44 / 125
イフリ山とエリュオンの覚醒
第34話
しおりを挟む
目の前に煉獄の炎が広がる、それを防ぐ為に広がる薄緑の膜のような防御魔法。それが間違えだったのかもしれない。私達は抗ってはいけなかったのかも知れない。
でも遅すぎた、人は弱い。限りなく弱い。自分が生きる為にした事が、自分を殺す事に繋がる。だけど、そんなの分かるわけがない。でも、もうそんな事考えなくても良い。
だって私はもう生きていないのだから――――――。
ガバッ
エリュオンは、勢い良くシーツを押しのけ起きる。
「はぁはぁ・・・酷い夢・・あれ?・・・なんの夢見てたっけ・・・」
酷い夢を見ていたと思うのに、思い出せない。そして周りを見渡す、メルとテテルとタチュラが寝ている。
「あれイサムが居ない・・・・起きたのかな?」
窓から差し込む朝日に目を細めると、外に人の気配がする。ベッドから降り、窓の外を見ると知っている人影が二つ動いている。
「おいおいイサム、それじゃぁ駄目だ。簡単に斬られて終わりだよ」
「そんな事言ってもなぁ、なかなか難しい」
イサムとリリィが木の剣だろう武器をもち互いに構えている。そしてイサムがリリィに向い駆ける。
「駄目駄目、直線的に斬ろうとしても避けられて逆に攻撃を喰らうよ」
リリィは片手でイサムの攻撃を受け流しそのままカウンターで切りつける。練習用の木の剣は、刃先は平く刀身も鋭くないが、剣の熟練者が扱えばどんな武器でも凶器に変わる。それでもイサムにとっては、一切ダメージは無いので、リリィは少しだけ意地悪したくなる。
「ぐぁなんでだ・・・」
「直線じゃぁ斬る場所を相手に教えてるのと同じだよ、こんな感じでわざと直線的に見せて変えるんだ」
リリィは上から斬りつけるが、防ごうとするイサムの剣に当たるそのギリギリで角度を変えて突きに変わり胸に刺さる。いや刺さりはせずに百メートルほどイサムは吹き飛んだ。
「がはっ・・・なんでだ・・・全然見えないぞ」
「はははは、当たり前だ。まだまだ素人に見切られるほど鍛錬をさぼっては無いよ」
勿論イサムにダメージがあるわけではないが、かなりの距離を片手で吹き飛ばすリリィの強さに、イサムは感嘆の声が漏れる。そしてリリィは大きく振りかぶると、イサムに向けて振り下ろす。
ガガガガガ!
剣圧により生み出された斬撃が地を削りイサムを襲う。両手で顔を防ぐ様にしているイサムの体に触れる前に斬撃が消える。
「俺もそれくらい出来るように強くなりたい」
「ふふふ、良いね。頑丈とは聞いてたけど、ピンピンしてるじゃないか。治癒魔法の用意もしてたんだけどね」
「頑丈だけが取り柄みたいなもんだな・・・じゃぁ続き宜しく!」
イサムは再び駆け出し、リリィと同じ様に頭を斬り付けようとして突きを放つ。しかし難なくかわされて足を引っ掛けられる。それにまんまと引っ掛かり、前のめりに転がる。
「ぐうううう、くっそぉまだまだぁ」
「その意気だ、早くかかってきな」
部屋の中からエリュオンがそれを見ているが、それに気が付く事もなく二人は剣を交える。
「ふぁぁぁぁ・・・もう少し寝よっと・・・・」
エリュオンは一つ大きなあくびをすると、ベッドへ再び入り込む。
「ふぁぁぁぁ・・・」
朝食の席でイサムが大きなあくびをする。
「眠たそうですね、イサム様。随分と朝早く起きられましたが鍛錬は如何でしたか?」
朝食の準備をしながらメルがイサムに尋ねる。
「いやぁリリィが強いってのは聞いてたけど、これ程相手にならないとは思わなかった」
(本当は、起きたらメルの顔が目の前にあって、背中にはエリュオンがくっ付いていたから悶々して二度寝出来なかったとは言え無いよな・・・)
「ははははっ、イサム! これ程もなにも、まだ半分も力を出してないよ」
「まじかよ・・・・だって斬撃とか普通でないぞ」
