転生魔女と聖獣フェンリル

メリー

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この世界に転生してからいつの間にか3年の月日が経過していた。
この3年間でいくつか分かったことがある。

まず母の名前はルル・ブランシュと言うらしい。
そして父は、フェル・ブランシュと言って、驚くべきことに、父は母の聖獣らしい。
母曰く黄金色に輝く巨大な鳥の聖獣のようだ。

…一度どんな姿なのか見てみたいなぁ。

あと、母と父は番同士なんだって。

ブランシュ一族は神に愛されている一族故に神が、産まれた直後の赤ん坊に番となって私達を守ってくれる聖獣を授けるんだって。

とは言っても、産まれた直後は聖獣も未熟だから先代の聖獣…この場合は父が力の使い方を教えていかなきゃいけないみたい。

父はとても張り切っているが、名付けをしてからじゃないと力の使い方を教えられないらしい。
そして名付けは魔力を込めて名前を発さなきゃいけないみたいで、まず私に魔力の使い方を教えなきゃいけないみたいだ。

私はこの3年間でかなり流暢に言葉を話すことができるようになり、また母に魔法の使い方を教わるようになっていた。
魔法は母が初めて見せてくれた時から前世の記憶を活かして魔力の流れを感じて操る練習を5年間欠かさずにやっていた。

そして今日、とうとう私はこの子に名付けする。

本当は言葉を話すことができるようになった日から名付けする事が出来たんだけど言葉はあまり流暢じゃなかったし、失敗するのは怖かったから母と父の許しが出るまで待っていた。

「準備は大丈夫?ルチア。」

「はい、お母様!」

「ゆっくりでいいから力を抜いて自分のタイミングで名付けなさい。」

父の言葉を聞いて、緊張で強張っている体を一度解して深呼吸をする。

「ふぅ…大丈夫です、お父様!」

私は心を落ち着けて、自分の体内に巡る魔力を感じつつ既に決めていた名前を小さな白い聖獣に向けて魔力を込めて発した。

「「リロ…」」

それは私が前世の時に飼っていた愛犬の名前…
母がこの子を魔法で出した時に一目見てこの名前にしようと思っていた。

そして、名前を発したその瞬間、白い聖獣…「リロ」の周りが白い光で覆われた。
光が強くて目を逸らした後、徐々に光が収束していき収まった。
逸らしていた目をリロに向けると…えっ!リロの体が、人型になってる…!?

そして、脳内で直接声が響いてきた。

『光!僕の声聞こえる?前と同じ名前をつけてくれてありがとう!!』

そう言って抱きついてくるリロ。

えっちょっとまって裸で抱きついてこないで!!

…って違う!!光って私の前世の名前だし、前と同じ名前って…えっ?リロは私が前世で飼っていたリロ?

リロも転生して聖獣になったってこと?

「えっえぇぇ!!」

驚きで大きな声を出してしまった私に両親が驚いている。

「だっ大丈夫か?ルチア?」

「あっえっと…大丈夫です。お父様。」

「…とりあえず成功かしらね~。名付けた瞬間に人型になってしまったのは驚いたけど…」

あれ?私の声に驚いた訳ではなかったのかな?

「リロの服どうしようかしら…?」

そう言って母は服を探しにどこかに行ってしまった。

…うちメイドさんや執事っていたはずだよね?

ていうか、何故父も母について行ってしまうの?
私はこの状況どうすればいいの?
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