BEST TIME

yon

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第20話

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しばらくして、青川くん達が戻ってきた。



私と涼子さんはテーブルにあった食べ物をつまみながら

会話をしていた。


「どこに行ったのかと思ったよ。」

青川くんは、困った顔をしながら私の横に寄り添った。


「おい… そんなんでよく関係伏せてんな。バレバレだぞ。」

上里さんは、呆れ顔をした。



「えっ、教える事にしたの?」


「うん、そういえば上里はバラすような奴じゃないしな。涼子さんにも教えていいよ。」



「何言ってんの、バレバレだっつーの。」



私達は笑いあった。



「あー 佐原ちゃん。きたわよ。」


その名前を聞いた途端 目がピクリと動いた。


「あいつが?迷惑かけなかった?」


こんな青川くんの顔は初めてだった。

嫌悪感が漂う顔。こんな顔もできるんだ。

やはり、元カノという事もあるから

気まずい思いがあるのだろうか。


「ごめん 鈴。あいつのこと…。」

「まあまあ、過去の事なんてどうでもいいじゃない?
2人は思う存分 ラブラブしたら?もうパーティーも終わるし、どこか遊びに行って来なよ。」

そう言って上里さんは、背中を押してくれた。

私たちは夜の街に出て行く事にした。




「そういえばさ、鈴の誕生日っていつなの?」



「えっ、あ、明日です。」


そういえば、明日で20歳だ。 


お酒も飲めるしタバコも吸える。


汚れた世界が広がっていく第一歩をなぜか私達は待ちわびている。


楽しい世界が広がると思っている。とんだ間違いなのかもしれない。


でも、何かが許されるということに喜びを感じずにはいられなくて
そこから、どぶ川を歩みだして行くんだろう。





「えっ、本当に?じゃあ、12時になる前に何かプレゼント買いに行こう。」


そう言って青川さんは私の手を取り走り出そうとした。


「待って!」


私は小さく叫んだ。


「あの、プレゼントなんかいりませ…いらない。12時になるまで、一緒に居てくれればそれで嬉しい…。」


私は精一杯の気持ちを伝えた。


彼は、頬を赤らめたまま目をまん丸くしていた。



「あっ、え、じゃあ 俺の家でカウントダウンしようか!」


私は頷くと、彼はコンビニに入り、酒とタバコを買うと


彼の狭くて愛しい家に向かうことにした。
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