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3章
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目を開けてぼんやりとした視界に飛びこんできたのは見慣れない天井の木目。
(あれ? 私…)
思考回路が正常に働き出してから体を起こした麓。眠たい目をこすっていると、脳が徐々に覚醒していく。
(…そうだ。学園にいるんだった)
麓はゴソゴソと毛布を片付けた。
着替え終わってから窓を開け、外の空気を思い切り吸い込んだ。山の上と学園の空気はなんとなく味が違う気がした。
すると、窓の桟に3羽のスズメが降り立った。
「おはよう」
ごく自然に話しかけて微笑むと、1羽が麓の指に止まった。
『おはよう。初めて見る顔だね。どこから来たの?』
スズメが語りかけてきた。口振りからして、ここによく訪れているのだと思われる。
「花巻山からだよ」
『えっ? じゃあ君が麓?』
「そうだけど…なんで知ってるの?」
『だって有名だよ? 君のことって。花巻山の"花"だって獣たちの間では呼ばれているよ。────そっかぁ、ここに来たのか。じゃっ、あの山は今は"巻山"だね』
「私が花? どういうこと?」
獣相手で油断したのか、一人称が"私"になっていた。
スズメの言った意味がわからない麓が首を傾げると、スズメは喉の奥で笑った。
『言った通りさ。きっとその内分かるよ』
そう言い残し、3羽とも飛び立ってしまった。
自分が"花"。
どういうことなんだろう。スズメは麓に疑問を残した。
「おはようございます」
「おはようございます。麓様が1番ですわ」
食堂のテーブルにはすでに、朝食の準備ができている。寮長はコーヒーを飲んでくつろいでいたらしい。
「ささ、朝食をどうぞ。朝の元気の源でございますから、しっかりとお召し上がり下さいませ」
「ありがとうございます」
麓は昨日と同じ席に座り、手を合わせてから目玉焼きが乗ったトーストをかじった。卵は半熟でトローリとしていて濃厚だ。トーストもほどよく焼かれていて香ばしい。
「おっはよー! あ、ロクにゃんじゃん」
「早いな。昨日はよく眠れたか?」
光と焔が寝巻きのままで食堂に姿を現した。 2人とも頭に寝ぐせがついている。
「早いね…。若者達よ…」
「頭痛ェ…」
若干、顔色が悪いのは霞と扇。こめかみを抑えている。寮長は心配そうな表情になった。
「どうされたんです?お2人ともずいぶん調子が悪そうですが」
「晩に呑み過ぎたかも…」
「まぁいつの間に。仕方ありませんね、すぐにお味噌汁を用意致します」
「すまない寮長…」
寮長は台所へ引っ込み、霞と扇は椅子に座り込んだ。いくらアルコールに酔わないとは言え、調子に乗って呑みまくるとひどい二日酔いに襲われる。
「早ェよおめーら…まだ眠いわ」
最後に来たのは凪。二日酔いになった様子はなく、普通に席に着いて朝食に手を伸ばした。だが、霞と扇の様子にギョッとして手を引っ込みかけた。
「うっわ…朝からどんなテンションしてんだおめーら。怖ェぞ」
「あはは…大丈夫。たぶん」
2人の顔色が少しだけ良くなったように見えたのは麓の気のせいだろうか。
とりあえずサラダを食べ始め、朝食に集中した。
「そういえば、始業式のことを話してなかったよな」
凪が声をかけられ、麓はうなずいた。
「4月にあるから。それまでこの風紀委員寮にいな。学園が始まれば、一般の生徒寮に移動だ」
「そうですか…」
まぁそれもそうだろうな、と思う。自分は風紀委員じゃないから。
それでも少し寂しい。風紀委員は一緒にいて楽しい人がいる。
光とか焔とか…委員じゃないけど寮長も。霞と扇は頼りになると思う。
でもただ1人────青髪の男のことはよくわからない。
「んで、自分の故郷に帰ることができるのは長期休暇のみ。夏休みとか…今だな」
もぐもぐとサラダを咀嚼している凪の黄金色の瞳は、話しかけている麓ではなく朝食に向けていた。
初対面のあの時に、初めてぬくもりを教えてくれたのはまぎれもなくこの人だ。
でも────心の距離が1番遠い気がする。
会って日が短いのもあるだろうけど、他とは何かが違う。
