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第25話
しおりを挟む「週刊誌に…載っていたやつ。鈴は見ていないのか?」
きっとあの写真の事だろう。
「う、うん。佐原さんの事だよね…?」
すると後ろから、どちら様なの?と百合子に声をかけられた。
「人がいるの?」
「うん、百合子が遊びに来てて…。」
私は百合子に向かって 青川くんだよ、と返事をした。
すると、百合子は走ってきた。
「えっ!青川優…!?はじめまして、百合子です。」
「はじめまして、青川優です。百合子ちゃんも、あの写真みたのかい。」
百合子は頷いた。
「この間、パーティであいつと会話しただろう。その時に鈴と俺の関係を怪しんだらしい。…待ち伏せされていた。いつもあの道を通る事をあいつは知ってたんだ。どうせ記者を呼んで撮らせたんだ。じゃなかったらあんなに撮りやすい所で抱きついたりしない。鈴への仕返しだろう。」
「…これは2人の問題だわ。私は帰る。鈴、また今度それは観ましょう。」
そう言うと、荷物を持って出て行った。
しばし、沈黙が続いた。
「青川くんは、私だけのヒーローじゃないもの。いいの…。皆があなたの傍に居たいの。なのに、こんなありふれた人間が傍に居て、本当は… いけないんじゃないかと思うの。」
青川くんは目を見開いて私の肩を掴んだ。
「自分をありふれた人間だと思っているんだ?それは違う。鈴は女神だ。それを俺は見抜いた。」
私の肩の布をぎゅっと握りしめると
「離れて欲しくない。俺は鈴以外は目に映らない。 俺はそんなに軽いやつじゃない。軽蔑しないでくれ。違うんだ…。」
そう言って俯くと青ざめていった。
「鈴、君は俺の女神だ。どんな時も俺の気持ちを輝かせてくれる。くじけそうな時も、不安な時も…。鈴じゃなければ駄目なんだ。」
こんなに必死な青川くんに答えないわけにはいかなかった。
青川くんは、私を選んでいる。
そして、求め嘆いている。
傷付くことを私は恐れていたのか。
むしろ傷付きにいかないと生きては行けない。
いつから、こんな事まで悟る大人になってしまったんだろう。
でも、間違ってはいないよね。
悔やむわけにはいかないから。
私は静かに彼を抱きしめた。
そして、傍にいることを誓った。
汝、この誓いが永遠になる事を願いたもう。
そして愛が育まれて行く事を信じたもう。
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