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case4 ~漁師町の雪女~ ーother sideー #7
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「ま…いつも居るってのは流石に言葉の綾だが……俺っちの知る限りでは姉ちゃんが"いつもの時間"に居なかった日は、一日たりともねえ。」
「いつもの時間...ッつーと、夕方4時から8時までだよな?言われてみりゃ…確かにいっつも居んな…。」
「俺達の仕事も特に曜日が決まってる訳じゃねえ。それなのに…一度も姉ちゃんのオフの日と被ったことが無い、ってのも妙な話だ。」
「・・・もしかして、姉ちゃんには休みの日なんてねえだか・・・?」
「実際、そうとしか考えられねえんだよな…。いくら一日4時間...ツっても、仕事内容が内容なだけに…年中無休はどう考えても異常だ。固定給がある以上、生活に困る程の金欠とは考え辛い。そんだけのスキモノ...って線も、あの姉ちゃんに限ってはありえねえし・・・そうなったら借金と考えるのが妥当じゃねえか?」
「確かにそうかもしんねえが……だとしても借金とは限らないんじゃねえか?理由は分かんねえけど…纏まった金が必要とかよお。」
「金が必要だから休みも無く働いてる……なんて単純な話じゃないんスよ。第一…姉ちゃんほどの美貌があった上で体を売ろうって発想になるんなら、援交やパパ活、風俗なんかの方が遥かに稼げる筈ですしね。」
「そうか?掃女も掃女で結構稼げるって聞いたことあるだが・・・。」
「掃女が稼げるってのは、金じゃなくてポイントっスよ。【思いやりポイント】を食料や日用品なんかと交換する場合、その交換レートは大体"1ポイント=1円"くらいっス。」
「・・・そう聞くと、意外と安い気がすんな・・・。」
「ま、本番アリで一発1万円と考えるとそうかもな。ただ…賞味期限が近い食品や訳あり商品、あとは廃棄品なんかと交換する場合――そのレートは3~5倍にも跳ね上がる。巷で稼げると言われてるのは、ポイントを全部そういうのと交換した場合に限っての話だな。逆に換金なんてしようもんなら、その価値は"10ポイント=1円"にまで落ちるんで…まあ基本、そっちには使われてないっスね。」
「なるほど…掃女は生活費は稼げても、金が稼げるって訳ではねえんだな。
...んだども、金が目的じゃねえってんなら何が目的なんだ?」
「そりゃあ、借金の返済っスよ。」
「・・・借金があるなら、金が必要なんじゃねえだか・・・?」
「う~ん…微妙に説明が難しいな……。借金を返す手段が金だけとは限らない...つーと伝わるか?」
「おお!そういう展開なら覚えがあるぜ。
『金で払えないなら、そのカラダで払ってもらおうか……。グッヘッヘッヘッ―――』みてえなやつだな!!」
「お…おぅ、まあそんな感じっスね…。要はそれの国版って事っス。より具体的に言うなら――国からの借金を【思いやりポイント】で返済できる制度があって、現金での返済よりもそっちのが幾らか効率が良い...ってのが俺っちの推理よ。」
「確かに…特便が国の運営してる施設だって考えると、そういう制度があってもおかしくはねえか。」
「だろう?…それに、そう考えると他の疑問点についてもいろいろ納得がいくんスよ。」
「・・・他の疑問点・・・?」
「そう、それは…【管理人】が何処から来るのか、だ。」
「どこから来るか…って、フツーに募集かけて集めてるんじゃねえのか?」
「ところが…大手の求人サイトにもハロワにも、そんな求人が出てたなんて情報――今まで一度もないんスよ。」
「・・・じゃあ、国家機関の関係者の中から選ばれてる・・・とかか・・・?」
「その可能性も無くはねえが…聞くところによると【管理人】てのは、やたらと"綺麗な女"が多いらしいんだよ。」
「そいつは初耳だけんども……姉ちゃんの例もあるし、妙に信憑性のある噂だな…。」
「今や特便は全国に300以上あって、それと同じだけの管理人が存在するはずだ。お国勤めのお堅い連中集団の中に、そんな人材がゴロゴロ居ると思うか?」
