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閑話1
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アタシの名前はイーナ。
ただの主婦さ。
ちょうど成人した15のときに、腐れ縁のトマスと一緒になってもう15年。
結婚したときは、惚れた腫れたで初々しかったねぇ。
あんなに甘い言葉を吐いてたトマスが、アタシを『お前』って呼ぶのにはそんなに時間はかからなかったよ。
まぁ子供が出来たからね。
もちろん子供を産むのは女の仕事だし、生まれてすぐのルドは宝石のように可愛かった。
本当だよ。
ただ、宝石が『ガキ』に変わるのもそんなに時間はかからなかったね。
トマスの事も『アンタ』と呼び始めたのも『ガキ』になった頃だったような気がするよ。
そういえばアタシ達が、最後にお互いを名前で呼び合ったのはいつだっかねぇ。
まぁ、結婚して子供が生まれたらそんなもんさ。
だってみんなそうだろう?
アタシのは母親もそうだったし、婆ちゃんもそうだった。
井戸端でグチばっかり言ってる、エルダもルシアもそうだしね。
トマスも昔はカッコ良かったんだよ。
ルドがまだ生まれて間もない頃、熱が下がらなくてアタシが慌ててた時にトマスは吹雪の中、薬草を取りに行ってくれたんだよ。
まぁ採って来たのは腹痛の薬草だったんだけどね。
たまたまエルダが熱冷ましの薬草を持ってたからルドの熱は下がったんだ。
エルダから違う薬草だと言われて、熱冷ましの薬草を貰った時に『恩人だ』って土下座してたけど、アタシにとっては誰よりもカッコ良いって思ったんだよ。
まぁ昔の事だけどね。
あれから子供も2人生まれて、嬉しい反面忙しくなって夫婦の営みも無くなっちまったね。
アタシも体型が変わったし、そりゃあ女から母親へ変わっちまったから魅力が無くなっちまっても仕方ないと思うけどさ。
アンタと違って女には娼館なんてないんだよ。
男なんて、若い女だったら何だって良いんだよねぇ。
アンタがわざわざ街まで行って、可愛がってる娼婦だけど本命は他にいるよ。
わかってないのは男だけ。
『貴方だけ♡』
なんて、来てる客全員に言ってるにきまってるよ。
本当、男はバカだよね。
いつもと同じ、そんな話をウチの前でエルダとしてる時だった。
ルシアが血相変えて井戸から戻ってきたんだ。
「昼になったら教会にいくよ!」
「急にどうしたんだい」
「シスターニャミーが大変なんだよ!」
この間まで、ニャミーちゃんなんて呼んでたけど、成人してからはシスターニャミーと呼ばないといけなくなっちまった。
何だか距離が出来てしまって、最近は話す事も無くなっちまったけど、何があったんだろうね?
「いいから、昼メシを食ったら教会にいくよ。いいね?」
アタシもエルダも気迫に押されて教会に行く事になったんだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
何でこんなに教会に人がいるんだい?10人はいるんじゃないの?
これから何が始まるのかと思ったら現れたのは……
正直、シスターニャミーじゃないと思ったよ、驚いたなんてもんじゃない。
肌が真っ白!
白粉おしろいの白さじゃなくて、なんていうか……そう、透明感があるんだよ。
髪ももっと脂っぽくて、ぺったりしてたのに。
そよ風で靡なびく髪なんて見た事無いよ。
え、誰でもなれる?
アンタは誰だい?
