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イフリ山とエリュオンの覚醒
第33話
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昇降機が一階へ到着し、ノルがその入り口でウロウロしながら待っていた。
「只今戻りました、お姉様!」
逸早くノルに気が付いたメルが即座に昇降機から出て、彼女に抱きつく。
「こら! 数日しか立っていないのに、本当に甘えん坊ね」
何があったか知っているノルは、それ以上は口に出さず優しく頭を撫でる。そこへイサム達もゾロゾロと昇降機から出てくる。ミケットだけは、三十層に連れて来た獣人達の連絡係として暫く残って面倒を見てくれとイサムがお願いすると、張り切って残ると言って三十層へ現在留まっている。
「ただいま! ノル! お母さんも一緒にこっちに来たよ!」
「はい、連絡を頂きました。良かったですね、私も心から嬉しく思います」
リリィの隣で歩くリリルカが嬉しそうにノルに伝える。
「久しぶりだねノル嬢、これから世話になるよ」
「お久しぶりで御座います。こちらこそ宜しくお願い致します」
リリィに深々と頭を下げるノルに、リリィも頭を掻きながら恥ずかしそうに軽く頭を下げた。その後ろからテテルがやってくる。
「ノル様、この度は不甲斐ない私のせいで、ご迷惑をお掛けしまして申し訳御座いません」
ポロリと涙を流すテテルに、ノルは優しく無事でよかったと傍に引き寄せて抱きつかせる。
「ノル様ぁ! 申し訳ありませぇん、うわぁぁん」
優しくされるのが辛かったのかテテルは泣き出してしまった。その後にイサムとエリュオンがやってくる。
「ただいま、ノル。ごめんな、メルの事をしっかりと守ってやれずに・・・・」
コアが変わってしまった事に罪悪感もあり、ノルに会ったらすぐに謝ろうと思っていたイサムに彼女は首を横に振り答える。
「いいえイサム様。連れて帰って来て貰えただけでも、私は感謝しております。本当に、妹を救って頂き誠に有難う御座います」
メルとテテルから一度離れ、深々とお辞儀をするノル。それを見てイサムはオートマトンでなければ涙が零れているのかもなと、嬉しくも悲しい気分になる。しかし、そこでメルがノルに爆弾を投下する。
「お姉様、私・・・イサム様の所へ嫁ぎます。裸を見られてしまいました」
「えっメル! 見てないって言ったじゃないか!」
いきなり何を言うんだと焦るイサム、それを見てエリュオンもそれは無いと首を振り否定する。しかしそれを聞いたノルは、何時取り出したのか『うさぎ』のストラップが付いた柳葉刀を一振り持っている。
「それはどういう事でしょうか? 事と次第によっては・・・」
「おいおいおいおい! 本当に見てないぞ! なぁ! エリュオン!」
「勿論よ! 嫁ぐなんて私が許さないわ!」
「いや! そこじゃないだろ!」
昇降機の入り口で騒いでいるとロロルーシェがやってくる。
「はっはっは、帰った早々賑やかだな」
優しい笑顔で出迎えるロロルーシェを見て、帰って来たなとホッとする。
「ロロ姐さん! 一緒に住む許可をくれてありがとう!」
リリィが深々とロロルーシェに頭を下げる。ロロルーシェはリリィそ傍に来て手を握る。
「リリィ、今まで会えない辛い日々を送らしてすまなかった。これからはリリルカと一緒にここでゆっくりと過ごしてくれ」
リリィの目にはうっすらと涙が見える、彼女のもう片方の手にリリルカが両手で掴み涙を流す。それをエリュオンが羨ましそうにみている。
「エリュオン、やっぱり家族が恋しいのか?」
イサムは優しくエリュオンに尋ねる、しかしエリュオンは首を横に振る。
「いらないわ、たぶん皆死んじゃってるし・・・それに今はイサム達がいるじゃない、私には家族みたいなものよ・・・」
「ははは、そうだな。確かに家族みたいなもんだな」
それを聞き肩にいたタチュラが小声で話す。