「・・・まあ、考え辛れえだな・・・。」
「…んだども、募集以外でぺっぴんな姉ちゃんを300人も集める方法...ッてーと・・・スカウトくらいしかなくねえか?」
「だろうな。」
「マジかっ!!風営法どこいった?!」
「いや…そういう路上でやるタイプじゃなくて、目ぼしい人間に打診する方っスよ。」
「・・・目ぼしい人間・・・?」
「奨学金の返済で首の回らない新卒、重病患者の家族、生活保護受給者、シングルマザー・・・そのあたりか。要するに、国からの支援がねえと厳しいって人間だな。」
「そうか!そこに繋がってくんのか・・・。
けどよぉ…それにしたって、姉ちゃんは何でわざわざ"この町"を選んだんだ?ほら、さっきお前が言ってたじゃねえか。この町は閉鎖的で収入源が限られてる、とか何とか…。」
「そう!まさにそこなんスよ。ポイントを稼ぐなら人の多いトコがいいだなんて事、姉ちゃんだって百も承知だろう。…にも係わらずだ。こんな辺境の地で、何かの制限でも受けてるかのように、16:00~20:00の勤務を毎日のように繰り返してる。これは本当に姉ちゃんの意志なのか?」
「そうか…そこは自分で選べるワケじゃねえのかもな…。考えてもみりゃあ・・・そこもおかしな話だよな。本来なら掃女って、もっとこう…好きな時間に好きな場所で好きなだけ働ける、みてえな話だし…」
「・・・姉ちゃんが特別だからって、何となく受け入れてただな・・・。」
「実際、ソコは間違ってねえ。姉ちゃんが特別・・・もとい【管理人】だからって事で、一応説明はつくからな。清掃員は参加自由なボランティアだが、管理人は国から正式に雇われた従業員だ。こんな過疎地への転勤も、時間固定かつ週7の異常なシフトも…おそらくは上からの指示だろう。」
「週7って・・・ソレ、労基かなんかに引っ掛かんねえのか?」
「余裕で引っ掛かるっスね。ただ……1週間のうち一日だけ、ボランティアの清掃員として出てるとすれば…?」
「・・・。酷っでえだな・・・。」
「酷っでえな……。要は、借金に付け込んで風俗堕ちさせた挙句――言いなりにして都合よく使い潰そう…ってな話だろ?ンなもん最早ヤクザのやり口じゃねえか…。」
「需要の落ちてきた風俗嬢が、掃女や管理人に転身する…なんてケースもあるらしいし、国もヤクザも存外――裏ではズブズブなのかもしれませんね…。」
「いつもの時間...ッつーと、夕方4時から8時までだよな?言われてみりゃ…確かにいっつも居んな…。」
「俺達の仕事も特に曜日が決まってる訳じゃねえ。それなのに…一度も姉ちゃんのオフの日と被ったことが無い、ってのも妙な話だ。」
「・・・もしかして、姉ちゃんには休みの日なんてねえだか・・・?」
「実際、そうとしか考えられねえんだよな…。いくら一日4時間...ツっても、仕事内容が内容なだけに…年中無休はどう考えても異常だ。固定給がある以上、生活に困る程の金欠とは考え辛い。そんだけのスキモノ...って線も、あの姉ちゃんに限ってはありえねえし・・・そうなったら借金と考えるのが妥当じゃねえか?」
「確かにそうかもしんねえが……だとしても借金とは限らないんじゃねえか?理由は分かんねえけど…纏まった金が必要とかよお。」
「金が必要だから休みも無く働いてる……なんて単純な話じゃないんスよ。第一…姉ちゃんほどの美貌があった上で体を売ろうって発想になるんなら、援交やパパ活、風俗なんかの方が遥かに稼げる筈ですしね。」
「そうか?掃女も掃女で結構稼げるって聞いたことあるだが・・・。」
「掃女が稼げるってのは、金じゃなくてポイントっスよ。【思いやりポイント】を食料や日用品なんかと交換する場合、その交換レートは大体"1ポイント=1円"くらいっス。」
「・・・そう聞くと、意外と安い気がすんな・・・。」
「ま、本番アリで一発1万円と考えるとそうかもな。ただ…賞味期限が近い食品や訳あり商品、あとは廃棄品なんかと交換する場合――そのレートは3~5倍にも跳ね上がる。巷で稼げると言われてるのは、ポイントを全部そういうのと交換した場合に限っての話だな。逆に換金なんてしようもんなら、その価値は"10ポイント=1円"にまで落ちるんで…まあ基本、そっちには使われてないっスね。」
