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第21話
しおりを挟む「よし… まだ11:30だな ギリギリ。」
彼は、スーツから私服に着替え始めた
私は、ベッドと机の間に座ってみた。
そして、ビールやらハイボールやらをビニール袋から取り出しラベルを見つめた。
《二十歳未満の方は飲めません。》
この壁をついに破るんだ。
そう思うと、ワクワクする気持ちと、つまらなくなる気持ちがコーヒーとミルクみたいにこう…こう…混ざっていく…。
「鈴、後悔してない?俺と付き合ったこと。」
彼は、不安そうに私の顔を横から覗き込んだ。
私は、ありったけの言葉で彼を安心させたかったが
そんなものは必要ないと、私は気付いた。
私は、彼に微笑みかけ
「青川くん。」
そう言って彼の頬を撫でた。
彼は、私の手に気持ちよさそうに頬ずりした。
本当はもっと甘えたいんだろうなぁ。私がしっかりしなきゃなぁ…
彼は私の頬にすりよった。
彼の顔が近くて顔や耳が熱くなる。
「鈴、鈴。」
必死にすりよる彼に私は、心臓の早鐘を抑えられなかった。
青川優のこんな一面を見れる私は幸せだ。
多分きっと、こっちの青川優が本物なんだろう。
誰にも甘えれずに、神経張り詰めて生き抜いてきて…。
青川くんの心のよりどころになれますように。
時計に目を向けると12時を過ぎたところだった。
「あ、青川くん。12時すぎちゃった。」
すると、青川くんは我に返ったように私から顔を離して
「おっ、じゃあ 色々やってみるか。ちょっとこれは苦ぇかな。」
彼は缶ビールを開けると私に渡してきた。
私は一気に半分ほど口に含んだ。
しゅわしゅわという炭酸の中に…
うーん苦い。苦さしか無い。
「苦いよ、青川くん。」
「俺も最初は美味しさがわからなかったよ。でも、大人になると美味いもんだよ。でも、大人っていつからなんだろうね。」
ふっと青川くんは笑い、箱からタバコを1本取り出し、ライターで火をつけた。
彼はすっと吸うと口から煙を出した。
「じゃあ これも。」
そう言うと私の口にタバコを当てがった。
おそるおそるタバコの中の空気を飲み込む。
その瞬間
「ゲホッ!」
むせてしまった。
「ははは、最初はみんなそう。でも、鈴はやめておきなよ。長生きできないよ。」
そう言ってまた、タバコを自分で吸った。
「青川くんも長生きできなくなるよ。」
「ん?あぁ、そうだね。長生きしなきゃなぁ。」
そういって遠くを見つめるようにして、灰皿にタバコの先をつぶして、残った缶ビールを手に取り飲み干した。
「じゃあ、次はこれだ…。」
そう言ってハイボールやら、ウィスキー、酎ハイなど
色々なお酒を少しずつ飲まされた。
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