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プロローグ
しおりを挟む「よし今日はこれでおしまい」
今日のカルテの整理を終えた私は、そう呟いて帰りの支度を始めた。
「今日も一日つかれたな~。早く帰ってリロの毛皮に埋もれたい…」
そういえばそろそろリロのご飯が切れそうだから買いに行かなきゃ…
リロは私が飼っている愛犬で、今年で2歳になる雄犬だ。
犬種はハスキーで、顔に似合わずとても愛らしく人懐っこく社交性がある。
つまりめちゃくちゃいい子!!
いつも仕事から帰った後、尻尾を振りながら甘えた目でお出迎えしてくれる。
そんなリロを見る度に仕事の疲れが吹き飛び、リロのふわふわのお腹に顔を埋めてめちゃくちゃに撫で回してしまう。
今日も家に帰ったらリロの毛皮を堪能するとしよう。
けど、その前にスーパー行って、リロのご飯と今日の夕飯の材料を買いに行かなきゃ。
…今日の夕飯どうしようかな~。
そんな取り留めのないこと考えながら動物病院を後にして赤信号の横断歩道の前に止まった。
ボケっとしながら信号機を見つめていると突然目の前が光に包まれて、ハッとした私は光の方向を見ると目前にトラックが迫ってきていた。
気づいた時にはもう遅くて私の体は衝撃で宙を舞い、地面に叩きつけられた。
沢山の悲鳴が聞こえる中、私の体はどくどくと激しく脈打つ。徐々に意識が薄れていく中、走馬灯のように頭の中で両親や友達との思い出が駆け巡った。
そして最後にリロとの思い出が駆け巡る。
このままだとリルを独りにしてしまう。
絶対に意識を失っちゃ駄目だと思うのに、言うことを聞かない自分の体。
ごめん、リロ…お家に…リロの元に帰れなくてごめんね…
「ごめんね…リロ…。」
最後の力を振り絞ってそう呟いた後、私の意識は完全に途切れてしまった。
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