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第2話 異世界書籍は800冊?!
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不思議と慌てることも無く、落ち着いて状況確認が出来た。
立ち上がってみると、寝そべっていたのは長椅子のようだ。普通の長椅子と違うのは周りに同じ椅子が沢山あることだろう。
もう一つの落ち着いていた理由に、建物の中だったということも大きい。
『家で寝ていたら草原だった』
なんて状況ならパニックで慌てまくった自信がある。
『教会かな?』
一番しっくり来るのはこの表現だろう。祭壇のような物があり、天井がかなり高く作ってある。
ステンドグラスではないが、建物の割に縦長のガラスがはめ込まれている。その窓から月の明かりが眩しいほど差し込んでいた。
透明度はあまり無く、わざとそう作ってあるというよりは、これが精一杯の技術のように思える。
照明は無かったが、差し込む月光のお陰で出口まではすんなりと向かえた。
『とりあえず外を見てみるか……』
内鍵をどうにか開けると、見上げた夜空には大きな月が二つあったのだ。
クラクラとして夢の世界に逃げ出したくもあったが、この胸の鼓動が落ち着くまでは、再び横になっても安眠はやってこないだろう。
「ここはどこなんだ?月が二つある時点で、日本どころか地球でも無いよな……」
思わず口にしてしまった。独り言なんて普段は言わないんだけどな。
ただ、異世界系のマンガや小説を読みまくっていたからか、思ったよりも落ち着いている。
ハマってしまい、ここ数年で購入した書籍も800冊は超えていると思う。
『昨日はタイムスリップで、今日は異世界かよ……だとしたら、もしかして……』
意を決して叫んだ。
「ステータスオープン!」
【種族】人族
【性別】男
【名前】桐生 和馬
【レベル】1
【体力】200
【魔力】120
【攻撃力】35
【防御力】30
【魔法】####
【スキル】時空転移(半)Lv.1 ####
本当に出てきてしまったが、不思議と慌てることも無くそう思えたのは、今も読んでいるネット小説のお陰だろうか。
『そう思うと何が役に立つかわからないな……魔法とスキルか。時空転移はタイムスリップしたり、異世界に来たりだよな。でも(半)ってなんだ?あと####はレベル上がったら見れるのかな?』
そんな事を思いながら、まさに宝石をちりばめたような満天の星空を見上げた。
いつもの世界なら、街が明るすぎてこんなに星は見えないだろう。
『旅行だったら素直に感動してたんだけどな』
振り返ると先程までいた建物を見上げてみる。高さは5~6mくらいだろうか。年季の入った石造りの建物だ。神殿と呼ぶには小さく、村にあるような教会という表現が一番しっくりくる。
『とりあえず歩き回る前に状況確認だな』
自分の服装をチェックしてみると、20年前によく着ていた服だ。ポケットを探してみたが持ち物は何も無い。
顔をペタペタしてみると今よりほっそりしている。そしてフサフサの髪の毛。
「もしかして若い時のままで、異世界転移?!わけわからん!」
思わず大声を出してしまった。
「誰ですか!!」
建物の脇から、長いスカートの女性が現れた。あのシルエットは、多分この教会のシスターだろう。
「すみません。ここはどこですか?」
「……」
「僕もどうしてここにいるのか分からないんです。」
「……」
暗くて見え辛いが、驚いたような顔をしている気がする。それに頭にあるあの三角のシルエットとあの目……
ゆっくり近づこうとすると……
「来ないで下さい!」
「?!」
かなり大きな声だったのでオレも驚いた。ジリジリと後ずさっているように思える。
「こんな夜中にまで嫌がらせに来るなんて、とぼけても分かってますよ!」
「?……いやオレがわからないんですけど……」
「あなた達のところには行きません!」
「いや、だから……」
何だか全くオレの言うことは聞いてくれない感じだ。近づこうとすると……
「フシャー!!」
シスターは白い牙を見せながら怒っている。文字通り目を光らせて……
「ちょっと待ってください。誤解です。話を聞いてもらえませんか???」
「フシャー!!!」
ダメだ……さっきより警戒されちゃってる。それにしても、光る目とこの威嚇の仕方は……
『猫だよなぁ』
三角のシルエットはネコ耳だった。猫の獣人を見て感動したが、それより全くこちらの話を聞いてくれない方が問題だ。
そんな押し問答が15分くらいすると、後ろから嬉しい声が聞こえた。
「和馬!」
「美鈴ちゃん!」
テクテクと、あまり走ってるようには見えないが奥さんとしては急いで来てくれたようだ。
「大丈夫?」
「オレは大丈夫なんだけど、向こうがね……」
シスターはキョトンとしてオレ達を見ている。美鈴ちゃんは優しい目でシスターを見つめた。
するとトコトコとシスターの近くまで行ってしまった。
「夜分にすみません。私は桐生美鈴と言います。後ろにいるのは主人です。驚かせてしまったようで申し訳ありませんでした」
「えっ、あっ……」
シスターは直立不動で固まっている。
「何か勘違いがあったようですが、私たちは危害を加えることは絶対にありません。信じてもらえませんか」
「あっ、はい……」
あれ?信用しちゃうの?奥さんが来てからまだ数分しか経ってないんだけど……
何だか納得出来ないが、不思議な笑顔で納得させてしまった。
現代でも奥さんが使っているチートスキル(天然)は異世界でも発動するらしい。
いや、(威圧)に改名した方が……ゲフンゲフン。
何やら、黒いオーラを纏ってオレの方を奥さんが見ているぞ。
もしかして奥さんも何かスキルを獲得してるのだろうか?
