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第一章はじまりのうた
歌ううた
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ずっと好きな歌があった。
曲名も知らない、誰が作ったのかも分からない。
でも君が歌うその歌は、僕の心を暖かくしてくれた。
幸せだった。特に初めて出会った時に聞かせてくれたあの愛のうたは、特別で何時でも元気になれた。あぁもしやり直せるならきみともっと歌を歌いたい、もっときみを知りたい、もっと---
◆◆◆
「ねぇねぇそこで何をしているの?」
パーティ会場の空気感が辛くて逃げ出したところで蹲っていると、きみは問いかけてきた。
「いえ…」
言えない。
母上に〇〇〇〇れてるなんて。
そんなことを口に出してしまえば母上どころか父上や、兄様にまで影響が出てしまう。家の立場が、爵位が危うくなってしまう。だからここでこうして呑み込もうと頑張っているのだ。
それも公爵家の嫡男であるきみになんて絶対言えない。ただでさえ貧乏な男爵家だと言うのに、これ以上何かあれば、何も悪いことをしていない兄様まで被害を受けてしまう。
「ねぇ!こっち来て!」
そう言って強引に僕の手を引っ張って行くきみに何も言えないまま着いていくとそこにはピアノがあった。
そして座って弾き語りを始めた。
「~。~♪♩~!!」
「っ?!!」
すごい。
一切ブレない音程、ほどよいビブラート、聞き取りやすい発音、少しのミスもない伴奏。そして何よりその歌声。
まるで神の寵愛を受け、特別に作られたようなそんな歌声に聞き入れていた。
ほどなくして歌い終わったら、驚いたような顔をしてハンカチを手にこちらに走ってきた。そこで自分が泣いているという事に気がついた。
「大丈夫?」
そう言いながら僕にハンカチを渡してきた。
「ありがとうございます。」
ハンカチは受け取らず、自分のハンカチで涙を拭くと、とても心配そうな顔をして覗くように顔を見られた。
「お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ございません。」
と咄嗟に謝ると、余計心配そうな顔をされたので、困ったような顔をしていると、「そうだ!一緒に歌おう!」と突拍子もない事をいい、強引に始められた。
「~♪。~。~♪!」
あぁなんて綺麗な歌声なんだろう。なんて美しいんだろう。なんて眩しいんだろう。なんで涙が止まらないんだろう。しばらくして歌い終わったのかこちらを見ると、思ってたよりもかなり泣いていたらしく当然めちゃくちゃ心配された。涙を拭いているとふと気づいた、挨拶と自己紹介を忘れていたことに。早くしなければと思い、咄嗟に口走る。
「あっあの自己紹介が遅れました。リドル・フレイムです。」
本当に何をしているのだろう。こんなことではより一層兄様に迷惑をかけてしまう。本当にどうしてこの頭は考えるということができないのだろう。どうしてと考え込んでしまう。そしてまた無礼を働く。その繰り返しだ。いつになればまともになるんだろう。
◆◇◆
あの日から1週間後、それは突然言われた。
「リドル、きみはこの家を出て行ってもらう。王命だ断ることはできない。」
あまりにも突然すぎる言葉に何も出来ずにただ絶望するしかなかった。そんな僕を見てか訂正をされた。
「いや違うんだ。平民に堕ちるとかではなく、公爵家に引き取られることになったのだ。今までジジが君にしてきた事が公になった。」
え?母上がしてきた事が?そんな…そんな、事……兄様が、父上が、そんな……嘘だといってくれ!頼む!何も悪くないお二人に罰が下るなんて……
「安心しろアルバも別の所に引き取られる予定だ、それにどうせ私はもうダメだった。だからリドルが気を使うことではないんだ。それより今まで何もしてやれなくてすまなかった。」
父上はそう言い、僕を抱きしめた。
「そうだリドルが行くのはアビスガード家だ。それから、アルバはマードック家だ。もし何かあればアルバの所までで行くといい。」
兄様が無事であることにかなり安心した。しかし父上は……どうにもならなかったのか。僕が未熟なせいで、僕が測定不能の属性を持って生まれたせいでこんな事に……。本来なら父上の地属性か母上の水属性を持って生まれるはずだったのに。
僕のせいだ、僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ
「リドル!!」
その声に気づいた時にはもう遅かった。
部屋中が眩い光に満たされ全身の力が溢れ出てくる。この世界ではどんな生物も魔力をもつそしてその魔力の属性は大元のふたつ、それから派生されたと言われる3つ、さらに派生した6つ。
僕の属性はどれにも当てはまらない謎の属性。その属性のせいで世間からは白い目を向けられていた。それだけではなく、王命により将来的にはその解明に協力し生きていく事も決まっていた。
そしてその属性は操ることも出来ずただ魔力が抜けていくだけ。そしてその対価なのか一時的に大山を崩壊させるほどの力を持つことが出来る。しかしそれは0.1秒にも満たない一瞬。なぜなら魔力は生命力に直結しているから、魔力がない状態でどれだけ力を持とうとそれを発揮できない。発揮する前に倒れてしまう。
