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迎えの馬車のなか
子供じみた独占欲
しおりを挟む誉めて損した。
理紗は心のなかでため息をついた。
向かいではエドアルドがじっと窓の外をにらむように見つめている。なんとも気まずい空気である。
これから舞踏会だというのにこんな雰囲気のままでは息が詰まる。
仕方ない。ここは年上のこちらが折れるか……。
「…エド」
「……」
「エド」
「……」
「江戸」
さっとエドアルドがこちらを見た。イントネーションが気に入らないのだろう。
「機嫌直してよ。次からは事前にドレスを確認してもらうから。ね?」
「……」
「そんなにこのドレスがいや? どのあたりが気に入らないの」
今後の参考までに聞くと、ようやくエドアルドが口を開いた。
「セクシーすぎる」
え…そうかな。谷間は見えてないけど。
「…品がない?」
「ちがう。そうではなくて…」
もどかしげに続ける。
「それを着たきみは美しすぎる。たしかに少々派手だがやりすぎではない。きみの雰囲気やローズレッドの瞳と実によくマッチしている。それにそのくちびる」
じっと見つめられ、思わず手で口許を隠した。今夜はドレスと揃いの真っ赤なルージュをひいていた。
「──すごくそそる。まるで罪深い果実のようだ。いますぐにでも味わいたくてたまらない」
焼けつくような熱い瞳でささやかれ、ほほが赤らむのを感じた。こんなストレートな口説き文句は生まれてはじめてだった。
「頼む、メアリローズ。一度だけでいい。許すと言ってくれ」
許す…?
「な、なにを」
「──きみに口づけを捧げたい」
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