多機能型特別公衆便所 ==特便==

辻 野乃子

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case2 ~白リボンちゃんの受難~ #4

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ジュポッ―― ジュポッ――。
「うぅっ!もうっ…出るっ―――‼」

ビュッ、ビュッ―― ビュル―――。
 ・・・視界30cm程前を白濁した液体が横切る。

 6人目・・・。これで予約客は半分終わり...うん、いいペースで捌けてる。

「ふぅ…今日もよかったよ"ましろ"ちゃん。アリガトね。じゃあ!」
「うん、またお願いねー」

(あ、そうだ・・・)
 そそくさと退出しようとする男を呼び止める。

「ねえ、入る前誰か並んでた?」
「…ああ、2人並んでたよ。手前は知らない人だったけど...注意してこようか?」
「ん?あー...だいじょーぶ。多分、DMで予約くれた新規の人だから。」
「そっか…。じゃ、残り頑張って!」
「んー」
 パタン―――。

(8人目はもう来てるのか…。今日のペースだと8~9間が15分くらい空きそうだし...10分なら詰めても大丈夫そうかな。)
 残りの予約客に10分づつ前にずらして来るようメッセージを送る。


 特便内で行われるいかがわしい行為は、あくまで偶然を装ったものでなければならない。そのため、予約というシステムはおおやけには存在出来ず、こういったタイムスケジュールの管理などは清掃員が各々手探りでやり繰りしている。

 アタシの場合は、基本は予約客優先の先着順。予約客がいる間は電光掲示版に「~人待ち」と表示され、予約のない利用者は並ぶことが出来ない。

 予約客が終わったら後は並んだ順。この時間は主に――通りすがりの人や、ついさっきSNSを見たって人、あとは滅多にないけど...あぶれて予約が取れなかった人が来る時間だ。その間は、掲示板に実際の残り人数に関わらず「残り3人」と表示させておき、3人以上の列ができるのを防いでいる。あんまり長い行列ができると、近隣住民や隣で作業中の清掃員に迷惑だしね…。

 こういう細かいルールはSNSのプロフィールに載せてあるけど、如何せん文字だけでは分かり辛い…。そのため、正しく伝わらなかったり、読んですら貰えなかったりする上、そもそもSNSを見ていない通りすがりの人には一切伝わらないから、利用者全員がこのルールを守る事はほぼ不可能だ。

 そこで、何度か来ていてかつ危険の無さそうな"お得意様"たちには、ほんの少し...してあげる代わりにいろいろと協力して貰っている。"お得意様"とはグループチャットでやり取りをしていて、アタシが指定した時間に合わせて来てもらったり、さっきの人みたいに、マナーの悪い人やルールを知らない人に対して、進んで注意を促してくれる人もいる。

 中には親衛隊(非公認)なる集団も存在していて、アタシの周りの治安維持に一役買ってくれている。…ちょっとノリがうっとうしい時もあるけど...基本無害だし、ありがたい存在であることには違いない。それに...そんな連中とはいえ、囲われてチヤホヤされるのはやっぱり悪い気はしない。

 まあ...こんな感じで、今のトコは手探りながらも上手いことやれている。


 次は新規の人か。緊急通報ボタンがないからって変な気を起こさないといいけど…

(ま...大丈夫っしょ。)


コンっ、コンっ―――。

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