BEST TIME

yon

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第11話

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私は譲ってもらったベッドに寝転んだ。

なんで青川さんの家に泊まってるんだろう。

変な気分だ。



ドキドキするような、悪いことをしているような変な気分になる。気持ちが高揚している。

この気持ちはなんて名付ければいいんだろうか

と、ドキドキして寝れずにいると

何かが私の横に来た。

青川さんだ。

何をしに来たんだろう。

ベッドの上に乗った。

私はびっくりして動けずにいた。

青川さんの顔はよく見えない。

私は息を飲んだ。


すると、私の頭の横に両手を勢いよく置くと

「俺は孤独なんだ、理解してくれるか…分かちあってくれるか!!逃げ道をつくってくれるか!」


そう叫んだ。

これが夢遊病だろうか。

震えそうになった。だけど、ここは真面目に応えるべきだと勘で思った。

「私も孤独です。あなたの逃げ道によければ。」

そう、か細く呟いた。

その言葉を聞くと、納得したかのように

ソファに戻っていった。






結局。私は一睡も出来なかった。

青川さんは何事も無かったようにへらっとしていた。

帰りは青川さんに送ってもらった。

その道で

「俺、夜迷惑かけなかった?」

そう問いてきた。

「迷惑じゃなかったですよ。」

そっか、とうつむき微笑んだ横顔は

満足そうで、かっこよくて、何よりも美しかった。







きっと青川さんは起きていたのだろう。

彼はそういう行動をした上で

問いてきたのだろう。

私が迷惑じゃなかった、言ったのは

本当に迷惑では無かったからだ。

むしろ、弱みを教えてもらった。


彼は夢遊病のふりをして、試験をしたのだろう。

迷惑でなかったことに喜んだのだろう。

私が、弱みをみせていい人間か判断して、

見極めているのだろう。

この世で最も美しいものは愛だから

愛で弱みを包み込む人々を見極め、彼も

愛し返すのだろう。

この幸せをどう捉えるかは人次第だが

愛すべきあなたたちを愛せる私は幸せです。

そして、人々を、私を愛し返すことが出来るあな

たは神様に見守られる事でしょう。

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