それは今回も例外ではなく、そこにあったソファを掴みつぶし、意識を失った。
曲名も知らない、誰が作ったのかも分からない。
でも君が歌うその歌は、僕の心を暖かくしてくれた。
幸せだった。特に初めて出会った時に聞かせてくれたあの愛のうたは、特別で何時でも元気になれた。あぁもしやり直せるならきみともっと歌を歌いたい、もっときみを知りたい、もっと---
◆◆◆
「ねぇねぇそこで何をしているの?」
パーティ会場の空気感が辛くて逃げ出したところで蹲っていると、きみは問いかけてきた。
「いえ…」
言えない。
母上に〇〇〇〇れてるなんて。
そんなことを口に出してしまえば母上どころか父上や、兄様にまで影響が出てしまう。家の立場が、爵位が危うくなってしまう。だからここでこうして呑み込もうと頑張っているのだ。
それも公爵家の嫡男であるきみになんて絶対言えない。ただでさえ貧乏な男爵家だと言うのに、これ以上何かあれば、何も悪いことをしていない兄様まで被害を受けてしまう。
「ねぇ!こっち来て!」
そう言って強引に僕の手を引っ張って行くきみに何も言えないまま着いていくとそこにはピアノがあった。
そして座って弾き語りを始めた。
「~。~♪♩~!!」
「っ?!!」
すごい。
一切ブレない音程、ほどよいビブラート、聞き取りやすい発音、少しのミスもない伴奏。そして何よりその歌声。
まるで神の寵愛を受け、特別に作られたようなそんな歌声に聞き入れていた。
ほどなくして歌い終わったら、驚いたような顔をしてハンカチを手にこちらに走ってきた。そこで自分が泣いているという事に気がついた。
「大丈夫?」
そう言いながら僕にハンカチを渡してきた。
「ありがとうございます。」
ハンカチは受け取らず、自分のハンカチで涙を拭くと、とても心配そうな顔をして覗くように顔を見られた。
「お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ございません。」
と咄嗟に謝ると、余計心配そうな顔をされたので、困ったような顔をしていると、「そうだ!一緒に歌おう!」と突拍子もない事をいい、強引に始められた。
「~♪。~。~♪!」
あぁなんて綺麗な歌声なんだろう。なんて美しいんだろう。なんて眩しいんだろう。なんで涙が止まらないんだろう。しばらくして歌い終わったのかこちらを見ると、思ってたよりもかなり泣いていたらしく当然めちゃくちゃ心配された。涙を拭いているとふと気づいた、挨拶と自己紹介を忘れていたことに。早くしなければと思い、咄嗟に口走る。
「あっあの自己紹介が遅れました。リドル・フレイムです。」
本当に何をしているのだろう。こんなことではより一層兄様に迷惑をかけてしまう。本当にどうしてこの頭は考えるということができないのだろう。どうしてと考え込んでしまう。そしてまた無礼を働く。その繰り返しだ。いつになればまともになるんだろう。
◆◇◆
あの日から1週間後、それは突然言われた。
「リドル、きみはこの家を出て行ってもらう。王命だ断ることはできない。」
あまりにも突然すぎる言葉に何も出来ずにただ絶望するしかなかった。そんな僕を見てか訂正をされた。
「いや違うんだ。平民に堕ちるとかではなく、公爵家に引き取られることになったのだ。今までジジが君にしてきた事が公になった。」
え?母上がしてきた事が?そんな…そんな、事……兄様が、父上が、そんな……嘘だといってくれ!頼む!何も悪くないお二人に罰が下るなんて……
「安心しろアルバも別の所に引き取られる予定だ、それにどうせ私はもうダメだった。だからリドルが気を使うことではないんだ。それより今まで何もしてやれなくてすまなかった。」
父上はそう言い、僕を抱きしめた。
「そうだリドルが行くのはアビスガード家だ。それから、アルバはマードック家だ。もし何かあればアルバの所までで行くといい。」
兄様が無事であることにかなり安心した。しかし父上は……どうにもならなかったのか。僕が未熟なせいで、僕が測定不能の属性を持って生まれたせいでこんな事に……。本来なら父上の地属性か母上の水属性を持って生まれるはずだったのに。
僕のせいだ、僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ
「リドル!!」
その声に気づいた時にはもう遅かった。
部屋中が眩い光に満たされ全身の力が溢れ出てくる。この世界ではどんな生物も魔力をもつそしてその魔力の属性は大元のふたつ、それから派生されたと言われる3つ、さらに派生した6つ。
僕の属性はどれにも当てはまらない謎の属性。その属性のせいで世間からは白い目を向けられていた。それだけではなく、王命により将来的にはその解明に協力し生きていく事も決まっていた。
そしてその属性は操ることも出来ずただ魔力が抜けていくだけ。そしてその対価なのか一時的に大山を崩壊させるほどの力を持つことが出来る。しかしそれは0.1秒にも満たない一瞬。なぜなら魔力は生命力に直結しているから、魔力がない状態でどれだけ力を持とうとそれを発揮できない。発揮する前に倒れてしまう。
それは今回も例外ではなく、そこにあったソファを掴みつぶし、意識を失った。
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