今はオレの土下座スキルを発動しないといけないかな……
立ち上がってみると、寝そべっていたのは長椅子のようだ。普通の長椅子と違うのは周りに同じ椅子が沢山あることだろう。
もう一つの落ち着いていた理由に、建物の中だったということも大きい。
『家で寝ていたら草原だった』
なんて状況ならパニックで慌てまくった自信がある。
『教会かな?』
一番しっくり来るのはこの表現だろう。祭壇のような物があり、天井がかなり高く作ってある。
ステンドグラスではないが、建物の割に縦長のガラスがはめ込まれている。その窓から月の明かりが眩しいほど差し込んでいた。
透明度はあまり無く、わざとそう作ってあるというよりは、これが精一杯の技術のように思える。
照明は無かったが、差し込む月光のお陰で出口まではすんなりと向かえた。
『とりあえず外を見てみるか……』
内鍵をどうにか開けると、見上げた夜空には大きな月が二つあったのだ。
クラクラとして夢の世界に逃げ出したくもあったが、この胸の鼓動が落ち着くまでは、再び横になっても安眠はやってこないだろう。
「ここはどこなんだ?月が二つある時点で、日本どころか地球でも無いよな……」
思わず口にしてしまった。独り言なんて普段は言わないんだけどな。
ただ、異世界系のマンガや小説を読みまくっていたからか、思ったよりも落ち着いている。
ハマってしまい、ここ数年で購入した書籍も800冊は超えていると思う。
『昨日はタイムスリップで、今日は異世界かよ……だとしたら、もしかして……』
意を決して叫んだ。
「ステータスオープン!」
【種族】人族
【性別】男
【名前】桐生 和馬
【レベル】1
【体力】200
【魔力】120
【攻撃力】35
【防御力】30
【魔法】####
【スキル】時空転移(半)Lv.1 ####
本当に出てきてしまったが、不思議と慌てることも無くそう思えたのは、今も読んでいるネット小説のお陰だろうか。
『そう思うと何が役に立つかわからないな……魔法とスキルか。時空転移はタイムスリップしたり、異世界に来たりだよな。でも(半)ってなんだ?あと####はレベル上がったら見れるのかな?』
そんな事を思いながら、まさに宝石をちりばめたような満天の星空を見上げた。
いつもの世界なら、街が明るすぎてこんなに星は見えないだろう。
『旅行だったら素直に感動してたんだけどな』
振り返ると先程までいた建物を見上げてみる。高さは5~6mくらいだろうか。年季の入った石造りの建物だ。神殿と呼ぶには小さく、村にあるような教会という表現が一番しっくりくる。
『とりあえず歩き回る前に状況確認だな』
自分の服装をチェックしてみると、20年前によく着ていた服だ。ポケットを探してみたが持ち物は何も無い。
顔をペタペタしてみると今よりほっそりしている。そしてフサフサの髪の毛。
「もしかして若い時のままで、異世界転移?!わけわからん!」
思わず大声を出してしまった。
「誰ですか!!」
建物の脇から、長いスカートの女性が現れた。あのシルエットは、多分この教会のシスターだろう。
「すみません。ここはどこですか?」
「……」
「僕もどうしてここにいるのか分からないんです。」
「……」
暗くて見え辛いが、驚いたような顔をしている気がする。それに頭にあるあの三角のシルエットとあの目……
ゆっくり近づこうとすると……
「来ないで下さい!」
「?!」
かなり大きな声だったのでオレも驚いた。ジリジリと後ずさっているように思える。
「こんな夜中にまで嫌がらせに来るなんて、とぼけても分かってますよ!」
「?……いやオレがわからないんですけど……」
「あなた達のところには行きません!」
「いや、だから……」
何だか全くオレの言うことは聞いてくれない感じだ。近づこうとすると……
「フシャー!!」
シスターは白い牙を見せながら怒っている。文字通り目を光らせて……
「ちょっと待ってください。誤解です。話を聞いてもらえませんか???」
「フシャー!!!」
ダメだ……さっきより警戒されちゃってる。それにしても、光る目とこの威嚇の仕方は……
『猫だよなぁ』
三角のシルエットはネコ耳だった。猫の獣人を見て感動したが、それより全くこちらの話を聞いてくれない方が問題だ。
そんな押し問答が15分くらいすると、後ろから嬉しい声が聞こえた。
「和馬!」
「美鈴ちゃん!」
テクテクと、あまり走ってるようには見えないが奥さんとしては急いで来てくれたようだ。
「大丈夫?」
「オレは大丈夫なんだけど、向こうがね……」
シスターはキョトンとしてオレ達を見ている。美鈴ちゃんは優しい目でシスターを見つめた。
するとトコトコとシスターの近くまで行ってしまった。
「夜分にすみません。私は桐生美鈴と言います。後ろにいるのは主人です。驚かせてしまったようで申し訳ありませんでした」
「えっ、あっ……」
シスターは直立不動で固まっている。
「何か勘違いがあったようですが、私たちは危害を加えることは絶対にありません。信じてもらえませんか」
「あっ、はい……」
あれ?信用しちゃうの?奥さんが来てからまだ数分しか経ってないんだけど……
何だか納得出来ないが、不思議な笑顔で納得させてしまった。
現代でも奥さんが使っているチートスキル(天然)は異世界でも発動するらしい。
いや、(威圧)に改名した方が……ゲフンゲフン。
何やら、黒いオーラを纏ってオレの方を奥さんが見ているぞ。
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