リリィに相当しごかれたが、まったく相手にならなかったイサムは更に落ち込む。
「落ち込む暇なんて無いよ、日々鍛錬だ。気を抜くと命は無いよ」
「分かってるよ・・・日々鍛錬だろ」
「斬撃でるわよ普通に」
「ええ、出ますね」
エリュオンとメルが普通に斬撃は出ると言い、イサムはこれだから異世界はと口を尖らす。そのイサムを見ながら、ロロルーシェが今日の予定を伝えてくる。
「それで今日だが、メンテナンス室に行って一応みんなのコアを見ておこう。特にメルとテテルはオートマトンの体を失って武器召喚も念話も繋がらなくなってしまったからな」
「わかりました。流石に武器が無いと困りますね」
「そうです、タチュラと戦った時にはヒヤヒヤしました」
「それと、エリュオンとタチュラにも武器召喚と念話が使えないか調べて貰う」
イサムの肩から降りてテーブルで食事をして居るタチュラが答える。
「妾は、特に必要は感じませんがご主人様がどうしても仰るならば構いません」
「私も一応持ってるからなぁ。他の武器って言っても私は大剣以外は使いたくないし」
「私はここでお母さんと魔法の特訓をするよー」
「ちなみに俺は他の武器とかないのか?」
イサムのその言葉にリリィが反応する。
「あんた・・・初心者の武器すらまともに使えないのに何言ってんだい!」
「あ・・ははは、じょ冗談だよ・・怖ぇなリリィ・・・剣の鍛錬を励むよ・・」
「中途半端じゃ命がいくつあっても足りないよ、まずは剣を励みな!」
「りょ了解だ!」
実際イサムの母親と左程変わらない年齢のリリィに言われると、どうも従ってしまう。それでも嫌な気分ではないのだが。
「では一先ずは十階のメンテナンス室に向ってくれ」
ロロルーシェが伝えると、各自が動き出す。イサムはメンテナンス室について行く事にした。リリルカを残して、イサムとエリュオンとメル、テテルはメンテナンス室に向う。即座に走ってくるルルルがメルに抱きつく。
「メル様ぁーご無事で何よりですー! テテルあなたも助かって良かったわねー!」
メルに抱きついた後にテテルにも抱きつく。そしてその後は勿論エリュオンだ。
「エリュオンちゃん! 会いたかったわぁ!」
ぶんぶんと振り回しながら、クルクル回るルルルにエリュオンは当然無抵抗だ。
「おいおい、ルルル。それくらいで勘弁してやってくれ」
「うーん、目が回るぅ」
振り回されすぎたエリュオンが、目が回ったのだろうヨロヨロと歩いているのをイサムが受け止める。
「あぁごめんなさい・・・ちょっとやり過ぎちゃったわ」
テヘペロっと舌を出すルルルに反省の色は無いようだ。
「それでルルル、コアの事なんだけど」
「はい、ロロ様から聞いております。武器召喚と念話ですね、調べますので中にお入り下さい」
ルルルがそう言い、イサム以外の四人はメンテナンス室に入っていく。イサムは外で待機と言われた為、ベンチの様な椅子に座りぼーっと忙しくしている他のオートマトン達をみていた。そこにイサムへ声をかける者がいた。
「イサム殿、少し宜しいでしょうか?」
話しかけてきたのは、南の町ルンドルで活躍した卵型オートマトンのカルだった。
「こっちに戻ってきてたんだなカル!」
「はい、無事にルンドラの復旧作業が完了し、昨日ここへと帰還いたしました」
まじめに丁寧に答えるかる。そしてまたもや土下座のような状態になる。
「イサム殿、メル様をお救い頂き誠に、誠に有難う御座います」
「何言ってんだよ、助けられたのは本当にまぐれだったんだ」
カルは立ち上がり、深々と頭を下げる。
「それでも帰って来てくれたのが大事なのです」
「それならいいが・・・・・結構救えなかった感があるんだけどな」
「イサム殿は、心に決めた方など居られますか?」
「急に話が変わったな、こっちに来る前は居たけど・・・どうだろうな・・・」
