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case3 ~お父様~ #1
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「諸君は【特便】というものをご存知だろうか。
大人に訊いてもはぐらかされる・・・調べても曖昧な情報しか出てこない・・・
そんな者が大半だと思う。諸君らくらいの齢であれば、薄々どんなものかは勘づいている者も多いだろうが、これまで詳細に知る機会はなかった事であろう。
そこで本日は、普段は訊けない――特便に纏わる疑問の数々を…スッキリと融解させ、これからの人生――清く正しい、健全な性生活を送ってゆくために必要な情報をお伝えするので、是非とも真剣に傾聴していってくれたまえ。
それでは始めに、、、」
「以上をもちまして、●○区中高生健全教育支援特別講演会を終了します。講師は、多機能型特別公衆便所設置・開発等推進課課長―――様でした。皆様、今一度大きな拍手をお願い致します。」
パチパチパチパチ―――。
鳴り止まぬ喝采を背に会場を後にする…。
「先生、講演お疲れ様でした。これにて本日の業務は終了となります。既に帰りのタクシーは手配してありますので、今しばらくお待ちください。」
「ご苦労様。いつもすまないね…"マリエ"くん。」
「いいえ...先生のためとあらば、このくらい...お安い御用です。」
この子は「マリエ」くん。ワタシの秘書のような振る舞いをしてくれているが…秘書ではない。ワタシは秘書をつける程、大層な人間ではないと言っているのだが...自分が好きでやっている事だから・・・と言って聞かない、困った子だ…。とはいえ、マリエくんは秘書としても"清掃員"としても優秀で、実際のところワタシも非常に助かっている。
到着したタクシーに乗り込み、家路に着く――。
「先生、明日のスケジュールですが...午前は事務所の方で定例報告会に出席し、午後からは■△駅前に新設される大型アミューズメントパークの特便を視察、それが終わり次第本部の方へ向かうように・・・とのことです。詳細はメールの方にまとめてありますので、後ほどご確認ください。」
「本当に――、いつも助かるよ。有難う。」
「いえ――勿体ないお言葉です。それより...明日は同行できず申し訳ありません…。」
「はっはっ、いいんだよ。明日も"あの地区"での清掃かね?」
「はい。あそこの連中は、ワタシが直々に――定期的に行かないと…、見境がなくなりますから・・・。」
「そうか…。君には本当に...苦労を掛けてばかりだね・・・。そして、あの子にも――本当に悪いことをした・・・。」
「よしてください・・・全て仕方のないことです。先生は悪くありません…。」
「・・・ああ、すまないね...」
「それに…不謹慎かもしれませんが、あの一件以来――清掃員の待遇は大幅に改善されて、結果的には先生の理想へと大きく近づきました…。娘さんもきっと...喜んでくれていることでしょう・・・。」
「・・・そうだと...いいんだがね・・・。」
車内に沈黙が流れる―――。
だが、気まずい沈黙ではない。あの時と同じ・・・全てを受け入れて前に進む――そんな気持ちを再確認するかのように互いに押し黙る・・・。
「それではワタシはここで・・・」
「ああ、今日も有難う。帰りは気を付けてね。」
「ええ、それでは失礼いたします。先生もお気を付けて。」
バタン―――。
(本当に・・・いつもすまないね―――。)
大人に訊いてもはぐらかされる・・・調べても曖昧な情報しか出てこない・・・
そんな者が大半だと思う。諸君らくらいの齢であれば、薄々どんなものかは勘づいている者も多いだろうが、これまで詳細に知る機会はなかった事であろう。
そこで本日は、普段は訊けない――特便に纏わる疑問の数々を…スッキリと融解させ、これからの人生――清く正しい、健全な性生活を送ってゆくために必要な情報をお伝えするので、是非とも真剣に傾聴していってくれたまえ。
それでは始めに、、、」
「以上をもちまして、●○区中高生健全教育支援特別講演会を終了します。講師は、多機能型特別公衆便所設置・開発等推進課課長―――様でした。皆様、今一度大きな拍手をお願い致します。」
パチパチパチパチ―――。
鳴り止まぬ喝采を背に会場を後にする…。
「先生、講演お疲れ様でした。これにて本日の業務は終了となります。既に帰りのタクシーは手配してありますので、今しばらくお待ちください。」
「ご苦労様。いつもすまないね…"マリエ"くん。」
「いいえ...先生のためとあらば、このくらい...お安い御用です。」
この子は「マリエ」くん。ワタシの秘書のような振る舞いをしてくれているが…秘書ではない。ワタシは秘書をつける程、大層な人間ではないと言っているのだが...自分が好きでやっている事だから・・・と言って聞かない、困った子だ…。とはいえ、マリエくんは秘書としても"清掃員"としても優秀で、実際のところワタシも非常に助かっている。
到着したタクシーに乗り込み、家路に着く――。
「先生、明日のスケジュールですが...午前は事務所の方で定例報告会に出席し、午後からは■△駅前に新設される大型アミューズメントパークの特便を視察、それが終わり次第本部の方へ向かうように・・・とのことです。詳細はメールの方にまとめてありますので、後ほどご確認ください。」
「本当に――、いつも助かるよ。有難う。」
「いえ――勿体ないお言葉です。それより...明日は同行できず申し訳ありません…。」
「はっはっ、いいんだよ。明日も"あの地区"での清掃かね?」
「はい。あそこの連中は、ワタシが直々に――定期的に行かないと…、見境がなくなりますから・・・。」
「そうか…。君には本当に...苦労を掛けてばかりだね・・・。そして、あの子にも――本当に悪いことをした・・・。」
「よしてください・・・全て仕方のないことです。先生は悪くありません…。」
「・・・ああ、すまないね...」
「それに…不謹慎かもしれませんが、あの一件以来――清掃員の待遇は大幅に改善されて、結果的には先生の理想へと大きく近づきました…。娘さんもきっと...喜んでくれていることでしょう・・・。」
「・・・そうだと...いいんだがね・・・。」
車内に沈黙が流れる―――。
だが、気まずい沈黙ではない。あの時と同じ・・・全てを受け入れて前に進む――そんな気持ちを再確認するかのように互いに押し黙る・・・。
「それではワタシはここで・・・」
「ああ、今日も有難う。帰りは気を付けてね。」
「ええ、それでは失礼いたします。先生もお気を付けて。」
バタン―――。
(本当に・・・いつもすまないね―――。)
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