異世界でも主人公は奥さんでした?!〜異世界でも始まる奥さん無双〜

コンビニウルフ

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第20話 死神が現れた?!

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 アイテムボックスからカビ取洗剤とトイレ洗剤を出してバケツで混ぜ合わせる。
 こんな時の為にスキル『百均』で20本づつ購入していたんだ。
 塩素系洗剤と酸性タイプの洗剤を混ぜ合わせることで有毒ガスが発生する。

『危うく死にかけた事があったなぁ』

 ハウスクリーニングのバイトをしていた時に、うっかり『混ぜるな危険』をやってしまい倒れた事があった。
 オレは盗賊の顔に目掛けてバケツをぶち撒けた。

「ノドォ、ゲハァ!ゴホッ、ゴホッ!」

「目が痛ぇ! ガハッ、ゲホッ!!」

 ちょっとショボイけど効果はあった!
 3~4人は戦闘力を低下させる事に成功!
 見栄えが悪くても、奥さんやニャミーさん達を守らないと。

「ガキン!」

「オラァーー! アタシ達『紅の鷹』をナメんじゃないよ!」

「キッチリ仕事をさせて頂きますわ!」

「ウニャーー!」

 アマラさん達の方から金属の弾ける音が響き、怒声が聞こえる。
 オレには洗剤を警戒して、襲うのを躊躇しているみたいだ。
 しかし、数の圧力プレッシャーに押されてジリジリと下がるしかない。
 弓を構えるヤツが見えた瞬間、勝手に身体は奥さんを守ろうとしたが……

『ヒュン』

「ドゴン、バスン」

「ウギャー! グホォ!」

 守ろうとした時には奥さんの姿は見えず、オレの脇を音だけがすり抜けていった。
 その後聞こえたのは炸裂音と悲鳴。
 見えたのは上空を回転しながら舞う人影。

 あまりの衝撃的な光景に、盗賊達も時間が止まったように固まっている。
 また炸裂音がする方向を見ると、その度に人が宙を舞う。
 アッパーを振り抜いた腕が辛うじて見える。
 奥さんが向かうだけで、悲鳴が聞こえるようになってきた……

「助けてくれぇ、死にたくねえ!」

「ひぃぃ死神だ!」

「逃げるぞ! 殺やられちまう! こんなの割に合わねぇ」

 盗賊は逃げていったが、20人以上は倒れていて、奥さんが倒した連中はピクリとも動かない。
 まぁオレもその後2人は倒したし!
 アマラさん達もパーティで2~3人は倒したようだけど、奥さんとは次元が違うよね……

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「アンタは一体何者なんだい。アタシもそれなりに強くなったつもりだけど、レベルが違いすぎる。AーーいやSランクじゃないのかい?素手で殴った人間が空を飛ぶなんて……」

 アマラさんは目の前の出来事を信じられないようで、奥さんに問い詰めている。
 アマラさんはBランクに近いCランク。
 Aランクの戦いも見た事があるが、あんな事が出来る冒険者は見た事がないそうだ。

「私はただの主婦ですよ」

「そんな訳あるかい!ただの主婦が盗賊を15人以上、しかも一撃で気絶させるなんてできっこない。それにアンタの動きはほとんど見えなかったよ」

 うんうん、アマラさん分かります。
 理不尽な強さでしたよね。
 二度と夫婦喧嘩はしないと誓いましたよ……

「死なない程度に力加減はしたから、息はあるはずよ」

「力加減したから……って、加減してあれですの?!」

「ホント味方で良かったニャー」

 奥さんの一言にクリスさんとミーナさんも驚愕の一言だ。
 加減しなかったら肉塊になってますよね、きっと……

「美鈴お姉様……♡」

 ニャミーさんはこのキャラのままでいいんですね。
 ブレませんね。


「美鈴さんありがとうございました。もっとお礼を言いたいのですが、暗くなる前に急ぎましょう」

 ホフマンさんは震えるステラさんを抱きしめながら、申し訳なさそうにしていた。
 領主の待つアイザスへ向かう途中で魔物が度々現れたが、オレかアマラさん達だけで対処できた。
 しかし逃げる盗賊が『割に合わない』と言っていたのが気になる……