隣人の真兎を思い出したが、イサムはそれが恋だったのか分からない。
「我輩は四千年前より、九十層のラル隊長をお慕い申し上げております」
「へーそうなんだ、成就すると良いな」
ラルに会った事は無いが、ノルやメルと共に長い時間生きているオートマトンってのは知っている。
「ふふふ、そうですね。いつか夢が叶えばいいのですが・・・」
「応援はするが、協力は出来そうにないな。オートマトンの恋愛事情も分からないし、自分自身も恋人いないからな・・・・」
「イサム殿には大勢いますでしょう、選り取り黄身取りで御座いますよ」
「あいつらはコアを所有しているって意味で好意を持っている感じがするけどな」
訳の分からない親父っぽい駄洒落をぶっこんで来るが、普通に答えるイサム。
「はっはっは、それはイサム殿がまだ未熟な証拠であります」
「そうだと良いな・・・」
「いつか必ず良き人が傍に、いやもう居るのかも知れませんが・・・おっと時間をお取りしました、我輩はこれにて失礼します」
カルはまた深々とお辞儀して、仕事へと戻っていった。小さなカルの背中が少しだけ大きく見えたイサムだった。しかしその目線の先に奇妙な三体のオートマトンを見つける。
先頭は正方形の木の板を抱え上げ、真ん中はその板を乗せるだろう四つ角に足のついた四角い枠、そして最後の奴は花柄の掛け布団をもっている。
(ん? あれコタツじゃないか? この世界にもコタツがあるのか?)
じっと見ているイサムに気がついたのか、三体の女の子であろうオートマトン達はそそくさと奥の建物に消えていった。
「なんだったんだ? あいつらは・・・」
色んな奴がいるなと、イサムの頭にハテナが出ている所にメル達が丁度戻ってきたのだった。
でも遅すぎた、人は弱い。限りなく弱い。自分が生きる為にした事が、自分を殺す事に繋がる。だけど、そんなの分かるわけがない。でも、もうそんな事考えなくても良い。
だって私はもう生きていないのだから――――――。
ガバッ
エリュオンは、勢い良くシーツを押しのけ起きる。
「はぁはぁ・・・酷い夢・・あれ?・・・なんの夢見てたっけ・・・」
酷い夢を見ていたと思うのに、思い出せない。そして周りを見渡す、メルとテテルとタチュラが寝ている。
「あれイサムが居ない・・・・起きたのかな?」
窓から差し込む朝日に目を細めると、外に人の気配がする。ベッドから降り、窓の外を見ると知っている人影が二つ動いている。
「おいおいイサム、それじゃぁ駄目だ。簡単に斬られて終わりだよ」
「そんな事言ってもなぁ、なかなか難しい」
イサムとリリィが木の剣だろう武器をもち互いに構えている。そしてイサムがリリィに向い駆ける。
「駄目駄目、直線的に斬ろうとしても避けられて逆に攻撃を喰らうよ」
リリィは片手でイサムの攻撃を受け流しそのままカウンターで切りつける。練習用の木の剣は、刃先は平く刀身も鋭くないが、剣の熟練者が扱えばどんな武器でも凶器に変わる。それでもイサムにとっては、一切ダメージは無いので、リリィは少しだけ意地悪したくなる。
「ぐぁなんでだ・・・」
「直線じゃぁ斬る場所を相手に教えてるのと同じだよ、こんな感じでわざと直線的に見せて変えるんだ」
リリィは上から斬りつけるが、防ごうとするイサムの剣に当たるそのギリギリで角度を変えて突きに変わり胸に刺さる。いや刺さりはせずに百メートルほどイサムは吹き飛んだ。
「がはっ・・・なんでだ・・・全然見えないぞ」
「はははは、当たり前だ。まだまだ素人に見切られるほど鍛錬をさぼっては無いよ」
勿論イサムにダメージがあるわけではないが、かなりの距離を片手で吹き飛ばすリリィの強さに、イサムは感嘆の声が漏れる。そしてリリィは大きく振りかぶると、イサムに向けて振り下ろす。
ガガガガガ!