「なるほど…掃女は生活費は稼げても、金が稼げるって訳ではねえんだな。
...んだども、金が目的じゃねえってんなら何が目的なんだ?」
「そりゃあ、借金の返済っスよ。」
「・・・借金があるなら、金が必要なんじゃねえだか・・・?」
「う~ん…微妙に説明が難しいな……。借金を返す手段が金だけとは限らない...つーと伝わるか?」
「おお!そういう展開なら覚えがあるぜ。
『金で払えないなら、そのカラダで払ってもらおうか……。グッヘッヘッヘッ―――』みてえなやつだな!!」
「お…おぅ、まあそんな感じっスね…。要はそれの国版って事っス。より具体的に言うなら――国からの借金を【思いやりポイント】で返済できる制度があって、現金での返済よりもそっちのが幾らか効率が良い...ってのが俺っちの推理よ。」
「確かに…特便が国の運営してる施設だって考えると、そういう制度があってもおかしくはねえか。」
「だろう?…それに、そう考えると他の疑問点についてもいろいろ納得がいくんスよ。」
「・・・他の疑問点・・・?」
「そう、それは…【管理人】が何処から来るのか、だ。」
「どこから来るか…って、フツーに募集かけて集めてるんじゃねえのか?」
「ところが…大手の求人サイトにもハロワにも、そんな求人が出てたなんて情報――今まで一度もないんスよ。」
「・・・じゃあ、国家機関の関係者の中から選ばれてる・・・とかか・・・?」
「その可能性も無くはねえが…聞くところによると【管理人】てのは、やたらと"綺麗な女"が多いらしいんだよ。」
「そいつは初耳だけんども……姉ちゃんの例もあるし、妙に信憑性のある噂だな…。」
「今や特便は全国に300以上あって、それと同じだけの管理人が存在するはずだ。お国勤めのお堅い連中集団の中に、そんな人材がゴロゴロ居ると思うか?」
「・・・まあ、考え辛れえだな・・・。」
「…んだども、募集以外でぺっぴんな姉ちゃんを300人も集める方法...ッてーと・・・スカウトくらいしかなくねえか?」
「だろうな。」
「マジかっ!!風営法どこいった?!」
「いや…そういう路上でやるタイプじゃなくて、目ぼしい人間に打診する方っスよ。」
「・・・目ぼしい人間・・・?」
「奨学金の返済で首の回らない新卒、重病患者の家族、生活保護受給者、シングルマザー・・・そのあたりか。要するに、国からの支援がねえと厳しいって人間だな。」
「そうか!そこに繋がってくんのか・・・。
けどよぉ…それにしたって、姉ちゃんは何でわざわざ"この町"を選んだんだ?ほら、さっきお前が言ってたじゃねえか。この町は閉鎖的で収入源が限られてる、とか何とか…。」
「そう!まさにそこなんスよ。ポイントを稼ぐなら人の多いトコがいいだなんて事、姉ちゃんだって百も承知だろう。…にも係わらずだ。こんな辺境の地で、何かの制限でも受けてるかのように、16:00~20:00の勤務を毎日のように繰り返してる。これは本当に姉ちゃんの意志なのか?」
「そうか…そこは自分で選べるワケじゃねえのかもな…。考えてもみりゃあ・・・そこもおかしな話だよな。本来なら掃女って、もっとこう…好きな時間に好きな場所で好きなだけ働ける、みてえな話だし…」
「・・・姉ちゃんが特別だからって、何となく受け入れてただな・・・。」
「実際、ソコは間違ってねえ。姉ちゃんが特別・・・もとい【管理人】だからって事で、一応説明はつくからな。清掃員は参加自由なボランティアだが、管理人は国から正式に雇われた従業員だ。こんな過疎地への転勤も、時間固定かつ週7の異常なシフトも…おそらくは上からの指示だろう。」
「週7って・・・ソレ、労基かなんかに引っ掛かんねえのか?」
「余裕で引っ掛かるっスね。ただ……1週間のうち一日だけ、ボランティアの清掃員として出てるとすれば…?」
「・・・。酷っでえだな・・・。」
「酷っでえな……。要は、借金に付け込んで風俗堕ちさせた挙句――言いなりにして都合よく使い潰そう…ってな話だろ?ンなもん最早ヤクザのやり口じゃねえか…。」
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