 付けられている様な気配はあるものの、アイザスが見えてきた。
 無事に到着できそうだ。

「和馬さん申し訳ありません……」

「???」

 ホフマンさんは急に頭を下げてきた。

「おそらく盗賊は、ロンド商会が雇った連中だと思います。美容部門の売上もかなり増えてきたので、無視出来なくなったのでしょう。それに猫獣人の私が気に入らないのだと思います」

「そうでしたか……盗賊の1人が割に合わないって言ったのが気にはなってましたが……でも、猫獣人だからってそんなことでですか?」

「和馬さんや美鈴さんのように、獣人に分け隔て無く接して下さるのはとても稀です。やはり風当たりは厳しいですよ……」

 男2人がしんみりしていると……

「ずっと気になっていたニャ!」

 あの声はミーナさんだけど何かあったのかな?

「わたくしも聞きたかったんですの!」

 あれ?かなりグイグイきてるぞ。



「「何でそんなに髪と肌が美しいん(ニャ!)(ですの!)」」


 本当はキレイになった秘密をずっと聞きたかったみたいだ。
 もうすぐ到着というところで、ようやく打ち明けられたというところだろう。


「それは、美鈴お姉様のおかげなんです!(ドヤァ)」

「やっぱり! 強さもそうですが、高貴なオーラを感じていましたの。美の秘訣を教えてほしいですわ!」

「私もニャー!」

 2人とも目から星が見えるくらい輝かせている。
 すると……

「アタシも綺麗になれるかい……?」

 まさかのアマラさんキター!

「みんな纏めて綺麗にしてあげるね♡」

 奥さんは小悪魔的な笑みを浮かべている。
 あれ?あなた女神でしたよね???

『何か?』

 そう言われた気がして、余計な事は言わない事に決めた……

 アイザスに到着すると、宿屋に直行!
 洗い場を借りて、街に着いてすぐ購入したワインの空き樽をセッティング!
 もちろんオレの仕事はお湯を沸かすまでだ。
 盗賊と戦った時より疲れた……


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「こっ、これがアタシ……」

 一番変化したのはアマラさんだろう。
 黒ずんでいた肌は、一気にシルクの様な透明度の高い光り輝く白へ。
 ビキニアーマーなので、露出の高い部分まで同様に輝いている。

 何故日焼けしていないのかは謎だが、張りのある胸元から目を離せない……
 いえ、刺さる様な視線で離せる事が出来ました、奥さんアリガトウゴザイマス……

「なっなんですの!アマラが一番肌が白いだなんて……」

「そうニャ!ウチらはなるべく毎日水浴びもしてたのにニャ!アマラなんて3~4日に一回ニャ。ズルいニャ」

 2人とも十分に美人の部類に入るのに、納得が行かないらしい。
 まぁ、一番美容とか気にして無かった感じだもんな。

「汚れも1番あったので、その分、差が1番あったのだと思います。それにお化粧もした事がなかったようなので、化粧のノリも1番良かったです」

「ステラさんのエステと化粧の技術も相当上がったからね♡」

 奥さんからステラさんに太鼓判が押された。
 領主の奥方へのエステの前に、改めて自信を持てた様だ。

「それにしても、そう言った美への執着はそれ程無いと思ったアマラさんでしたけど、やっぱり女の子なんですね」

 オレが言うとアマラさんはモジモジし始めて頬を染め、下を向いたまま視線を合わせてくれない……まさか……

「アマラはアイザスに想い人がいるニャ」

 ですよねー、まさかと思っちゃいました。
 視線で体力が削られます、ゴメンナサイ、モウカンチガイシマセン。

「アイザスにはAランクの冒険者がいるんですの。昔から一途に想っているんですのよ。こう言う所は本当に乙女ですわね」

「しょうがねぇだろ! アタシが駆け出しの頃からの憧れなんだから……」

 アマラさん、実はかなりのロマンチスト。
 グラマラスボディで心は乙女って……これってなんて少女漫画ですか?

「美鈴お姉様、この恋は何とかならないのでしょうか?」

「ニャミーちゃん。私もそう思っていたところよ」

「私も協力したいです」

 ニャミーさんも奥さんもステラさんも、何のためにアイザスに来たのか覚えてますか……?
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