「まぁ子供ですからね、今回は大人しくしときましょう」
いつもなら茶々を入れるタチュラも、気を使った様だ。その後、家の中に入り食事を済ませ、そこでタダルカス王国で見た部屋の事の話になる。
「なるほどな、コアと同じ様な部屋か・・・・いや・・可能だろうな」
「そうなのか? でも何と言うか、闇に包まれた白い空間みたいな言葉にしにくい不思議な感じだったぞ」
「恐らくは、魔素の海に還るのを闇で防いでいたのだろう。闇自体がコアの外廓と同じ役割をしていたと考えて間違いないだろうな」
「それで何年もあそこの中で漂い続けてたわけね」
エリュオンもあの光景を見て居る為、ようやく納得したようだ。
「だがそこまで技術が進んでいたとはな・・・恐らくはルーシェの知恵だろうな」
「あれはエリュオンやミケットが闇だった頃の殺意とは、比べ物にならない程の恐怖を感じたよ」
「そうだろうな、染まっている時間が桁外れだ。それに他にも知恵者がいるだろう」
「まだ居るのか・・・だよな・・・報告に来た別の奴もかなりの奴のようだった」
「タジュカンか・・・・何者なのだろうな・・・まぁ疲れただろう暗い話はこの辺にして風呂にでも入ってさっぱりしようか」
「じゃぁ私もイサムと入るわ!」
「私も一緒に入ったほうが良いですか?」
「えー! イサム様と入るのですか? まだ日も浅いのに・・・」
などと女性陣の話を聞くイサムが勘弁してくれと話す。しかし今回は違った、救世主が現れたのだ。
「何言ってんだい、若い男女が一緒に入るなんて言語道断だよ!」
リリィの一言でイサムはゆっくりと一人で入浴出来た。
(ありがとうリリィ! やっとゆっくりと入れたよ!)
それから各自部屋にと向かったが、またここで問題が出てきた。イサムの部屋の前でメルが待っていたのだ。メルは、今迄オートマトンとして生活していた為、睡眠は必要では無かった。だか、コアだけの状態になり食事や睡眠が必要になってしまったメルは、寝巻きに着替えて両手には枕を抱えている。
「エリュオン達と同様に、ご一緒に寝ても宜しいでしょうか?」
「えっ! でもノルが怒るし流石に若い男女が一緒に寝るのは・・・・」
普通なら嬉しいシチュエーションだろう。だが、エリュオンもタチュラも居て生殺し状態で寝れるわけが無い。しかし、意外な返答が返ってきた。
「大丈夫です。新しくベッドを増やしてありますので、ご一緒に寝るというのは同じお部屋でって事です」
「あぁなるほどね・・・」
嬉しい様な悲しい様な気分になりつつも、部屋の扉を開けた。その瞬間、イサムの顔に枕が飛んで来る。
「ぶっあ! な・・・なんだ!?」
「あ! イサム! 加勢して! この生意気なフェアリーをやっつけるのよ!」
「メル様! こちらに加勢をお願い致します! 新参者をイジメる不届き者に是非とも成敗を!」
「こらテテル、お行儀が悪いですよ」
そう言うメルの顔にも枕が飛んでくる。
「いつまで気取ってるのかしら? そんな事でご主人様の所へ嫁ぐなんて良く言えたものですわ」
タチュラがメルに向けて枕を投げたようだ。それに火が点いたメルとイサムが枕を握り締める。
「あなた方は年長者を敬うという事が足りない様ですね」
「ふふふ、枕投げの真髄をお前らに教えてやる!」
そう言い放ったイサムだったが、イサム以外の女性達が投げる枕は、投げた瞬間にぶつかる速度でフワフワな枕が変形して、もはや通常の人ならば触れた瞬間に逝けるだろう兵器と化している。
「おっおい! まて! 枕投げのレベルじゃないぞ!」
破けること無く投げられる枕を顔面に受けならがら、吹き飛ぶイサムをみて笑う面々。
「イサム! 枕に飛ばされる位じゃ次の戦いも厳しいわよ!」
「そうですわ! 敵は手を抜いてくれませんことよ!」
「イサム様、私はまだ手加減していますよ」
「イサム様! 枕投げ楽しいですね!」
始めのうちは、二対二対一だったのがいつの間にか四対一になっている。
「ちょっとまて! お前ら俺だけがターゲットじゃないか!」
