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王宮舞踏会 ~入園セレモニー・夜の部~
アンジー&リンジー
しおりを挟む「「お姉さまたちのファースト・ダンス、とっても素敵でしたわっ」」
「あ、ありがとう。えーと…」
シンクロしてるこのふたり、名前なんだっけ。…まあいいか。
「ね、パウダールームがどこかご存じ?」
理紗はとりあえず話をそらした。そしてこの場から離れたかった。
黒い髪の子が…そうだリンジーだ。リンジーが不思議そうな顔をした。
「パウダールームでしたらこちらからが近いですけど…王子はご一緒ではありませんの?」
「えぇ、ちょっとはぐれたみたい。ありがとう」
ふたりに礼を言い、理紗は示された方角に進んだ。
しかし見つけたパウダールームは人だかりで当分入れそうもない。
順番待ちだかただの世間話だかわからない人混みに辟易し、もっと空いているところはないかと長い回廊を奥へとすすんでいった。
やがて前方から人の気配がし、数人の騎士に囲まれた高貴そうな男性が歩いてくるのが見えた。
理紗は慌てて近くの角を曲がり、柱の影に身を潜めた。
見目麗しいイケメンは攻略対象の可能性が高い。できれば関わりたくはない。
するとすぐそばのドアが開き、先程見かけたネグリジェ姿の少女が辺りをうかがいながら出てきた。
理紗に気づくと不振そうな目で見、そのまま行きすぎようとする。
けれども例の男性たちを目にして慌ててきびすを返した。
「待って…!」
理紗はとっさに少女のあとを追い、同じドアのなかに身を滑り込ませた。
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