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7-2 わたしはあなたの side B
5 其に実体の分断はない
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「まあ、次呼び出した時も、とっとと来れるよう準備しとけよ、今はとっとと帰れって言ってますからね。要約すると」
ロビンより、弘の端的なまとめの方が分かりやすかったのか、和音と珠紀の表情が、幾分、しゃきっとする。
しかし、なんだかヤンキーじみてるように思えるのは何故だろう。そう、焼きそばパンを買いに他人を走らせるようなステレオタイプの。
「だから、一度召喚したということは、自然と繋がりが成立し続けていることになる。今回はその概念的な経路自体を道切りしたい、というところだ」
「センセイ、道切りは専門用語」
「要は害悪出禁の結界を設置したいということです」
紀美の話の総括に、ロビンが釘を刺し、弘が和音と珠紀に向けて、端的な説明を補足する。
通常の道切りは、集落などの道に接する部分に縄、特に注連縄を張って、目に見てわかりやすい境を作り出すことが多い。所謂道祖神も道切りの目印でもある。
だが、今回は空間的なものでもないし、そもそも道切りが日本に根ざしたものなら、相手は西洋魔術である。
「で、今回は人に憑いてるわけでもないし悪魔祓いはしない。僕らに正式なそれも出来ないから、そうだったら別の人を紹介したけどね」
「ええと、悪魔が憑いてないって言い切れる、根拠ってあるんですか?」
和音の質問に、珠紀が顔を青白くさせ、紀美がぱちくりと瞬きをした。
「あー……まあ、普通西洋魔術を使っただけで悪魔に憑かれるなんてことはない。悪魔の力を借りるとしてもね。悪魔に憑かれた場合、性格の豹変、幻覚や譫妄、奇行などの症状が現れると言われるけど、最初に悪魔祓いについて言われた時に答えた通り、それが精神的または身体的疾患による症状ではないことを立証しなくちゃならない。例えば性格の豹変は脳梗塞で起こりうるし、譫妄や奇行は認知症でも起こりうる。そういった可能性を排除して初めて、悪魔祓いの舞台に上がる……ただ、よく言われるのは、悪魔に憑かれた本人が知り得ない情報、そんな教養がない人間がラテン語を理解し、操るとか、相対したその人しか知らない情報を口にするとか、それが見極めのきっかけの一つと言われたりする。でも、そういうのないじゃない?」
そう言って、ぽてり、と特段思うところもない表情で首を傾げた紀美に、和音がその情報量に気圧されたように、あ、はい、と返事をしている。
これだけ濃密な情報だというのに、何故だか言われた側も理解できてしまうから困惑してしまう、というのを織歌も何度も味わっているので、その気持ちはわかる。
「まあ、これからしようとしてることに変に反応したりしたら、そういう事にならなくもないけど、今んとこは十中八九ないはず……だけど心配なら確定させようか」
そう言って、紀美は持って来た本の内、一冊を手にして、付箋が貼られたページを開くと、そのまま口を開いた。
「Et in hac Trinitate nihil prius aut posterius, nihil maius aut minus: Sed totae tres personae coaeternae sibi sunt et coaequales. Ita, ut per omnia, sicut iam supra dictum est, et unitas in Trinitate, et Trinitas in unitate veneranda sit. Qui vult ergo salvus esse, ita de Trinitate sentiat.Sed necessarium est ad aeternam salutem, ut incarnationem quoque Domini nostri Iesu Christi fideliter credat.」
なんの躊躇いも淀みもなく、開いたページに目を落として、読み上げ切ってから、紀美は顔を上げる。
「ほらね? 二人ともわかってない。だから、大丈夫」
そして、紀美は、珠紀と和音のぽかんとした顔を確認して、くすくすと笑ってそう言った。
ロビンより、弘の端的なまとめの方が分かりやすかったのか、和音と珠紀の表情が、幾分、しゃきっとする。
しかし、なんだかヤンキーじみてるように思えるのは何故だろう。そう、焼きそばパンを買いに他人を走らせるようなステレオタイプの。
「だから、一度召喚したということは、自然と繋がりが成立し続けていることになる。今回はその概念的な経路自体を道切りしたい、というところだ」
「センセイ、道切りは専門用語」
「要は害悪出禁の結界を設置したいということです」
紀美の話の総括に、ロビンが釘を刺し、弘が和音と珠紀に向けて、端的な説明を補足する。
通常の道切りは、集落などの道に接する部分に縄、特に注連縄を張って、目に見てわかりやすい境を作り出すことが多い。所謂道祖神も道切りの目印でもある。
だが、今回は空間的なものでもないし、そもそも道切りが日本に根ざしたものなら、相手は西洋魔術である。
「で、今回は人に憑いてるわけでもないし悪魔祓いはしない。僕らに正式なそれも出来ないから、そうだったら別の人を紹介したけどね」
「ええと、悪魔が憑いてないって言い切れる、根拠ってあるんですか?」
和音の質問に、珠紀が顔を青白くさせ、紀美がぱちくりと瞬きをした。
「あー……まあ、普通西洋魔術を使っただけで悪魔に憑かれるなんてことはない。悪魔の力を借りるとしてもね。悪魔に憑かれた場合、性格の豹変、幻覚や譫妄、奇行などの症状が現れると言われるけど、最初に悪魔祓いについて言われた時に答えた通り、それが精神的または身体的疾患による症状ではないことを立証しなくちゃならない。例えば性格の豹変は脳梗塞で起こりうるし、譫妄や奇行は認知症でも起こりうる。そういった可能性を排除して初めて、悪魔祓いの舞台に上がる……ただ、よく言われるのは、悪魔に憑かれた本人が知り得ない情報、そんな教養がない人間がラテン語を理解し、操るとか、相対したその人しか知らない情報を口にするとか、それが見極めのきっかけの一つと言われたりする。でも、そういうのないじゃない?」
そう言って、ぽてり、と特段思うところもない表情で首を傾げた紀美に、和音がその情報量に気圧されたように、あ、はい、と返事をしている。
これだけ濃密な情報だというのに、何故だか言われた側も理解できてしまうから困惑してしまう、というのを織歌も何度も味わっているので、その気持ちはわかる。
「まあ、これからしようとしてることに変に反応したりしたら、そういう事にならなくもないけど、今んとこは十中八九ないはず……だけど心配なら確定させようか」
そう言って、紀美は持って来た本の内、一冊を手にして、付箋が貼られたページを開くと、そのまま口を開いた。
「Et in hac Trinitate nihil prius aut posterius, nihil maius aut minus: Sed totae tres personae coaeternae sibi sunt et coaequales. Ita, ut per omnia, sicut iam supra dictum est, et unitas in Trinitate, et Trinitas in unitate veneranda sit. Qui vult ergo salvus esse, ita de Trinitate sentiat.Sed necessarium est ad aeternam salutem, ut incarnationem quoque Domini nostri Iesu Christi fideliter credat.」
なんの躊躇いも淀みもなく、開いたページに目を落として、読み上げ切ってから、紀美は顔を上げる。
「ほらね? 二人ともわかってない。だから、大丈夫」
そして、紀美は、珠紀と和音のぽかんとした顔を確認して、くすくすと笑ってそう言った。
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