そして楽しい時間は過ぎ、何度と無く吹き飛ぶイサムを見ながら疲れた五人は、いつのまにか元々ベッドは一つだったが空間魔法で部屋を広げ横に三つ繋げたベッドで眠ってしまっていた。
「只今戻りました、お姉様!」
逸早くノルに気が付いたメルが即座に昇降機から出て、彼女に抱きつく。
「こら! 数日しか立っていないのに、本当に甘えん坊ね」
何があったか知っているノルは、それ以上は口に出さず優しく頭を撫でる。そこへイサム達もゾロゾロと昇降機から出てくる。ミケットだけは、三十層に連れて来た獣人達の連絡係として暫く残って面倒を見てくれとイサムがお願いすると、張り切って残ると言って三十層へ現在留まっている。
「ただいま! ノル! お母さんも一緒にこっちに来たよ!」
「はい、連絡を頂きました。良かったですね、私も心から嬉しく思います」
リリィの隣で歩くリリルカが嬉しそうにノルに伝える。
「久しぶりだねノル嬢、これから世話になるよ」
「お久しぶりで御座います。こちらこそ宜しくお願い致します」
リリィに深々と頭を下げるノルに、リリィも頭を掻きながら恥ずかしそうに軽く頭を下げた。その後ろからテテルがやってくる。
「ノル様、この度は不甲斐ない私のせいで、ご迷惑をお掛けしまして申し訳御座いません」
ポロリと涙を流すテテルに、ノルは優しく無事でよかったと傍に引き寄せて抱きつかせる。
「ノル様ぁ! 申し訳ありませぇん、うわぁぁん」
優しくされるのが辛かったのかテテルは泣き出してしまった。その後にイサムとエリュオンがやってくる。
「ただいま、ノル。ごめんな、メルの事をしっかりと守ってやれずに・・・・」
コアが変わってしまった事に罪悪感もあり、ノルに会ったらすぐに謝ろうと思っていたイサムに彼女は首を横に振り答える。
「いいえイサム様。連れて帰って来て貰えただけでも、私は感謝しております。本当に、妹を救って頂き誠に有難う御座います」
メルとテテルから一度離れ、深々とお辞儀をするノル。それを見てイサムはオートマトンでなければ涙が零れているのかもなと、嬉しくも悲しい気分になる。しかし、そこでメルがノルに爆弾を投下する。
「お姉様、私・・・イサム様の所へ嫁ぎます。裸を見られてしまいました」
「えっメル! 見てないって言ったじゃないか!」
いきなり何を言うんだと焦るイサム、それを見てエリュオンもそれは無いと首を振り否定する。しかしそれを聞いたノルは、何時取り出したのか『うさぎ』のストラップが付いた柳葉刀を一振り持っている。
「それはどういう事でしょうか? 事と次第によっては・・・」
「おいおいおいおい! 本当に見てないぞ! なぁ! エリュオン!」
「勿論よ! 嫁ぐなんて私が許さないわ!」
「いや! そこじゃないだろ!」
昇降機の入り口で騒いでいるとロロルーシェがやってくる。
「はっはっは、帰った早々賑やかだな」
優しい笑顔で出迎えるロロルーシェを見て、帰って来たなとホッとする。
「ロロ姐さん! 一緒に住む許可をくれてありがとう!」
リリィが深々とロロルーシェに頭を下げる。ロロルーシェはリリィそ傍に来て手を握る。
「リリィ、今まで会えない辛い日々を送らしてすまなかった。これからはリリルカと一緒にここでゆっくりと過ごしてくれ」
リリィの目にはうっすらと涙が見える、彼女のもう片方の手にリリルカが両手で掴み涙を流す。それをエリュオンが羨ましそうにみている。
「エリュオン、やっぱり家族が恋しいのか?」
イサムは優しくエリュオンに尋ねる、しかしエリュオンは首を横に振る。
「いらないわ、たぶん皆死んじゃってるし・・・それに今はイサム達がいるじゃない、私には家族みたいなものよ・・・」
「ははは、そうだな。確かに家族みたいなもんだな」
それを聞き肩にいたタチュラが小声で話す。
「まぁ子供ですからね、今回は大人しくしときましょう」
いつもなら茶々を入れるタチュラも、気を使った様だ。その後、家の中に入り食事を済ませ、そこでタダルカス王国で見た部屋の事の話になる。
