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第一章はじまりのうた
笑顔溢れる家
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いつもの様に起きるとそこには見たことのないメイドさんがいた。そういえば今日はアビスガード公爵家の当主である、クリフト・ルカ・アビスガード様とマードック公爵家の当主である、トランプ・ルカ・マードック様が僕達を迎えに来る事を思い出した。
このメイドさんはアビスガード家から派遣され、昨日の夜についたばかりらしい。
メイドさんの手伝いにより、綺麗な服を着て玄関に向かうと、父上と兄様がいた。そしてもうすぐで着くとの事である。
楽しみに待っていると2台の馬車が近くに止まった。そこから、クリフト様とトランプ様が出てこられた。さらにあの日一緒に歌を歌ってくれ、僕の心を軽くしてくださったブライト・ルカ・アビスガード様がひょこっと顔を出した。
急なゲストに心が踊るのを抑えながら、しっかりと挨拶をした。
「初めまして、クリフト様。リドルと申します。この度はこのような私めを引き取って頂き誠にありがとうございます。」
そう言うとぼふっと頭を撫でられた。
そしてもうひとつとてつもなく驚いたことがあった。それがこのアルバ兄様の挨拶だ。
「初めまして、トランプ様。アルランディスと申します。」
え?アルランディス?誰?って顔をしていると、父上がこっそり教えてくれた。アルバはただの愛称らしい。初めて知った。
そんな感じの雰囲気を壊すようにブライト様が歌いながら走ってきた。それを見たクリフト様が呆れた顔をしながら注意をする。そしてそのまま僕の所まで来て抱きつかれた。突然の事に頭が真っ白になってると、ブライト様に鉄槌が下った。いててと頭をさするブライト様にクリフト様が呆れた口調で「急に人に抱きつくな」と注意されているのを見て思わず口元が緩む。そしてその場の全員がすごく安心したような目には気づかないようにした。
素直に嬉しかったので、
「改めて、クリフト様、ブライト様、これからよろしくお願いいたします!」
そう言うとブライト様はぷすっとした顔をしてこちらを見た。するとクリフト様が言う。
「リドル君、今日からは私達は家族なのだからどうか父と呼んで欲しい、もちろんそれはブライトも同じだ。そして私にもリドルと呼ばせて欲しい。」
うんうんとうなずくブライト様を見て、いいのかなという疑問は吹っ飛んだ。
緊張しながら「義父上」と呼ぶと満面の笑みで返事を返された。そしてブライト様、いやライは僕の手を掴んで、引っ張って行く。
そうしてついに父上と兄様との別れが来たんだと実感する。
どんなに辛くてもこんな僕に2人は溢れんばかりの愛をくれた。
兄様はご飯を持ってくる時に勉強やマナーを教えてくれた。そのおかげで、来年から入る学園の中等部も大丈夫そうだと思えた。
父上はご飯だけでなく、本や服、アクセサリー、文房具など沢山のものをくれた。
本当に大好きだった。別れる際に、2人に感謝を伝え、馬車が出る。
辛かったけど間違いなく僕の居場所だった家には寂しそうに手を振る父上がいる。前に走る馬車には、新しく光の差す方へ走り出す兄様がいる。そしてこの馬車には新しい家族がいる。
次はこんな事にならないよう、もっと上手くやろう。できる限りの恩返しをしようと思った。命に変えてでも守り抜くと。
◆◆◆(sideブライト・ルナ・アビスガード)
今日は無理を言ってでも父様について来て本当によかった。
本人はまだ知らないんだろうけど。あの日の涙のわけを知りたくて、探偵を雇い、調査を行った。
だってあれだけ泣くなんて、絶対何かある。そして結果は黒。
母親による虐待、そしてその母親によりやらされていた売春。それから測定不能の謎の属性。
基本的に属性には光、闇を大元とし、日、星、月と派生し、さらにそこから地、氷、雷、火、風、水と派生した。実は属性はそれだけではなく、特殊属性と呼ばれるルーツの不明な属性がある。現在確認されているのは、音、時、龍、蟲、聖、魔の6つだ。
しかしリドルの属性はどれにも当てはまらない。そのせいで本当に辛かったのだろう。
何せこれが原因で虐待と売春があったのだから。
救いとしてはリドルの性に関する知識がからっきしだったことだ。それでも心の奥底では嫌だと思っていたのだろう。
今でもあの泣き顔が夢に出る。どれだけ辛かったのだろう? 俺には分からないけど、それでもあんな顔をする人がいるなら絶対に放って置いておけない。それが俺の使命だから。
だからこそ、彼の笑顔を見た時嬉しすぎて思わず抱きついてしまった。彼の過去を知っておいてその行動をしたことは本当に反省している。軽率だった。
この先、絶対にあんな顔はさせないと強く誓った。
◆◇◆
アビスガード家の邸につくとそこはまるで完全なる異世界だった。あの日は別の会場を使っていたので来るのは初めてだ。
所々にある石像は神々をそのまま降臨させたかのような美しさで、飾られているアビスガード家の肖像画はどれも生き写しのようだ。
庭には小さな湖の周りには木が生え、そこには精霊と見紛うくらいに美しい女性がいた。
彼女はルコア・ルナ・アビスガード。義父上のお嫁様つまり義母上だ。彼女の周りにはリスやうさぎ、小鳥など様々な動物が寛いでいる。そこに入っていく義父上とライも精霊のように見えた。
手を引かれて、そこに行くとさらに奥にテーブルとイスがあり、義母上の趣味だと説明される。
