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「アレク様、素敵なドレスありがとうございます」


そう言って微笑むのは、僕の可愛い婚約者のリア。
本当の名前はマリアーナと呼ぶが婚約して7年目。
お互い略称で呼ぶようになった。
僕の18歳の誕生日の日に結婚する予定が決まっていて、
あと1年でリアを自分のものにできる。
婚約者という立場だが、リアが可愛くて仕方ない僕は公爵家にお願いして、リアの着るドレスは僕が用意している。

そうすれば、お礼のために会いに来てくれるリアに会える。
リアに会う機会が少し増えるのだ。
公爵はリアがお嫁に行くことに対して、喜ばしい気持ちもあるが、それ以上にリアが可愛くて仕方なく今は家族の時間を大切にさせてくれと言うかのようにあまりリアを僕の元に連れてきてくれない。
でも、それももうあと1年なのだ。
あと1年でリアは僕と一緒に住む。

正直、これまでが長すぎて早く1年経って欲しいと思う。

「リア、今日も珍しいお花が咲いたんだ、裏庭の温室に行こう?」

そういうと、リアがぱあっと顔が明るくなり、僕の腕にしがみついて早く早くというかのように裏庭の方に向かおうとする。
こんなところも可愛い。

「アレク様!早く見たいですわ!
私に珍しいお花を見させてくださいませ!」

先程ドレスを喜んでいた時以上に喜びながら僕の横で笑っている。
ドレスを渡した時のリアも可愛いがやはり一番可愛いのは花を見る時のリアだ。
初めて会った日も花を見ているリアは格別に可愛くて、絶対にこの子をものにして見せようと自分の中で決めていた。

しかしこの生活にも邪魔者がいる。
それが隣の国の皇女リアスだ。
今日は邪魔に入るなよと思うが、そういう時に来るのが彼女だ。

「アレクシス、ごきげんよう。
なにをごらんになられようとしていらっしゃるの?」

ああ、今日も来てしまった。
しかし、少しでも嫌な顔をして見せると僕の父親でもある国王に泣きつく。
残念ながら、隣の国は帝国と言われるくらいには大きな国で僕らの国では属国にされないようにするだけでも精一杯なのだ。
そして、こうなるとあとはもういつも通りの展開。

「殿下、私は控えさせて頂きますので、
どうぞ皇女様とお楽しみになさってくださいませ」

こんなことを言うために学んだ訳では無いはずの王妃修行で培った自分の感情を見せなくする笑顔と共に
リアは僕から離れてしまう。

このこうじょが現れてから、
この日常が当たり前になってしまった。
それも三ヶ月前の出来事だ。

父の代わりに帝国に外交をしに行った時、
たまたま出会ってしまったのがこの女だった。

そこから僕達の未来は狂いだしたのだ。
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