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case0: 裏切り /Side-A #6
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今日はサークルの活動日だが、今日に限ってはテニスの練習をすることが一番の目的ではない。来るべき週末の――Y先輩の誕生日兼合コンパーティーに備え、頼もしい先輩方から色々とアドバイスを貰う予定である。
着替えを終えてテニスコートに着くと丁度、リーダー,S先輩,A先輩の3人が楽しそうに談笑していた。
「こんにちわ~っす。」
「お!来た来た。待ってたぞ~M。」
「主役のお出ましだな。」
「ハハッ、なに言ってるんですか。今回の主役はY先輩ですよ。ところで…今日はY先輩は来てないんですか?」
「うん、来てないよー。何か課題が忙しいんだって。」
「そうですか…。Y先輩とは何だかんだでまともに話したこと無いから、パーティーの前に一度くらいはちゃんと挨拶しておきたかったんですけどね。
ていうか…そんな僕が先輩の誕生日パーティーに呼ばれちゃって、本当にいいんですか?」
「いーのいーの!今回のパーティーは、身持ちの堅いYに初めてのカレシを作ってあげようって趣旨でもあるんだから。」
「初めて…?Y先輩って彼氏いたことないんですか?
あんなに美人なのに・・・。」
「そうなの!告白されたことは何回もあるのに、一回もOKしたことないんだって。中には超イケメンの読モや、超大金持ちの御曹司だって居たっていうのに信じられないよね~。」
「マジですか!でも、そんなの…尚更僕なんかじゃ絶対無理じゃないですか…。」
「いや…そうとも限らないぜ。」
「そうそう。アタシがそれとな~くYにMくんの印象を聞いてみたんだけどね……そしたら!『私と近いものを感じる』って言ったの!」
「ほ・・・本当ですか!?」
その――Y先輩の僕に対する印象は、僕がY先輩を初めて見た時に抱いた印象と同じだった。
嬉しさでつい表情が緩んでしまうが、今一度冷静になって考える。
「いやいや…だからって脈アリってことにはなりませんよねー。ハハハ…。」
「もっと素直に喜んでもいいと思うよ、M君。Yちゃんが恋人に求めているのは、顔の良さでも経済力でもない――フィーリングだ。確かに脈アリとまではいかなくとも...その点において、君は他の男より一歩リードしているとも言えるんだからね。」
「そーそー。Yってなーんか世間離れしてるってゆーかさ…そんなんで気が合うなんて人メッタにいないんだよね~。だから...そのYが自分から気が合いそうなんて言ったの、今までMくんぐらいしか居ないんだよ。もっと自信持ちなって!」
「そう言って貰えるのはありがたいですけど…やっぱり緊張しますよ…。合コンなんて初めて参加しますし、ましてや相手はY先輩なんですから…。」
「心配すんなって!その為に俺やリーダーだって参加するんだからよ。フォローは任せな!」
「何か、自分の事ばっかで忘れてましたけど…そういえば、S先輩って彼女さん居るんでしたよね。
ということは...僕の為に参加してくれるってことですよね?
…本当にありがとうございます…。」
「まあな。かわいい後輩の為ならこのくらい当然ってもんよ!」
「S先輩だけじゃなくて、リーダーもA先輩もわざわざすみません…。」
「そんなに気にしなくても大丈夫だよ。僕もフォローはするけど、普通に合コンとしても楽しむつもりだからね。確か…もう一人参加するTちゃんって、僕の事が気になるって言ってたんだよね、A?」
「そうなんですよ~。Tちゃん、リーダーのコト良い人だって信じてますからねぇ…。」
「…それはどういう意味かな?」
「ん~?そのままの意味ですよー。」
「ははっ、確かにリーダーってたまに笑顔で毒のある事言いますもんね。」
「まあ...腹黒リーダーはないとしても、アタシも一応は合コンのつもりで参加するよー。もちろん、アタシもできる限りのフォローはするけど…それでもダメだったらお姉さんが慰めてあげるからね、Mく~ん。」
「はあ…ありがとうございます。」
協力してくれるのはありがたいけれど…やっぱりこの人は何故か信用できない。言葉に重みがないというか何というか…。当然、さっきのセリフも本気ではないんだろうけど…冗談でもそういう事を言うのは個人的に頂けない。
「純粋なMをからかうんじゃねえ、クソ○ッチ。」
「ハァ……!?こんな清楚な女子大生に向かって、なんて事言うんですか!」
「大丈夫か…A?ほら僕の電子辞書貸してやるから『清楚』の意味引いてみな?それとも病院行くか?頭の。」
「ひっど~~い!!
うわ~ん、Mく~ん。二人がイジメるよぉ…慰めてー!」
「えーっと……お気の毒に?」
「ありがとー、Mくん!好き!!」
「チョロ過ぎだろ。」
「チョロ過ぎだろ。」
「ははっ...とにかく、お三方が協力してくれるなら心強いです!