「せっかくだからここでお茶にしましょう!」
そう義母上が言い、義父上が魔法を使うとメイドさん達がお茶のセットを持って飛んできた。
そうして食べた公爵家のお茶菓子は、今まで食べたことのないくらいに美味しかった。
このメイドさんはアビスガード家から派遣され、昨日の夜についたばかりらしい。
メイドさんの手伝いにより、綺麗な服を着て玄関に向かうと、父上と兄様がいた。そしてもうすぐで着くとの事である。
楽しみに待っていると2台の馬車が近くに止まった。そこから、クリフト様とトランプ様が出てこられた。さらにあの日一緒に歌を歌ってくれ、僕の心を軽くしてくださったブライト・ルカ・アビスガード様がひょこっと顔を出した。
急なゲストに心が踊るのを抑えながら、しっかりと挨拶をした。
「初めまして、クリフト様。リドルと申します。この度はこのような私めを引き取って頂き誠にありがとうございます。」
そう言うとぼふっと頭を撫でられた。
そしてもうひとつとてつもなく驚いたことがあった。それがこのアルバ兄様の挨拶だ。
「初めまして、トランプ様。アルランディスと申します。」
え?アルランディス?誰?って顔をしていると、父上がこっそり教えてくれた。アルバはただの愛称らしい。初めて知った。
そんな感じの雰囲気を壊すようにブライト様が歌いながら走ってきた。それを見たクリフト様が呆れた顔をしながら注意をする。そしてそのまま僕の所まで来て抱きつかれた。突然の事に頭が真っ白になってると、ブライト様に鉄槌が下った。いててと頭をさするブライト様にクリフト様が呆れた口調で「急に人に抱きつくな」と注意されているのを見て思わず口元が緩む。そしてその場の全員がすごく安心したような目には気づかないようにした。
素直に嬉しかったので、
「改めて、クリフト様、ブライト様、これからよろしくお願いいたします!」
そう言うとブライト様はぷすっとした顔をしてこちらを見た。するとクリフト様が言う。
「リドル君、今日からは私達は家族なのだからどうか父と呼んで欲しい、もちろんそれはブライトも同じだ。そして私にもリドルと呼ばせて欲しい。」
うんうんとうなずくブライト様を見て、いいのかなという疑問は吹っ飛んだ。
緊張しながら「義父上」と呼ぶと満面の笑みで返事を返された。そしてブライト様、いやライは僕の手を掴んで、引っ張って行く。
そうしてついに父上と兄様との別れが来たんだと実感する。
どんなに辛くてもこんな僕に2人は溢れんばかりの愛をくれた。
兄様はご飯を持ってくる時に勉強やマナーを教えてくれた。そのおかげで、来年から入る学園の中等部も大丈夫そうだと思えた。
父上はご飯だけでなく、本や服、アクセサリー、文房具など沢山のものをくれた。
本当に大好きだった。別れる際に、2人に感謝を伝え、馬車が出る。
辛かったけど間違いなく僕の居場所だった家には寂しそうに手を振る父上がいる。前に走る馬車には、新しく光の差す方へ走り出す兄様がいる。そしてこの馬車には新しい家族がいる。
次はこんな事にならないよう、もっと上手くやろう。できる限りの恩返しをしようと思った。命に変えてでも守り抜くと。
◆◆◆(sideブライト・ルナ・アビスガード)
今日は無理を言ってでも父様について来て本当によかった。
本人はまだ知らないんだろうけど。あの日の涙のわけを知りたくて、探偵を雇い、調査を行った。
だってあれだけ泣くなんて、絶対何かある。そして結果は黒。
母親による虐待、そしてその母親によりやらされていた売春。それから測定不能の謎の属性。
基本的に属性には光、闇を大元とし、日、星、月と派生し、さらにそこから地、氷、雷、火、風、水と派生した。実は属性はそれだけではなく、特殊属性と呼ばれるルーツの不明な属性がある。現在確認されているのは、音、時、龍、蟲、聖、魔の6つだ。
しかしリドルの属性はどれにも当てはまらない。そのせいで本当に辛かったのだろう。
何せこれが原因で虐待と売春があったのだから。
救いとしてはリドルの性に関する知識がからっきしだったことだ。それでも心の奥底では嫌だと思っていたのだろう。
今でもあの泣き顔が夢に出る。どれだけ辛かったのだろう? 俺には分からないけど、それでもあんな顔をする人がいるなら絶対に放って置いておけない。それが俺の使命だから。
だからこそ、彼の笑顔を見た時嬉しすぎて思わず抱きついてしまった。彼の過去を知っておいてその行動をしたことは本当に反省している。軽率だった。
この先、絶対にあんな顔はさせないと強く誓った。
◆◇◆
アビスガード家の邸につくとそこはまるで完全なる異世界だった。あの日は別の会場を使っていたので来るのは初めてだ。
所々にある石像は神々をそのまま降臨させたかのような美しさで、飾られているアビスガード家の肖像画はどれも生き写しのようだ。
庭には小さな湖の周りには木が生え、そこには精霊と見紛うくらいに美しい女性がいた。
彼女はルコア・ルナ・アビスガード。義父上のお嫁様つまり義母上だ。彼女の周りにはリスやうさぎ、小鳥など様々な動物が寛いでいる。そこに入っていく義父上とライも精霊のように見えた。
手を引かれて、そこに行くとさらに奥にテーブルとイスがあり、義母上の趣味だと説明される。
「せっかくだからここでお茶にしましょう!」
そう義母上が言い、義父上が魔法を使うとメイドさん達がお茶のセットを持って飛んできた。
そうして食べた公爵家のお茶菓子は、今まで食べたことのないくらいに美味しかった。
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