剣圧により生み出された斬撃が地を削りイサムを襲う。両手で顔を防ぐ様にしているイサムの体に触れる前に斬撃が消える。
「俺もそれくらい出来るように強くなりたい」
「ふふふ、良いね。頑丈とは聞いてたけど、ピンピンしてるじゃないか。治癒魔法の用意もしてたんだけどね」
「頑丈だけが取り柄みたいなもんだな・・・じゃぁ続き宜しく!」
イサムは再び駆け出し、リリィと同じ様に頭を斬り付けようとして突きを放つ。しかし難なくかわされて足を引っ掛けられる。それにまんまと引っ掛かり、前のめりに転がる。
「ぐうううう、くっそぉまだまだぁ」
「その意気だ、早くかかってきな」
部屋の中からエリュオンがそれを見ているが、それに気が付く事もなく二人は剣を交える。
「ふぁぁぁぁ・・・もう少し寝よっと・・・・」
エリュオンは一つ大きなあくびをすると、ベッドへ再び入り込む。
「ふぁぁぁぁ・・・」
朝食の席でイサムが大きなあくびをする。
「眠たそうですね、イサム様。随分と朝早く起きられましたが鍛錬は如何でしたか?」
朝食の準備をしながらメルがイサムに尋ねる。
「いやぁリリィが強いってのは聞いてたけど、これ程相手にならないとは思わなかった」
(本当は、起きたらメルの顔が目の前にあって、背中にはエリュオンがくっ付いていたから悶々して二度寝出来なかったとは言え無いよな・・・)
「ははははっ、イサム! これ程もなにも、まだ半分も力を出してないよ」
「まじかよ・・・・だって斬撃とか普通でないぞ」
リリィに相当しごかれたが、まったく相手にならなかったイサムは更に落ち込む。
「落ち込む暇なんて無いよ、日々鍛錬だ。気を抜くと命は無いよ」
「分かってるよ・・・日々鍛錬だろ」
「斬撃でるわよ普通に」
「ええ、出ますね」
エリュオンとメルが普通に斬撃は出ると言い、イサムはこれだから異世界はと口を尖らす。そのイサムを見ながら、ロロルーシェが今日の予定を伝えてくる。
「それで今日だが、メンテナンス室に行って一応みんなのコアを見ておこう。特にメルとテテルはオートマトンの体を失って武器召喚も念話も繋がらなくなってしまったからな」
「わかりました。流石に武器が無いと困りますね」
「そうです、タチュラと戦った時にはヒヤヒヤしました」
「それと、エリュオンとタチュラにも武器召喚と念話が使えないか調べて貰う」
イサムの肩から降りてテーブルで食事をして居るタチュラが答える。
「妾は、特に必要は感じませんがご主人様がどうしても仰るならば構いません」
「私も一応持ってるからなぁ。他の武器って言っても私は大剣以外は使いたくないし」
「私はここでお母さんと魔法の特訓をするよー」
「ちなみに俺は他の武器とかないのか?」
イサムのその言葉にリリィが反応する。
「あんた・・・初心者の武器すらまともに使えないのに何言ってんだい!」
「あ・・ははは、じょ冗談だよ・・怖ぇなリリィ・・・剣の鍛錬を励むよ・・」
「中途半端じゃ命がいくつあっても足りないよ、まずは剣を励みな!」
「りょ了解だ!」
実際イサムの母親と左程変わらない年齢のリリィに言われると、どうも従ってしまう。それでも嫌な気分ではないのだが。
「では一先ずは十階のメンテナンス室に向ってくれ」
ロロルーシェが伝えると、各自が動き出す。イサムはメンテナンス室について行く事にした。リリルカを残して、イサムとエリュオンとメル、テテルはメンテナンス室に向う。即座に走ってくるルルルがメルに抱きつく。
「メル様ぁーご無事で何よりですー! テテルあなたも助かって良かったわねー!」