「なるほどな、コアと同じ様な部屋か・・・・いや・・可能だろうな」
「そうなのか? でも何と言うか、闇に包まれた白い空間みたいな言葉にしにくい不思議な感じだったぞ」
「恐らくは、魔素の海に還るのを闇で防いでいたのだろう。闇自体がコアの外廓と同じ役割をしていたと考えて間違いないだろうな」
「それで何年もあそこの中で漂い続けてたわけね」
エリュオンもあの光景を見て居る為、ようやく納得したようだ。
「だがそこまで技術が進んでいたとはな・・・恐らくはルーシェの知恵だろうな」
「あれはエリュオンやミケットが闇だった頃の殺意とは、比べ物にならない程の恐怖を感じたよ」
「そうだろうな、染まっている時間が桁外れだ。それに他にも知恵者がいるだろう」
「まだ居るのか・・・だよな・・・報告に来た別の奴もかなりの奴のようだった」
「タジュカンか・・・・何者なのだろうな・・・まぁ疲れただろう暗い話はこの辺にして風呂にでも入ってさっぱりしようか」
「じゃぁ私もイサムと入るわ!」
「私も一緒に入ったほうが良いですか?」
「えー! イサム様と入るのですか? まだ日も浅いのに・・・」
などと女性陣の話を聞くイサムが勘弁してくれと話す。しかし今回は違った、救世主が現れたのだ。
「何言ってんだい、若い男女が一緒に入るなんて言語道断だよ!」
リリィの一言でイサムはゆっくりと一人で入浴出来た。
(ありがとうリリィ! やっとゆっくりと入れたよ!)
それから各自部屋にと向かったが、またここで問題が出てきた。イサムの部屋の前でメルが待っていたのだ。メルは、今迄オートマトンとして生活していた為、睡眠は必要では無かった。だか、コアだけの状態になり食事や睡眠が必要になってしまったメルは、寝巻きに着替えて両手には枕を抱えている。
「エリュオン達と同様に、ご一緒に寝ても宜しいでしょうか?」
「えっ! でもノルが怒るし流石に若い男女が一緒に寝るのは・・・・」
普通なら嬉しいシチュエーションだろう。だが、エリュオンもタチュラも居て生殺し状態で寝れるわけが無い。しかし、意外な返答が返ってきた。
「大丈夫です。新しくベッドを増やしてありますので、ご一緒に寝るというのは同じお部屋でって事です」
「あぁなるほどね・・・」
嬉しい様な悲しい様な気分になりつつも、部屋の扉を開けた。その瞬間、イサムの顔に枕が飛んで来る。
「ぶっあ! な・・・なんだ!?」
「あ! イサム! 加勢して! この生意気なフェアリーをやっつけるのよ!」
「メル様! こちらに加勢をお願い致します! 新参者をイジメる不届き者に是非とも成敗を!」
「こらテテル、お行儀が悪いですよ」
そう言うメルの顔にも枕が飛んでくる。
「いつまで気取ってるのかしら? そんな事でご主人様の所へ嫁ぐなんて良く言えたものですわ」
タチュラがメルに向けて枕を投げたようだ。それに火が点いたメルとイサムが枕を握り締める。
「あなた方は年長者を敬うという事が足りない様ですね」
「ふふふ、枕投げの真髄をお前らに教えてやる!」
そう言い放ったイサムだったが、イサム以外の女性達が投げる枕は、投げた瞬間にぶつかる速度でフワフワな枕が変形して、もはや通常の人ならば触れた瞬間に逝けるだろう兵器と化している。
「おっおい! まて! 枕投げのレベルじゃないぞ!」
破けること無く投げられる枕を顔面に受けならがら、吹き飛ぶイサムをみて笑う面々。
「イサム! 枕に飛ばされる位じゃ次の戦いも厳しいわよ!」
「そうですわ! 敵は手を抜いてくれませんことよ!」
「イサム様、私はまだ手加減していますよ」
「イサム様! 枕投げ楽しいですね!」
始めのうちは、二対二対一だったのがいつの間にか四対一になっている。
「ちょっとまて! お前ら俺だけがターゲットじゃないか!」
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