必要なことは全て話してくれる。歳上として言えるフォローも入れてくれる。
それでも…なぜこんなに気になるんだろう。
(あれ? 私…)
思考回路が正常に働き出してから体を起こした麓。眠たい目をこすっていると、脳が徐々に覚醒していく。
(…そうだ。学園にいるんだった)
麓はゴソゴソと毛布を片付けた。
着替え終わってから窓を開け、外の空気を思い切り吸い込んだ。山の上と学園の空気はなんとなく味が違う気がした。
すると、窓の桟に3羽のスズメが降り立った。
「おはよう」
ごく自然に話しかけて微笑むと、1羽が麓の指に止まった。
『おはよう。初めて見る顔だね。どこから来たの?』
スズメが語りかけてきた。口振りからして、ここによく訪れているのだと思われる。
「花巻山からだよ」
『えっ? じゃあ君が麓?』
「そうだけど…なんで知ってるの?」
『だって有名だよ? 君のことって。花巻山の"花"だって獣たちの間では呼ばれているよ。────そっかぁ、ここに来たのか。じゃっ、あの山は今は"巻山"だね』
「私が花? どういうこと?」
獣相手で油断したのか、一人称が"私"になっていた。
スズメの言った意味がわからない麓が首を傾げると、スズメは喉の奥で笑った。
『言った通りさ。きっとその内分かるよ』
そう言い残し、3羽とも飛び立ってしまった。
自分が"花"。
どういうことなんだろう。スズメは麓に疑問を残した。
「おはようございます」
「おはようございます。麓様が1番ですわ」
食堂のテーブルにはすでに、朝食の準備ができている。寮長はコーヒーを飲んでくつろいでいたらしい。
「ささ、朝食をどうぞ。朝の元気の源でございますから、しっかりとお召し上がり下さいませ」
「ありがとうございます」
麓は昨日と同じ席に座り、手を合わせてから目玉焼きが乗ったトーストをかじった。卵は半熟でトローリとしていて濃厚だ。トーストもほどよく焼かれていて香ばしい。
「おっはよー! あ、ロクにゃんじゃん」
「早いな。昨日はよく眠れたか?」
光と焔が寝巻きのままで食堂に姿を現した。 2人とも頭に寝ぐせがついている。
「早いね…。若者達よ…」
「頭痛ェ…」
若干、顔色が悪いのは霞と扇。こめかみを抑えている。寮長は心配そうな表情になった。
「どうされたんです?お2人ともずいぶん調子が悪そうですが」
「晩に呑み過ぎたかも…」
「まぁいつの間に。仕方ありませんね、すぐにお味噌汁を用意致します」
「すまない寮長…」
寮長は台所へ引っ込み、霞と扇は椅子に座り込んだ。いくらアルコールに酔わないとは言え、調子に乗って呑みまくるとひどい二日酔いに襲われる。
「早ェよおめーら…まだ眠いわ」
最後に来たのは凪。二日酔いになった様子はなく、普通に席に着いて朝食に手を伸ばした。だが、霞と扇の様子にギョッとして手を引っ込みかけた。
「うっわ…朝からどんなテンションしてんだおめーら。怖ェぞ」
「あはは…大丈夫。たぶん」
2人の顔色が少しだけ良くなったように見えたのは麓の気のせいだろうか。
とりあえずサラダを食べ始め、朝食に集中した。
「そういえば、始業式のことを話してなかったよな」
凪が声をかけられ、麓はうなずいた。
「4月にあるから。それまでこの風紀委員寮にいな。学園が始まれば、一般の生徒寮に移動だ」
「そうですか…」
まぁそれもそうだろうな、と思う。自分は風紀委員じゃないから。
それでも少し寂しい。風紀委員は一緒にいて楽しい人がいる。
光とか焔とか…委員じゃないけど寮長も。霞と扇は頼りになると思う。
でもただ1人────青髪の男のことはよくわからない。
「んで、自分の故郷に帰ることができるのは長期休暇のみ。夏休みとか…今だな」
もぐもぐとサラダを咀嚼している凪の黄金色の瞳は、話しかけている麓ではなく朝食に向けていた。
初対面のあの時に、初めてぬくもりを教えてくれたのはまぎれもなくこの人だ。
でも────心の距離が1番遠い気がする。
会って日が短いのもあるだろうけど、他とは何かが違う。
必要なことは全て話してくれる。歳上として言えるフォローも入れてくれる。
それでも…なぜこんなに気になるんだろう。
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