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第27話
しおりを挟む今日は12月25日。
東京の街はクリスマスモードに包まれ、星の数ほどのイルミネーションがうるさく輝いている。そして街は愛を謳歌し、来るものを拒まずゆらめいている。
また、家族は温かく微笑み合い、恋人たちは小鳥がついばみ合うように、仲睦まじく愛を囁きあう。
暗い闇に明るいライトのコントラスト。
夜は更けないようだ。
そんな今、私は青川君の家で留守番をしている。
クリスマスを約束した日の次の日、ポストにメモと鍵が入っていて、
『俺の家の合鍵です。25日の夜 予定が空きそうだからよかったら家に入って待っていてほしい。 優より』
知らない間にわたしの家に来ていたようだ。
その日も私は仕事があるから帰り道にあっちの道で青川君の家に向かおう。なんて考えながらその合鍵を大切に私の家の鍵の輪っかに付けた。
…
現在 10時 青川君はまだ来ない。私はテレビをつけた。
パカパカと変わる光の映像にいつもなら食い入って見るはずなのに、今日は何の味もしなかった。
クリスマス特集。恋人たちの夜。クリスマスキャロル。
ただ、音楽番組に変えた時にクリスマスソングの特集がされていて青川君の曲が紹介されていた時に私は見入ってしまった。
背後のミュージシャン達が楽器を奏で始めると歌い始め、青川君はスタンドマイクを握り締め苦しそうに歌う。
『Night of lovers… 君しかいない こんな夜に暖めてくれる人は… そして僕達は抱きしめ合う この温もりを忘れやしない I love you…』
切なそうに歌う青川君をじっと見ていた。
クリスマスソングなのに苦しそうに歌う青川君。
クリスマスは、煌びやかなだけでは無いのだろう…。
それから11時になり、私はテレビを消して天井を見つめた。
百合子は旦那さんとクリスマスを楽しんでいるのだろうか…。お腹の子とのクリスマス…。幸せだろうな…。
そうして目をつぶりそうになった時に
ガチャガチャガチャと慌てて鍵を開け、ドタドタドタと音を立てて私の前に姿を現したのは
息を切らして片手にケーキの袋を持った青川君だった。
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