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case0: 裏切り /Side-A #8
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「ところで今日のお店ってどうしますー?」
「いつも通り◆◇駅前の居酒屋でいいんじゃね?」
「了解でぇす。じゃあMくんにも伝えときますねー。」
(・・・ん…?しまった…マズい!!)
ピロリン―――ッ
一言一句聞き漏らさないよう、集中し過ぎて反応が遅れてしまった…。気付いた時には既に、僕のスマホからは新着メッセージの通知音が鳴り響いていた。
「ッ――!!誰か居るのか!」
「Mくん・・・居るんだよね。」
その声は普段のA先輩からは想像もつかない、抑揚のない――低く、重圧感のある声だった。
逃げられない……そう悟った僕は、意を決して更衣室の戸を開けた。
「M・・・お前、いつからそこに…。」
「えっと……すみません…。A先輩の声が聞こえてきて、それで気になって…」
「盗み聞きとは良い趣味をしてるね、M君。」
「それは・・・本当にすみま――」
「良いじゃないか!気に入ったよ!」
「え・・・?」
予想だにしない反応に、呆気に取られているのは僕だけでなく、A先輩やS先輩も同じのようだった。
「ちょっ…リーダー?一体どういうつもりですかぁ?」
「どういうつもりも何も…どうせ当日はMくんも誘うつもりだっただろ。なあ、S?」
「お・・・おう。そうだな…。」
「先に言ってしまったらM君もソワソワして落ち着かないだろうと思って、当日までは黙っているつもりだったけど...先輩の会話を盗み聞きする位の度胸と図太さがあるのなら、どうやら余計な心配だったようだね。」
・・・なんだ…?リーダーの話し方や様子は普段と変わらない――温厚で落ち着き払ったものである。
それなのに…この場に居る全員に、余計なことは一切喋らせない……そんな異様な迫力があった。
「さて、どこから聞いていたのかは知らないから改めて説明しようか。とはいえ...簡単に言ってしまえば、Yちゃんを酔わせて家に連れ込もうってだけの話だよ。」
概ね予想通りではあるけれど、こうして改めてハッキリ聞かされると…やっぱりショックだ。
リーダーやS先輩への信頼が崩れてしまったからだろうか?それとも、Y先輩がそんな目に遭わされようとしていることを知ってしまったからか…どちらにせよ、ショックだった。
「二十歳の誕生日だから・・・ですか。」
「そう。やっぱり話が早くていいねぇ、M君は。もう少し言うと…Aが初心者向けだと偽って、度数の強いお酒をYちゃんに飲ませる。そして、慣れないお酒で思考も警戒心も麻痺したYちゃんを、Sの車に乗せてそのままお持ち帰り…という訳さ。」
「それって…危なくないんですか?」
「大丈夫さ。大抵の女の子は動画を撮影しておいて、それを種に脅しをかければ何も言えないよ。もっとも...相手を選ぶ必要はあるけれど、その点Yちゃんなら心配ない。基本的に大人しい子だし、Aの話だと何やら複雑な家庭で育ったらしいから、友人や両親にバラされたくなければ誰にも言うな…とでも言っておけば問題ない。」
・・・違う。そんなどうでもいい事を心配していたんじゃない。僕はY先輩がアルコールに弱い体質だったら「危ない」と言ったんだ…。
――でも、これでハッキリした。この人は正真正銘のクズだ。
僕の受けた失望は、気付けば怒りへと変わっていた。
「だから何も心配は要らないよ、M君。こちらとしても…君を差し置いて先にYちゃんを頂いてしまうのは、申し訳ないと思っている。それに『初めて』同士の方がYちゃんにとっても良いだろうし、もし君が来るなら1番は君に譲ろうと思っているけど...M君はこの話、乗るかい?」
「そんなの決まってるじゃないですか・・・」
「ああ、そうだね――。」
「乗るワケねぇだろ、クソ野郎が。」
「いつも通り◆◇駅前の居酒屋でいいんじゃね?」
「了解でぇす。じゃあMくんにも伝えときますねー。」
(・・・ん…?しまった…マズい!!)
ピロリン―――ッ
一言一句聞き漏らさないよう、集中し過ぎて反応が遅れてしまった…。気付いた時には既に、僕のスマホからは新着メッセージの通知音が鳴り響いていた。
「ッ――!!誰か居るのか!」
「Mくん・・・居るんだよね。」
その声は普段のA先輩からは想像もつかない、抑揚のない――低く、重圧感のある声だった。
逃げられない……そう悟った僕は、意を決して更衣室の戸を開けた。
「M・・・お前、いつからそこに…。」
「えっと……すみません…。A先輩の声が聞こえてきて、それで気になって…」
「盗み聞きとは良い趣味をしてるね、M君。」
「それは・・・本当にすみま――」
「良いじゃないか!気に入ったよ!」
「え・・・?」
予想だにしない反応に、呆気に取られているのは僕だけでなく、A先輩やS先輩も同じのようだった。
「ちょっ…リーダー?一体どういうつもりですかぁ?」
「どういうつもりも何も…どうせ当日はMくんも誘うつもりだっただろ。なあ、S?」
「お・・・おう。そうだな…。」
「先に言ってしまったらM君もソワソワして落ち着かないだろうと思って、当日までは黙っているつもりだったけど...先輩の会話を盗み聞きする位の度胸と図太さがあるのなら、どうやら余計な心配だったようだね。」
・・・なんだ…?リーダーの話し方や様子は普段と変わらない――温厚で落ち着き払ったものである。
それなのに…この場に居る全員に、余計なことは一切喋らせない……そんな異様な迫力があった。
「さて、どこから聞いていたのかは知らないから改めて説明しようか。とはいえ...簡単に言ってしまえば、Yちゃんを酔わせて家に連れ込もうってだけの話だよ。」
概ね予想通りではあるけれど、こうして改めてハッキリ聞かされると…やっぱりショックだ。
リーダーやS先輩への信頼が崩れてしまったからだろうか?それとも、Y先輩がそんな目に遭わされようとしていることを知ってしまったからか…どちらにせよ、ショックだった。
「二十歳の誕生日だから・・・ですか。」
「そう。やっぱり話が早くていいねぇ、M君は。もう少し言うと…Aが初心者向けだと偽って、度数の強いお酒をYちゃんに飲ませる。そして、慣れないお酒で思考も警戒心も麻痺したYちゃんを、Sの車に乗せてそのままお持ち帰り…という訳さ。」
「それって…危なくないんですか?」
「大丈夫さ。大抵の女の子は動画を撮影しておいて、それを種に脅しをかければ何も言えないよ。もっとも...相手を選ぶ必要はあるけれど、その点Yちゃんなら心配ない。基本的に大人しい子だし、Aの話だと何やら複雑な家庭で育ったらしいから、友人や両親にバラされたくなければ誰にも言うな…とでも言っておけば問題ない。」
・・・違う。そんなどうでもいい事を心配していたんじゃない。僕はY先輩がアルコールに弱い体質だったら「危ない」と言ったんだ…。
――でも、これでハッキリした。この人は正真正銘のクズだ。
僕の受けた失望は、気付けば怒りへと変わっていた。
「だから何も心配は要らないよ、M君。こちらとしても…君を差し置いて先にYちゃんを頂いてしまうのは、申し訳ないと思っている。それに『初めて』同士の方がYちゃんにとっても良いだろうし、もし君が来るなら1番は君に譲ろうと思っているけど...M君はこの話、乗るかい?」
「そんなの決まってるじゃないですか・・・」
「ああ、そうだね――。」
「乗るワケねぇだろ、クソ野郎が。」
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