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しおりを挟むよからぬ噂が私の耳に入ってきました。
『どうやら婚約者が浮気をしているらしい、しかも姉と』
私は最初のほうはそんな法螺に付き合っていませんでした。
しかしながら、私も私で彼の言葉の節々から滲みだしていた、あの少しの不快感に身に覚えがあったので、少なからず私の心にその噂がひっかき傷を残しているのでした。
「はぁ……まさかね」
私ははやくこの憂さを晴らしてしまいたい。
そう思っています。
このような気持ちのままでいては体に毒です。
はやく解決してしまうことに、越したことはありません。
「はぁ……いっちゃおうかしら」
私は夜更けの時分に、寝室を抜け出しました。
今日は私との逢瀬のない日でした。
そんなときに彼が何をしているのか、私は一切知りません。
そうなのです。。
知らなかったのです。
いま気付きました。
「はぁ……なんだか嫌な予感がしてきたわ」
私はコツコツと姉の寝室まで忍び足で歩いていきます。
このように暗くなった、夜のとばりの降りた長い長い屋敷の廊下を歩くのはいつぶりでしょうか。
「はぁ……なんか、小さいときを思い出すわね」
私はそうやって昔の記憶に思いを馳せて、なるべく無関心の体を装って、寝室のまえまでやってきました。
すると、その先。
姉の寝室からは……
「ああああっ!!!あああっ!!!!!だめっ!!!!!!」
『ぎっぎっぎしっぎっ!!!!!!』
激しいベットの軋む音と、お姉さまが淫らに喘ぐ声が聞こえてくるのでした。
「…………はぁ。まさか、まさかのまさかが的中してしまうとは。私はなんて不幸な境遇になってしまったのでしょう。どうしてこうなってしまったのでしょうか……」
私は少しだけ惨めな気持ちになりました。
なにせ、実の姉に婚約者を寝取られてしまったのだから。
しかし、どうせこれも無かったことにされて、私はこのまま彼と結婚するのでしょう。
そう、なにも私が文句を言わなかったら……の話ですが。
「なんだかめちゃくちゃにしてあげたいですわね」
魔が差したとは、まさにこのことをいうのでしょう。
私は部屋着をぱさりぱさりと床に脱ぎ捨てていきました。
そして、深夜の廊下、月明りに照らされた一人の可憐な少女の裸体がそこに完成したのです。
★★★★★★★★★
悲しみの
夜に優しく
月明り
照らす彼女の
美しさかな
★★★★★★★★★
へたくそな和歌を私は呟き……
そして、破裂しそうな怒りと膀胱ととも、姉の寝室に特攻したのです。
「くらえええええええええ!!!!!!!!!!」
私はそう言って、
阿保面をした、行為中の二人にめがけて……
美しい曲線を描く……
真っ黄色の液体をぶっかけたのでした……
『しゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』
「う、うわあああああ!!!! や、やめっろおおおおおおおお!!!!!!」
「ちょっと、何考えてるのよ!!!!!」
二人がわぁわぁと叫びわめいていますが、私はそんなこと聞く耳を持ちません。
「それはこっちのセリフだぁぁぁぁ!!!!!!!!」
私は慌てふためく2人の姿を見ながら……
なぜかとても懐かしい心持ちでいた。
小さいときの私も、こんな感じだったな……
いつも破天荒で……
お調子者で……
いつから、こんなに真面目な乙女になってしまったのでしょうか。。
ああ……
いま私は……
「おごごごごごごぼぼぼぼぼぼぼ」
私の私で窒息しかけている憐れな婚約者を、恍惚とした気持ちで私は見つめながら……
過ぎ去った過去に思いを馳せているのでした……
『しょわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』
【了】
応援ありがとうございます!
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( ⊙ω⊙)
(つω⊂)ゴシゴシツカゴシ
(; ⊙ω⊙) ……
(つω⊂)ゴシゴシツカゴシ
(;⊙ω⊙)えぇ…!?