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7-1 わたしはあなたの side A
8 ウェルカム
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向こう側の角から姿を表したのはロビンだった。
どうやらよくあるつっかけるタイプのサンダルを履いているのが、気の抜ける足音の原因らしい。
「ヒロ、大丈夫?」
「ロビン、ちょっと、とっとと来てください」
やたらとラフな弘の指示に、ロビンがぱたぱたと小走りでこちらにやって来る。
「シジル、わたしの左足の下にあるんで拾ってもらっていいです?」
「ん、わかった」
ロビンが弘の左側に回り込んでしゃがむと、弘が少し足を浮かせて、その隙間からロビンが少し土に汚れたメダルを拾い上げた。
「それ、わたしの! かえ」
「知ってるよ。そして、だからこそキミに渡せない。ボクもコレの意味は存分に知ってるからね」
返せ、と言おうとした珠紀を遮って、ロビンが淡々と言った。
言われた珠紀は、ぐっと唇を噛みしめる。
「観念してくれましたかね。とりあえず、中入って聴取と行きますか」
自由に足を動かせるようになった弘が珠紀の手首を掴んだまま、珠紀を引きずるようにぐいぐいと玄関へと進んでいく。
ぽけっとそれを見ていた和音の背をそっとロビンが押して、その後に続くように促した。
◆
「いらっしゃい。ロビンと織歌から話は聞いてるよ」
一転して、上がり框で、珠紀と和音を、にこにことウェルカムムードで待っていたのは、明るい茶髪を左肩に流すように括った人だった。
上下共にだぼっとした服を着ていることや、弘より少し高いぐらいの背に、整った顔立ちや低すぎない声と、性別を断定するのが難しく、あまり掴みどころもない。
唯一、強烈な印象は――胡散臭い。それだけだった。
「弘、ここまで来たら大丈夫じゃない? 放してあげたら?」
「えー……わかりました」
その人の一言で、渋々といった体だが、弘が珠紀の手を放す。
「まあ、訊きたいことも、やらなきゃいけないこともあるから、二人とも遠慮せずにあがって、あがって」
「え、あ、お邪魔、します」
「……」
こっちこっち、と案内されるままに、和音はそのまま奥のリビングらしき部屋について行く。
一応後ろを気にすれば、むくれたままの顔で珠紀もついて来ている。たぶん後ろに弘がいるのが大きいが。
リビングダイニングに入れば、玄関までついて来ずにそのまま庭に面した窓から入ったであろうロビンがスマホを片手に待っていた。
「センセイ、オリカ、もうすぐ着くって」
「なら、よかった。これは織歌が持ち込んだ案件だしね。あ、座って座って」
ダイニングテーブルの椅子二つを示されて、恐る恐る和音が座れば、もう片方に渋々と珠紀も座った。
「さて、とキミが葉山和音ちゃん、だね。もう一人のキミは?」
「……」
さっきからロビンや弘と違って、にこやかに柔らかく話すその人を珠紀は無言で睨みつける。
「ふむ……そうやって気難しいから、悪魔に縋らなきゃ、友達もできなかった?」
「ざっけんじゃないわよ!」
わざとらしい神経を逆撫でするような言葉に、珠紀は髪を振り乱して、声を荒げ、机を叩く。
「それなら、キミがこのシジルに執着する意味はないんじゃない?」
ひらり、とその先生と呼ばれる人が閃かせた掌に、手品師がそうしてみせるように、先程、弘が踏んでいたメダルが姿を見せる。
どうやらよくあるつっかけるタイプのサンダルを履いているのが、気の抜ける足音の原因らしい。
「ヒロ、大丈夫?」
「ロビン、ちょっと、とっとと来てください」
やたらとラフな弘の指示に、ロビンがぱたぱたと小走りでこちらにやって来る。
「シジル、わたしの左足の下にあるんで拾ってもらっていいです?」
「ん、わかった」
ロビンが弘の左側に回り込んでしゃがむと、弘が少し足を浮かせて、その隙間からロビンが少し土に汚れたメダルを拾い上げた。
「それ、わたしの! かえ」
「知ってるよ。そして、だからこそキミに渡せない。ボクもコレの意味は存分に知ってるからね」
返せ、と言おうとした珠紀を遮って、ロビンが淡々と言った。
言われた珠紀は、ぐっと唇を噛みしめる。
「観念してくれましたかね。とりあえず、中入って聴取と行きますか」
自由に足を動かせるようになった弘が珠紀の手首を掴んだまま、珠紀を引きずるようにぐいぐいと玄関へと進んでいく。
ぽけっとそれを見ていた和音の背をそっとロビンが押して、その後に続くように促した。
◆
「いらっしゃい。ロビンと織歌から話は聞いてるよ」
一転して、上がり框で、珠紀と和音を、にこにことウェルカムムードで待っていたのは、明るい茶髪を左肩に流すように括った人だった。
上下共にだぼっとした服を着ていることや、弘より少し高いぐらいの背に、整った顔立ちや低すぎない声と、性別を断定するのが難しく、あまり掴みどころもない。
唯一、強烈な印象は――胡散臭い。それだけだった。
「弘、ここまで来たら大丈夫じゃない? 放してあげたら?」
「えー……わかりました」
その人の一言で、渋々といった体だが、弘が珠紀の手を放す。
「まあ、訊きたいことも、やらなきゃいけないこともあるから、二人とも遠慮せずにあがって、あがって」
「え、あ、お邪魔、します」
「……」
こっちこっち、と案内されるままに、和音はそのまま奥のリビングらしき部屋について行く。
一応後ろを気にすれば、むくれたままの顔で珠紀もついて来ている。たぶん後ろに弘がいるのが大きいが。
リビングダイニングに入れば、玄関までついて来ずにそのまま庭に面した窓から入ったであろうロビンがスマホを片手に待っていた。
「センセイ、オリカ、もうすぐ着くって」
「なら、よかった。これは織歌が持ち込んだ案件だしね。あ、座って座って」
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「さて、とキミが葉山和音ちゃん、だね。もう一人のキミは?」
「……」
さっきからロビンや弘と違って、にこやかに柔らかく話すその人を珠紀は無言で睨みつける。
「ふむ……そうやって気難しいから、悪魔に縋らなきゃ、友達もできなかった?」
「ざっけんじゃないわよ!」
わざとらしい神経を逆撫でするような言葉に、珠紀は髪を振り乱して、声を荒げ、机を叩く。
「それなら、キミがこのシジルに執着する意味はないんじゃない?」
ひらり、とその先生と呼ばれる人が閃かせた掌に、手品師がそうしてみせるように、先程、弘が踏んでいたメダルが姿を見せる。
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