採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~

一色 遥

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第2章 現実と仮想現実

第252話 バカだから

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「魔法プレイヤーの割り当てに関してですが、よろしいですか?」

 まずはと指名されたカナエさんが椅子から立ち上がり、みんなへ視線を回しながらそう口にする。
 まぁ、カナエさんだから魔法関係だとは思ってたっていうのもあるからか、みんな特に気にした様子もなくそれぞれに頷いた。

「基本的には大樹の相手をする形で決まりましたが、1点。火属性魔法をメインにしているプレイヤーに関しては、拠点側に回して頂きたいのです」
「二次災害……とは少し違うが、そんな感じの懸念か」
「ええ、ウォンさんの仰る通りです。火魔法は威力も高く、大型の魔物を相手取るときは非常に頼りになるのですが……今回は周囲が森なこともあり、周囲に飛び散った火の粉などで火事が起きる可能性があります」

 なるほど……仮に大樹に当てたとしても、大樹が燃えれば周囲の森に引火する可能性もあるし、相性的には良いんだけど、状況的には悪そうだ。
 反面、拠点側は生産プレイヤーが基本だから、戦闘面では不安があるし、割り振ればちょうど良いかな?

「僕は良いと思います。実際大樹を倒すんじゃなくて、足止めがメインですし」
「確かに。では火魔法メインのプレイヤーは拠点に残って戦ってもらうようにしよう」

 アルさんの決定に「ありがとうございます」とカナエさんが頭を下げ椅子に座る。
 それを見てからアルさんは次にヤカタさんを指名した。

 彼は「部隊の割り振りではないんだが良いだろうか?」と、椅子から立ち上がりつつ話を始めた。

「ふむ?」
「スミスの件だが……あいつはお嬢達と一緒に連れて行ってくれ。その方があいつの為になる」
「あん? スミスの為やて?」
「ああ、その通りだ。鍛冶メインのメンバーは基本的に年齢が高く、特にあいつと同じ年頃のプレイヤーは鍛冶をしているといってもかじっている程度が多い。戦闘メインのサブで鍛冶といったところだな。その関係か、どうしても同年代との接点が少なくてな……。お嬢のように歳の近い生産プレイヤーと関わりを持たせた方が、あいつにとっては良い影響になるだろう」

 低い声でゆっくりと、けれどもしっかりとした意思をもってヤカタさんは話す。
 スミスさんのこと、か……。

「それに、あいつがいれば装備のメンテくらいは出先でも可能だろう。どうだ?」
「どうだ? って言われても……」
「俺は構わんで? つーてついてくるってんなら、危険を承知でってやつや。そこは本人に聞いて見てからやで」
「ああ、それで構わない。スミスの腕はまだまだ伸びる。そのためにやれることをやってやりたい」

 どうか頼む、とヤカタさんは深く頭を下げる。
 まぁ、実際僕と一緒に来るメンバーはまだアルさんとトーマ君以外は決まってないわけだし……良いんじゃないかな?
 最終的には本人に聞いて見てから、になるけど。

「で、ラミナさんは?」
「ん。ついていく」

 ヤカタさんが椅子に座りなおしたタイミングで、僕は隣りに座るラミナさんに声をかける。
 すると彼女はひとつ頷いて、端的にそう言い放った。

「……僕に?」
「そう」
「危険かもしれないよ?」
「大丈夫。姉さんも」
「ハスタさんもかー。いいの? 勝手に決めちゃって」
「大丈夫」

 そう言ってラミナさんはしっかりと頷いた。
 まぁ、最終判断は僕が決めるわけじゃないけど……。

「アルさん、どうします?」
「良いんじゃないか? アキさんも慣れてる人が多い方が楽だろう?」
「でも危険じゃないですか? ラミナさん達、そりゃ僕よりは強いですけど……」

 「ふむ……」と僕の言葉に小さく頷き、アルさんは目を閉じた。
 きっと考えているんだろう……そう思った矢先、「なら俺の方からリュンを出そう」と全然違う方から声が上がった。

「む?」
「正直俺の方にはリュンは必要無い。あいつバカだからな……敵を見つけたら戦うことしか考えない」
「ふむ? それなら大樹や拠点に回す方が良いだろう。なぜアキさんの方へ?」
「言っただろ? あいつ、バカだからだよ」

 そう言ってウォンさんは遠くを見るように虚空に目を向けて、心底疲れたように溜息を吐いた。
 ウォンさんって所々口は悪いけど、結構面倒見が良いイメージだったんだけど……。
 いや、これはリュンさんがあまりにも、あまりにもなのかもしれない?

「あいつ、戦うことが大前提で周囲への影響なんざ気にもしない。自分の攻撃に誰かが巻き込まれても気にもしない。むしろ戦ってるときは協力ってもんが根っから分かってないように思えるときすらある。まぁ、バカだからな。ただ――」
「ただ?」
「そこのお嬢ちゃん達は仲間なのかも知れないな。あいつ、仲間以外には背中を預けないぜ? そういった相手が一緒の時は暴走しない。バカだからな……単純なんだ」

 背中を預ける……?
 そんなことってあったっけ?

「アキ。あの人」
「ん?」

 僕にだけ聞こえるくらいの小さな声で僕にそう言うと、ラミナさんはヤカタさんの方へと視線を向ける。
 ヤカタさん……?
 ああ、あの時か!

「で、どうだ? 俺としてもリュンが迷惑かけずに済む方法だから、出来ればそうしたいんだが」

 そう締めて、ウォンさんは軽く頭を掻く。
 問われたアルさんは「ふぅ……」とわざとらしく深い溜息をついてから――

 「それならば仕方ないな」と、笑った。
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