今週末は、よろしくお願いします。」
いつもの練習メニューも終わり、サークル活動は解散となった。
この後は4人で食事に行き、当初の計画通り――S先輩やリーダーから合コンの極意を聞いたり、A先輩からY先輩について色々と教えて貰ったりする予定だ。
ともあれ…こんな真夏日に屋外で数時間も運動をしていたので、全員汗でビショビショである。なので一度自宅へ戻って軽くシャワーを浴び、着替えてから改めて集合することになった。
その帰り道――駅に着いたタイミングで、定期券の入った財布が無いことに気が付いた。
(しまった・・・。更衣室に忘れてきたっぽいな。)
リーダーやS先輩は予算の事とかで話し合いがあると言っていたし…今ならまだ鍵も掛かっていないかもしれない。僕は急いで大学へと戻ることにした。
着替えを終えてテニスコートに着くと丁度、リーダー,S先輩,A先輩の3人が楽しそうに談笑していた。
「こんにちわ~っす。」
「お!来た来た。待ってたぞ~M。」
「主役のお出ましだな。」
「ハハッ、なに言ってるんですか。今回の主役はY先輩ですよ。ところで…今日はY先輩は来てないんですか?」
「うん、来てないよー。何か課題が忙しいんだって。」
「そうですか…。Y先輩とは何だかんだでまともに話したこと無いから、パーティーの前に一度くらいはちゃんと挨拶しておきたかったんですけどね。
ていうか…そんな僕が先輩の誕生日パーティーに呼ばれちゃって、本当にいいんですか?」
「いーのいーの!今回のパーティーは、身持ちの堅いYに初めてのカレシを作ってあげようって趣旨でもあるんだから。」
「初めて…?Y先輩って彼氏いたことないんですか?
あんなに美人なのに・・・。」
「そうなの!告白されたことは何回もあるのに、一回もOKしたことないんだって。中には超イケメンの読モや、超大金持ちの御曹司だって居たっていうのに信じられないよね~。」
「マジですか!でも、そんなの…尚更僕なんかじゃ絶対無理じゃないですか…。」
「いや…そうとも限らないぜ。」
「そうそう。アタシがそれとな~くYにMくんの印象を聞いてみたんだけどね……そしたら!『私と近いものを感じる』って言ったの!」
「ほ・・・本当ですか!?」
その――Y先輩の僕に対する印象は、僕がY先輩を初めて見た時に抱いた印象と同じだった。
嬉しさでつい表情が緩んでしまうが、今一度冷静になって考える。
「いやいや…だからって脈アリってことにはなりませんよねー。ハハハ…。」
「もっと素直に喜んでもいいと思うよ、M君。Yちゃんが恋人に求めているのは、顔の良さでも経済力でもない――フィーリングだ。確かに脈アリとまではいかなくとも...その点において、君は他の男より一歩リードしているとも言えるんだからね。」
「そーそー。Yってなーんか世間離れしてるってゆーかさ…そんなんで気が合うなんて人メッタにいないんだよね~。だから...そのYが自分から気が合いそうなんて言ったの、今までMくんぐらいしか居ないんだよ。もっと自信持ちなって!」
「そう言って貰えるのはありがたいですけど…やっぱり緊張しますよ…。合コンなんて初めて参加しますし、ましてや相手はY先輩なんですから…。」
「心配すんなって!その為に俺やリーダーだって参加するんだからよ。フォローは任せな!」
「何か、自分の事ばっかで忘れてましたけど…そういえば、S先輩って彼女さん居るんでしたよね。
ということは...僕の為に参加してくれるってことですよね?
…本当にありがとうございます…。」
「まあな。かわいい後輩の為ならこのくらい当然ってもんよ!」
「S先輩だけじゃなくて、リーダーもA先輩もわざわざすみません…。」
「そんなに気にしなくても大丈夫だよ。僕もフォローはするけど、普通に合コンとしても楽しむつもりだからね。確か…もう一人参加するTちゃんって、僕の事が気になるって言ってたんだよね、A?」
「そうなんですよ~。Tちゃん、リーダーのコト良い人だって信じてますからねぇ…。」
「…それはどういう意味かな?」
「ん~?そのままの意味ですよー。」
「ははっ、確かにリーダーってたまに笑顔で毒のある事言いますもんね。」
「まあ...腹黒リーダーはないとしても、アタシも一応は合コンのつもりで参加するよー。もちろん、アタシもできる限りのフォローはするけど…それでもダメだったらお姉さんが慰めてあげるからね、Mく~ん。」
「はあ…ありがとうございます。」
協力してくれるのはありがたいけれど…やっぱりこの人は何故か信用できない。言葉に重みがないというか何というか…。当然、さっきのセリフも本気ではないんだろうけど…冗談でもそういう事を言うのは個人的に頂けない。
「純粋なMをからかうんじゃねえ、クソ○ッチ。」
「ハァ……!?こんな清楚な女子大生に向かって、なんて事言うんですか!」
「大丈夫か…A?ほら僕の電子辞書貸してやるから『清楚』の意味引いてみな?それとも病院行くか?頭の。」
「ひっど~~い!!
うわ~ん、Mく~ん。二人がイジメるよぉ…慰めてー!」
「えーっと……お気の毒に?」
「ありがとー、Mくん!好き!!」
「チョロ過ぎだろ。」
「チョロ過ぎだろ。」
「ははっ...とにかく、お三方が協力してくれるなら心強いです!
今週末は、よろしくお願いします。」
いつもの練習メニューも終わり、サークル活動は解散となった。
この後は4人で食事に行き、当初の計画通り――S先輩やリーダーから合コンの極意を聞いたり、A先輩からY先輩について色々と教えて貰ったりする予定だ。
ともあれ…こんな真夏日に屋外で数時間も運動をしていたので、全員汗でビショビショである。なので一度自宅へ戻って軽くシャワーを浴び、着替えてから改めて集合することになった。
その帰り道――駅に着いたタイミングで、定期券の入った財布が無いことに気が付いた。
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