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第24話
しおりを挟む今日は、百合子と私の家で映画を観る予定だった。
私は、せっせと部屋を片付けていた。
今頃、青川くん何やってるのかな。
この間からあまり電話をしていない。
きっと、青川くんの事だから忙しいのだろうなぁ。
私も20歳だし、子供っぽく振舞ってはいけないなぁ。
20歳になる時に一緒にいてくれて嬉しかったなぁ。
お酒を飲んでいたからふわふわした記憶しかないけれど
たしかに、口付けをした。思い出すだけで顔がじわっと
熱くなる。困るなぁ。
それから、寝るまで歌を歌ってくれていたような気がする。
優しい、少しかすれた まだ少年を少し感じさせる
でもどこか低音混じりで聞いていると切なくなる声。
こんな声の持ち主 世界にどれだけいるだろうか。
掃除もひと段落して、もうすぐ百合子が来る時間になった。
お茶を入れている最中に、インターホンが鳴った。
ドアの覗き窓から外を見てみると百合子が居たので開けた。
「やっほ~ こんにちは。」
「うん、ひさしぶり。」
百合子のお腹はこの間会った時より少し膨らんでいた。
「赤ちゃん 順調?」
「うん、まだ2カ月くらいかな?まだ小さいよ。肉付いてきたなぁ。」
そんなことを話しながら、ソファに百合子を座らせて
私はお茶を持ってきた。
すると、百合子は決心したように鞄から雑誌を取り出した。
「鈴、これを見て欲しいの。」
ペラリとめくった一面には、青川優の文字。
記事は、熱愛発覚?と書かれている。
「この抱きしめている女の人、キスしてる女の人、鈴じゃないよね。」
「ち…違う。」
「じゃあ、佐原かなで合ってるの?」
そう、その下の文字に、青川優?佐原かな の文字。
「え…わからない。でも、佐原さんって元カノだったみたい…だよ。」
「本当に、青川優は鈴の事を愛しているの?なんで、こんな事になっているの?大丈夫なの?」
頭の中がグルグルしてきた。あの青川くんが?
信じられない…。
でも、自惚れちゃだめなんだ。
「私は彼の選びたい事、したい事をさせたいから…。」
「じゃあ浮気をしてもいいって事なの?」
「そういう事になっちゃうね…。」
百合子は私の顔を真剣に見つめると
「そんなんでいいの?…ただでさえ、有名人と付き合うって大変な事なのに。自分だけにしわ寄せして、私はそんな鈴見たくない。」
私は雑誌の中の男女を見つめる。
悲しい苦しい辛い。ずっと私だけを見ているとは思ってはいなかったけれど…やはり私は自惚れていたのか…。
百合子と話をしているとまたインターホンが鳴った。
覗くとそこには青川くんが居た。
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