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case1 ~人形少女と虚空リーマン~ #7
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「・・・何があったのかは知らないけど、アタシで良けりゃ話聞くよ?」
「おばさん・・・」
そうだ・・・どうせ俺の私生活には何の関係もない人だ。
全部――話してしまおう。
「実は・・・・・・」
俺はあの日の出来事を、包み隠さずおばさんに話した―――。
おばさんは途中で口を挟む事も無く、終始真剣な様子で話を聞いてくれた。俺が一通り話し終えると、しばらく考え込んだ後にこう尋ねてきた。
「その娘に会いたいかい?」
「・・・分かりません。会って謝りたい...でも...あの少女のことを考えると、どうしても邪な想像が頭をよぎって・・・恐いんです…。次にあの娘を前にした時、俺は理性を保てないかもしれない…今度こそ犯罪者になってしまうかもしれない…」
そう―――。会いたいなんて、軽々しくは言えない・・・。
「でも――アンタ、そんなに"優しい"人間じゃないだろう?」
「・・・・・・へ?」
思いもよらない返答に脳がフリーズする。
(え...!?いや――だって、この流れ・・・え?普通、「そこまで冷静に考えられるなら大丈夫」とか言って背中押してくれるトコじゃないの?)
あまりに衝撃的な展開に返す言葉が見つからず、エサを催促する金魚みたいに口をパクパクさせることしか出来ない。
「だってそうだろう?話してる最中は、自分がどれだけ相手を気遣ったかばっかり強調してたし・・・」
グサッ―――。
「ずっと誰に対してかも分からない言い訳ばかり並べて・・・」
グサグサッ―――。
「さっきだって…その娘の気持ちなんて二の次で、自分がどうしたいだの…こうなるのが恐いだの・・・」
グサグサグサッ―――。
「・・・・・・もう...結構です。」
おばさんがくれたエサは、苦くて辛くてえぐみが強く、五臓六腑に突き刺さる。
「まあ色々言っちゃったけど――、自己愛が強いのは別に悪いことじゃないさ。自分を愛せない人間に他人は愛せないともよく言うしね。」
「・・・俺は...あの娘にも優しくできるでしょうか・・・?」
「・・・アンタ、その娘がブサイクだったら・・・それか性格がもの凄く悪かったら――それでも優しくしてあげたいかい?」
「えっ・・・!?そ、それは・・・」
俺は内心、相当ドキッとした―――。
おばさんの問いに対して、秒もしない内に浮かんだ回答は「NO」だったからだ・・・
「アンタの言う"優しい"ってのは条件ありきのモノなんだよ。見た目が好みだからとか、自分に良くしてくれるからとかね。」
「そ!そんなこと…どうしてあなたに分かるんですか!?」
「ただの勘だよ。」
「は・・・?」
「女ってのは体を重ねただけで、相手がどんな男なのか何となく分かってしまうものさ。違うって言うんならアタシの目を見てハッキリと『違う』って言ってみな。」
「・・・・・・。違いません…。」
ぐうの音も出ず――膝立ちのまま、只々立ち尽くす・・・。
(おばさん・・・もう勘弁してください...俺のライフはもう0なんです――。)
今の俺は女性という存在に対して、畏敬の念を抱かずには居られなかった・・・。
「とにかく、自分が優しい人間だなんて言いたいんなら、美人だろうがブスだろうが、嫌いな奴だとしても...見返りも求めずに、優しくできる位の器量を持つことだね。」
「そんなの...できる訳ないじゃないですか・・・。」
今し方ボコボコにされた所だというのに、どうしても納得がいかずについ反抗してしまう。
「周りは俺になんて優しくしてくれないから...他人にまで向ける優しさなんて残っていないっていうのに・・・好きでもない相手に...それも無償でなんて…無理に決まってます...」
「ああ、無理だねぇ。」
「え・・・?」
「だから、無償でなんてなくたっていいんだよ。優しさが皆にとって救いになるとは限らない…時には傷つけることさえある。100%の善意より、下心丸出しの偽善くらいの方が気兼ねなく受け取れていいってもんさ。」
「でも・・・そんなの格好悪いです・・・。」
「誰もアンタにカッコ良さなんて求めてないさ。」
(うっ・・・!)
