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王宮舞踏会 ~入園セレモニー・夜の部~
今夜は帰さない
しおりを挟むやだ、やりすぎちゃった…?
「さあ行こうメアリローズ」
腰に腕を回し、エドアルドがボールルームから出ようとする。
理紗は焦ってその手をはずそうとするが、まったくびくともしない。
こんなはずじゃなかった。
──普通に家に送ってくれればいいのよっ!
「明日もあるし今日はこのへんで…」
「なにを言ってるんだ。舞踏会の翌日は休みに決まってるだろう」
そうなのっ?
「でも帰らないと家のものが心配するし」
たぶん。
「私の名で使者を出すから心配しなくていい」
ええー!
「でも」
「しっ。もう黙って」
身を屈め、エドアルドが理紗の耳元に唇を寄せる。
「でないと口づけで黙らせるぞ」
びくん、と理紗の肩がはねた。
「それに…そんなに警戒されると」
吐息が耳朶をかすめ、甘いしびれが背すじを駆けおりていく。
「…かえって期待されてるのかと勘ぐりたくなる」
ひざから力が抜けた。
かくん、と沈む理紗の反応を予想していたかのように、エドアルドが腰にまわした腕に力をこめ支えてくれた。
「──私は期待には応える男だよ」
間近で顔を見つめられ、思わず真っ赤になった。
「……もうやめて。そばをはなれたことは謝ります」
「きみは約束を守らなかったな」
ニヤリとエドアルドが微笑った。
「…今夜は家に帰してやる。だが馬車のなかでおしおきするぞ、メアリローズ」
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