メルに抱きついた後にテテルにも抱きつく。そしてその後は勿論エリュオンだ。
「エリュオンちゃん! 会いたかったわぁ!」
ぶんぶんと振り回しながら、クルクル回るルルルにエリュオンは当然無抵抗だ。
「おいおい、ルルル。それくらいで勘弁してやってくれ」
「うーん、目が回るぅ」
振り回されすぎたエリュオンが、目が回ったのだろうヨロヨロと歩いているのをイサムが受け止める。
「あぁごめんなさい・・・ちょっとやり過ぎちゃったわ」
テヘペロっと舌を出すルルルに反省の色は無いようだ。
「それでルルル、コアの事なんだけど」
「はい、ロロ様から聞いております。武器召喚と念話ですね、調べますので中にお入り下さい」
ルルルがそう言い、イサム以外の四人はメンテナンス室に入っていく。イサムは外で待機と言われた為、ベンチの様な椅子に座りぼーっと忙しくしている他のオートマトン達をみていた。そこにイサムへ声をかける者がいた。
「イサム殿、少し宜しいでしょうか?」
話しかけてきたのは、南の町ルンドルで活躍した卵型オートマトンのカルだった。
「こっちに戻ってきてたんだなカル!」
「はい、無事にルンドラの復旧作業が完了し、昨日ここへと帰還いたしました」
まじめに丁寧に答えるかる。そしてまたもや土下座のような状態になる。
「イサム殿、メル様をお救い頂き誠に、誠に有難う御座います」
「何言ってんだよ、助けられたのは本当にまぐれだったんだ」
カルは立ち上がり、深々と頭を下げる。
「それでも帰って来てくれたのが大事なのです」
「それならいいが・・・・・結構救えなかった感があるんだけどな」
「イサム殿は、心に決めた方など居られますか?」
「急に話が変わったな、こっちに来る前は居たけど・・・どうだろうな・・・」
隣人の真兎を思い出したが、イサムはそれが恋だったのか分からない。
「我輩は四千年前より、九十層のラル隊長をお慕い申し上げております」
「へーそうなんだ、成就すると良いな」
ラルに会った事は無いが、ノルやメルと共に長い時間生きているオートマトンってのは知っている。
「ふふふ、そうですね。いつか夢が叶えばいいのですが・・・」
「応援はするが、協力は出来そうにないな。オートマトンの恋愛事情も分からないし、自分自身も恋人いないからな・・・・」
「イサム殿には大勢いますでしょう、選り取り黄身取りで御座いますよ」
「あいつらはコアを所有しているって意味で好意を持っている感じがするけどな」
訳の分からない親父っぽい駄洒落をぶっこんで来るが、普通に答えるイサム。
「はっはっは、それはイサム殿がまだ未熟な証拠であります」
「そうだと良いな・・・」
「いつか必ず良き人が傍に、いやもう居るのかも知れませんが・・・おっと時間をお取りしました、我輩はこれにて失礼します」
カルはまた深々とお辞儀して、仕事へと戻っていった。小さなカルの背中が少しだけ大きく見えたイサムだった。しかしその目線の先に奇妙な三体のオートマトンを見つける。
先頭は正方形の木の板を抱え上げ、真ん中はその板を乗せるだろう四つ角に足のついた四角い枠、そして最後の奴は花柄の掛け布団をもっている。
(ん? あれコタツじゃないか? この世界にもコタツがあるのか?)
じっと見ているイサムに気がついたのか、三体の女の子であろうオートマトン達はそそくさと奥の建物に消えていった。
「なんだったんだ? あいつらは・・・」
色んな奴がいるなと、イサムの頭にハテナが出ている所にメル達が丁度戻ってきたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる