いに会えたことに表情が綻んだが、場所が場所なだけに暗い面持ちになる。
「セバス隊長までこんな場所に。ドンベルのやつ何を考えているのか」
ベンダーは弱々しい声だが、怒りのこもったように言う。
しかし、セバスはベンダーの言葉に首を横に振った。
「いや、ワシのとこはレグロスの奴がやってきおったわ」
騎士団と執務隊は、管轄が全く異なる事から、セバスはドンベルの差し金ではないだろうと判断した。
「それなら、セバス隊長はこんな姿にはならないみたいですね」
容疑者とされはしたが、執務隊は容疑が確定するまではあくまでも容疑者としての扱いをする。
彼らは正しい正義の執行人とのプライドを持っており、暴力や執拗な尋問による自白の強要などはしないのだ。
それとは反して騎士団に拘束された場合は、なんとしても自白を取ろうとしてくるという噂がある。
騎士団は外敵から国を守っているが、安全な場所にいながら、権力を持つ執務隊をよく思っていない。
そのため、国内の治安に対しても力があるとアピールするために、執務隊よりも早く成果を上げ、仕事を奪ってしまおうと躍起になっているとされていた。
ただし、そういう思惑を持つのは国外に派遣される可能性のある騎士ではなく、国内で王族を守っている近衛部隊にいる騎士達であった。
かつて騎士団の隊長をしていたセバスも、噂はしっていたが利権争いに興味はなく特に気にも止めていなかった。
「ここまでやるとはの。それも身内である騎士団の隊長に対して」
しかし、ベンダーの姿を見て今になって後悔の念に駆られた様子だ。
「ドンベルの奴がいかれてるだけですよ。ドンベルが気絶した後を率いた私が魔物を追い払ったことが気に食わないのでしょう。全て自分を失墜させるために私が仕組んだ事だと宣っているようです」
ベンダーの脳裏に、自分の落ち度は棚に上げ立場を守るため、大勢の集まる場ででっち上げでしかない話を雄弁に語り、周りの空気がそうなったタイミングで、自分の手に手錠をはめにきたドンベルの表情が蘇る。
セバスはベンダーの話を聞きながら、ベンダーが指揮を取ったタイミングでレム様の力が奇跡を起こしたのだと思った。
そして、弱体化した魔物を簡単に蹴散らしたベンダーを面白く思わず、自分の地位を脅かされる事も恐れ強行に出たのだろうと推察した。
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