「もっと自分の欲望に正直に生きてみな。...まあ、犯罪者にならない程度にね。」
おばさんは背中を押したつもりなのだろうが、普通に傷ついた・・・。『優しさが人を傷つけることもある』を今、この場で理解することとなった。
「おばさん・・・」
そうだ・・・どうせ俺の私生活には何の関係もない人だ。
全部――話してしまおう。
「実は・・・・・・」
俺はあの日の出来事を、包み隠さずおばさんに話した―――。
おばさんは途中で口を挟む事も無く、終始真剣な様子で話を聞いてくれた。俺が一通り話し終えると、しばらく考え込んだ後にこう尋ねてきた。
「その娘に会いたいかい?」
「・・・分かりません。会って謝りたい...でも...あの少女のことを考えると、どうしても邪な想像が頭をよぎって・・・恐いんです…。次にあの娘を前にした時、俺は理性を保てないかもしれない…今度こそ犯罪者になってしまうかもしれない…」
そう―――。会いたいなんて、軽々しくは言えない・・・。
「でも――アンタ、そんなに"優しい"人間じゃないだろう?」
「・・・・・・へ?」
思いもよらない返答に脳がフリーズする。
(え...!?いや――だって、この流れ・・・え?普通、「そこまで冷静に考えられるなら大丈夫」とか言って背中押してくれるトコじゃないの?)
あまりに衝撃的な展開に返す言葉が見つからず、エサを催促する金魚みたいに口をパクパクさせることしか出来ない。
「だってそうだろう?話してる最中は、自分がどれだけ相手を気遣ったかばっかり強調してたし・・・」
グサッ―――。
「ずっと誰に対してかも分からない言い訳ばかり並べて・・・」
グサグサッ―――。
「さっきだって…その娘の気持ちなんて二の次で、自分がどうしたいだの…こうなるのが恐いだの・・・」
グサグサグサッ―――。
「・・・・・・もう...結構です。」
おばさんがくれたエサは、苦くて辛くてえぐみが強く、五臓六腑に突き刺さる。
「まあ色々言っちゃったけど――、自己愛が強いのは別に悪いことじゃないさ。自分を愛せない人間に他人は愛せないともよく言うしね。」
「・・・俺は...あの娘にも優しくできるでしょうか・・・?」
「・・・アンタ、その娘がブサイクだったら・・・それか性格がもの凄く悪かったら――それでも優しくしてあげたいかい?」
「えっ・・・!?そ、それは・・・」
俺は内心、相当ドキッとした―――。
おばさんの問いに対して、秒もしない内に浮かんだ回答は「NO」だったからだ・・・
「アンタの言う"優しい"ってのは条件ありきのモノなんだよ。見た目が好みだからとか、自分に良くしてくれるからとかね。」
「そ!そんなこと…どうしてあなたに分かるんですか!?」
「ただの勘だよ。」
「は・・・?」
「女ってのは体を重ねただけで、相手がどんな男なのか何となく分かってしまうものさ。違うって言うんならアタシの目を見てハッキリと『違う』って言ってみな。」
「・・・・・・。違いません…。」
ぐうの音も出ず――膝立ちのまま、只々立ち尽くす・・・。
(おばさん・・・もう勘弁してください...俺のライフはもう0なんです――。)
今の俺は女性という存在に対して、畏敬の念を抱かずには居られなかった・・・。
「とにかく、自分が優しい人間だなんて言いたいんなら、美人だろうがブスだろうが、嫌いな奴だとしても...見返りも求めずに、優しくできる位の器量を持つことだね。」
「そんなの...できる訳ないじゃないですか・・・。」
今し方ボコボコにされた所だというのに、どうしても納得がいかずについ反抗してしまう。
「周りは俺になんて優しくしてくれないから...他人にまで向ける優しさなんて残っていないっていうのに・・・好きでもない相手に...それも無償でなんて…無理に決まってます...」
「ああ、無理だねぇ。」
「え・・・?」
「だから、無償でなんてなくたっていいんだよ。優しさが皆にとって救いになるとは限らない…時には傷つけることさえある。100%の善意より、下心丸出しの偽善くらいの方が気兼ねなく受け取れていいってもんさ。」
「でも・・・そんなの格好悪いです・・・。」
「誰もアンタにカッコ良さなんて求めてないさ。」
(うっ・・・!)
「もっと自分の欲望に正直に生きてみな。...まあ、犯罪者にならない程度にね。」
おばさんは背中を押したつもりなのだろうが、普通に傷ついた・・・。『優しさが人を傷つけることもある』を今、この場で理解することとなった。
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