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女神の言い訳タイム
しおりを挟む「さぁ、お前の罪を数えろ」
「どこの仮面探偵ですか」
何でネタが分かるんだよこの女神。
まさかニチアサ見てたのか?
気を取り直して腕を組み、さてと考える。
何から聞いたもんだろうか。
「とりあえず最初に。街は街でも魔王領だったんだけど」
「すみません、それは私も知らなかったんです。『千里眼』スキルで周りを見渡して人が居るのを確認しただけなので」
なんだその便利そうなスキル。
「『ウサギ』スキルいらないからそれ寄越せよ」
「神様特権なので無理です! あ、ちょ、デコピンはやめてくださいっ!」
あ、デコ押さえて逃げやがった。
ドヤ顔すんな、腹立つわー。
でもやっぱり悪意は無かった訳だ。これに関してはエルンハルトさん達と出会えたから良しとしよう。
「んじゃ次。なんだあのステータス」
「ステータス? 何かおかしなところでも?」
「ツッコミ所しかねぇわ。とりあえず能力値のプラス補正、なんなのあれ」
一部が魔王超えてんだが。
てかなんだよ、プラス80って。
「あー、言い忘れてました。それ私の加護のせいですね。ランダムで三種類のステータスにボーナスが付きま、やめてデコピンやめてェ!」
おい腕を離せ。抵抗してんじゃねぇ。
「あ、でもほら! 『格闘』スキルは護身に使えますよ!」
「『拳を極めし者』って称号ついてんだけど?」
「大は小を兼ねるって言いますしガハァッ!?」
抵抗する間もなくデコピン。
結構勢いよく仰け反ったなー。
「『成長速度20倍』と『状態異常無効』は?」
「うぅ……それも私の加護です」
「いや、せめて説明しとけよ」
説明不足すぎるんだよ、こいつ。
「てか、ステータスって他の人も見れるの?」
「その場合は専用の魔導具を使う必要があります。教会とかに置いてありますね」
「なるほどね。じゃあいきなりバレる心配はないのか」
そこんところは安心だ。こんなもん見られたらどうなるか分からないし。
「あ、あとさ。ライラって知ってる? 自称女神なんだけど」
「ライラさんですか? いえ、知らない方ですね。でも神族もたくさんいますし、管轄が違うと顔を合わせないから何とも言えません」
「んー、そっか」
こっちは正体不明のままか。
ふわふわ浮いてたし、少なくとも一般人じゃないだろうけど。
「最後に。こっちに来てやたらと同性に好かれるんだけど、何かした?」
「んー? それは関係ないと思いますよ。『愛』スキルは性別関係無しに生物共通なので、特定の性別だけに作用したりしませんから」
なるほど。それに関しては出会った人達の嗜好なのね。
うーん。別に嫌な訳では無いんだけど、私が求めてるのはGLじゃなくてBLなんだよなー。
「よし分かった。他に隠してることは無い?」
「えーと……多分ないと思います」
「おっけ。てかさ、実はアテナってかなり偉い神様だったりすんの?」
ステータスの上がり方とか普通じゃないし。
ただのポンコツ女神だと思ってたけど、実は凄い神様なのかもしれない。
「偉いっていうか最高神の一柱ですね」
「……なんて?」
「三柱いる最高神の一柱です。上から二番目に偉いです」
まじか。大丈夫か天界。
「詳しく聞こうか」
「えーとですね。天界には神族が居るんですけど、階級が四つに別れています。一番上が創造神様、次に私たち最高神、その下が上級神で最後が下級神です。
下に行くほど数が増えていって、最高神は三柱しかいませんね。
普通は上級神までしか地上には来ません」
「なるほど。他の最高神はどんな属性なの?」
「主に司っているのは『太陽』と『夜』です。ちなみに私は『生命』ですね」
初耳なんだが。
そんなまともな属性持ってんのかお前。
「という訳なので、本来なら崇め奉られる立場なのですよ」
「でも実態はこれだからなぁ……」
黙って立ってれば神々しいのに。
「あれ? 何か冷めた目で見られてる気がするんですけど」
「安心して、気のせいじゃないから」
「それなら良かっ……え?」
「そんな事よりお腹空いたなー。何か食べるものない?」
「あ、はい。マクドナル〇のメニューと生のゴーヤならあります」
何でゴーヤ持ってんだこいつ。
「……テリヤキで」
「かしこまりました!」
ひょいと何も無い所から緑のトレイに乗ったテリヤキのセットを渡された。
マジで便利だなこれ。
アテナは自分の分のテリヤキセットを取り出して手を離し……落ちない、だと?
魔法か何かか? 無駄に高性能だなこいつ。
「そうだ、ちょっと気になってたんだけどさ」
「はんへふは?」
「仮にだけど、私がこの世界を征服しようとしたらあんたはどうするの?」
世界征服に限らず、私のステータスなら何でも好き勝手できるだろうし。
やりすぎた場合は神族が止めに来るんだろうけど、その時アテナはどうするんだろうか。
いや、そんな面倒臭そうな事しないけど、何となく気になって。
そんな私の問いかけに。
「ん? どうもしませんよー」
嬉々としてジャンクフードを食べながら、人外の美貌を持つ女神は言う。
「『生命』を司る私にとってこの世界の生き物は全て同価値ですからね」
そう告げた彼女はとても自然体で。
「私が特別視してるのはリリィさんだけです。異世界から来た、貴女だけですね」
「……そっか」
全ての生物が同価値。それはつまり、全て大事で、同時に全てどうでも良いと言うことだ。
とても博愛主義であり、酷く薄愛主義。
それがこいつの価値観らしい。
なるほど。どれだけ似ていても人とは違う生き物なんだな。
「そんなことよりポテト冷めますよ」
「そだね。早く食べちゃおうか」
二人して黙々と食べ進める中で。
ふと、思った。
「ねぇ。まさかとは思うけど、あんたも私に恋愛感情持ってたりすんの?」
「やだなー。『愛』スキルは私の加護ですよ? 私には効果が無いです」
突然の問いかけに、アテナは朗らかに笑いながら手をパタパタと振る。
ふむ、それもそっか。
モグモグ。
「……いや待て、それ肯定にも否定になってないよな?」
『愛』スキルの効果で生き物から好かれやすくなるってだけで、好きという感情があるかどうかは別問題だろ。
「さて! ご飯も食べたので帰りますね! ではまた!」
「あ、ちょっ……」
出てきた時と同じく突然消えやがった。
うーん……まぁいいや。また今度聞いてみよ。
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