愛について歌うきみと

輪道響輝

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第一章はじまりのうた

入学しました!!

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 ライが目を覚ましてしばらく経つがかなり体調がいいらしい。
 良かった、あのまま目を覚まさないのかと思ったら、夜も寝れなかった。
 しかしそんな事を言っている場合ではない。あと1ヶ月もすれば学園に通う事になる。しかしあまりにも出来が悪いのだ。特に算術はやり方がわかっても実際にやるとなると、全然できなくてライが隣でスラスラと解いていくのを見ていつも焦ってる。
 メイ先生は、ライが特別早いだけと言っていたが、多分そんなことはないと思う。
 そもそも僕は兄様に教えてもらう以外に勉強はできなかったし、二桁以上の掛け算なんてライに教えてもらうまで全くできなかった。
 それなのに僕は賢いと言ってくれるメイ先生はとても優しい。で、今やってる問題が-3/7×5/9………
 うん!全く分からない!-が入るだけで途端にややこしくなる。ダレカタスケテ。
 もうヤダ算術無理。でもこのままではせっかく受け入れてくれた皆に申し訳ない。もっと頑張らないと。

 ◆◇◆

 そんなこんなで無事、入学しました!!今日は入学式の前日で、いつの間にか届いていた制服を見ていたのだが…………ライの制服が大きい。それに比べて僕の制服は…………考えるのをやめたくなる。
 そうだよね、僕、身長凄い低いしね。
 制服自体はよくできていて、まず通気性もよく、とても動きやすそうな生地に、夜空のような青紫色をベースに使っており、胸元にマリーゴールドが刺繍されていたりしてとても素晴らしいものだ。
 洗練されたデザインに心を踊らせていると、義父上に制服姿を見せて欲しいと言われ着てみせると、感動したのか固まっていた。
「まぁ素晴らしい制服ね!2人ともとっても似合ってるわよ!」
 という義母上の言葉ではっとした義父上は全くその通りだと頷いていた。 
 ただやっぱり思うのは、僕の目線がライの肩…………………なんで僕の身長は伸びないんだ?!!

 ◆◇◆

 それから無事、入学式が始まった。
 マリーゴールドがどうとか、身分がどうとか、よく覚えてないけど、長い学園長の挨拶が終わり、国王であるフリーナ様が壇上に上がった。
 フリーナ様は、美しき水の鉄拳と呼ばれる方で、容姿端麗で才色兼備とは掛け離れた人だ。しかし、何時までも努力し続けるその姿について行く人は多く、支持も強い。それが彼女を歴史上初の女王にした。
 そしてその言葉も重く、深く刺さった。
 決して今の立場に胡座あぐらをかいては行けない。常に努力を怠るな。どれだけ才能があろうとその才能を咲かすことができるのはいつでも努力であると。上には上がいる事を常に意識しろとのことだ。
 そして最後にチラッとこっちを見た気がしたが、あれは気のせいなのか?なんて考えてるとクラス分けが発表された。そしてなんと……………ライと同じクラスだったのだ。
 あまりの嬉しさに跳ねそうになるのを堪え、隣にいるライを見つめる。すると星空のように瞳をキラキラさせて抱きつかれた。
 ライの頭を撫で宥めながら周りを見ると、地味に視線が痛い。
 抱きついたままのライを引きずりながら会場の講堂を出て、やっとの思いで教室に辿り着くとある一箇所に生徒が集まっていた。
 チラッと隙間を覗くと、第三王子殿下と思しき人が中心にいた。苦笑いをしながら受け流しをしているようで大変そうだなと思う。
 とりあえずライを引き剥がすと担任と思しき教師が入ってきた。チャイムがなると、皆が席に着いたのを見て自己紹介を始めた。
「今日からこのクラスを担当する、アレクシスと言う。困ったことがあれば何時でも相談に来るといい。」
 それからすらりと全員の自己紹介を終えて、休憩時間に入ると、後ろから名前を呼ばれて振り向くとそこには…………アルバ兄様がいた。
「アルバ兄様!!!」
 と思わず駆け寄ると、それまで第三王子殿下に向けられていた視線が一気にこっちに向き、令嬢の方々が騒ぎ始める。
 耳を傾けると何やらアルバ兄様はかなり有名らしい。
 まぁそりゃそうだよね!優しいし、かっこいいし、何より頭もいいし、運動神経も抜群。
 後でしっかり聞いたら、成績は常に学年トップを取っているらしい。流石アルバ兄様。
 久しぶりに会って、ライも交えて話していると、アルバ兄様とライによる僕を褒めちぎる会が始まり、恥ずかしい気持ちを抱えつつ休憩時間が終わる頃にランチのお誘いを受けた。
 今日は授業も無く、入学式と自己紹介、それから教科書配布などなど。それらが終わったらそのまま帰るだけなので、本来はランチは食べないんだけど、せっかくお誘いしてくれたのだから行かない理由はない!!

 ◆◇◆

 やる事が終わりルンルン気分で食堂に行こうとすると誰かに急に肩をつかまれて、くるりと回され誰かがこう言う。
「すみません、今日はこの方とお昼を食べるのでまた今度でお願いします。」
 え?
 しっかりとその人物を見ると…………第三王子殿下だった。なるほど色んな人からお昼をと迫られ、困っていたのか。ここは話を合わせるか。
「そうなんです。皆様には申し訳ございませんがここはお引き取り願います。」
 そう言うと皆諦めたような表情をしながら、「また今度お願いしますね!」と打診していた。
「それでは殿下、行きましょう。」
 こうして殿下を連れ出し、教室からある程度離れた所で、すごい勢いで謝られた。いやいいんですと繰り返していると後ろから凄い圧を感じた。
振り向くと、ライがすんごい顔してた。それどういう感情?怒ってるの?喜んでるの?どういうこと?
それを見た第三王子殿下がさらに申し訳なさそうにしていて心が痛かった。
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