シスターニャミーに驚いてたけど、アンタも尋常じゃないくらい美人だね。
なんて言うか、神々しいというか……
『私が皆さんを本来の美しさに戻します』
何言ってるんだい。
アタシが本当は美人みたいじゃないか。
そりゃあこの中じゃアタシが1番……いやいや、美しいとかはどうでもいいんだよ。
母親になったら子供達を世話して、食わしていくのが仕事だからね。
え、タダでやってくれる?そんな上手い話があるわけ無いよ。
アタシは騙され……なんでだろう『ミスズ』って女の言葉は心に染みてくる。
まぁタダならね……
「ねぇあなた! 髪がサラッサラッよ! それに何よこの光沢!」
「アンタの髪もサラッサラッになってるわよ!」
『えすて』と『しゃんぷー』を終えた主婦達が(アタシもそうだったね)みんなして騒いでる。
『シスターニャミー』じゃ無くて、昔みたいに『ニャミーちゃん』に呼び方が戻ってるし。
アタシは自分が見えないから、どうなってるのかわからないけど、髪の手触りだけはわかる。
本当に『サラサラ』じゃなくて『サラッサラッ』だ!
エルダもルシアも髪や頬を撫でてうっとりしてる。
何だよアンタ達、そんなに艶っぽくて色っぽかったかい?
アタシより……いや、アタシとそんなに変わらなかったハズだろう?
アタシはどうなってるんだい!エルダとルシアの方がキレイなのかい?
不安に思ってると美鈴さんの亭主が鏡っていうのを配ってる。
自分を見られるらしいから、奪うように貰っちまったよ。
『これがアタシ……本当に……』
「イーナ……アンタ、もの凄い美人になってるよ!」
エルダが言ってきたけど、本当に……?
「間違いなく、今日来た主婦の中で一番美人だよ」
ルシアも言ってきたけど、本当なのかな……
『この鏡に写ってるのはアタシ……』
何でだろう。
アタシを『アタシ』って言うのが違和感がある。
鏡に写ってる人が『アタシ』なんて言葉を使うだろうか?
自分のはずなのに、恥ずかしくなって来てしまった。
それに怖くなった……このまま家に戻って大丈夫だろうか……
「おう、帰ったぞ!」
「おかえりなさい……」
「今日の晩メシは何だ、だ、だ、だ、誰だ?!」
「イーナです……」
「いっ、いっ、イーナ?!」
「はい、アナタ。イーナです……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ……確かによく見るとイーナの面影がある……どうしちまったんだ……」
「エステをしてもらったの。変じゃないかな」
「えっ、えすて? こ、こんなに美人になっちまって……それに『アナタ』って……言葉遣いも変わっちまって……」
「何だかこの姿に合わなくて、ダメだったかな?本当はもっと女性らしく話したいんだけど、急にはムリみたい」
「いや、充分だ。そう……その位がいい。子供達はどうしたんだ?」
「エルダが見てくれてる。それに今日は旦那さんが泊まりの仕事だから、明日の朝まで預かってくれるって」
「……エルダには頭が上がらないな。今日は預かって貰おう。なぁイーナ」
「トマス……うっ、うっ……」
「イーナどうしたんだ? 急に泣くなんて……」
「……ひっく……トマスと名前で呼び合えるのが嬉しい……」
「イーナ……」
「あっ……」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あんなに幸福を感じられたのはいつ以来だろう。
翌日エルダにお礼を伝えに行くと、握った手から親指を上げてくれた。
私も同じ様に親指を上げたけど、顔は真っ赤だったと思う。
まるで初めて恋をした時みたいだ。
急いで教会に向かう。
すぐにお礼を言いたかったから。
私の他にも何人か来ていて、美鈴さんとニャミーさんにお礼を言っていた。
きっと私と同じ様な事が起こったのだろう。
みんな満ち足りた表情をしているから。
自分の事では無いのに、嬉しくて思わず口角が上がってしまう。
その時、美鈴さんは昨日より驚く事を話してくれた。
エステの技術を無料で教えてくれると言うのだ。
美鈴さんは本当に女神様ではないだろうか?
きっとこの技術は誰もが喉から手が出るほどの価値がある。
私はすぐに手を上げた……
私は今、毎日が充実している。
子供達も可愛くて仕方がない。
子供達も今のお母さんが好きと言ってくれる。
そして何より、トマスが私を名前で呼んでくれる。
これから、この幸せを分けてあげる仕事が出来る様になるかもしれない。
私はこの町が大好きだ!
ただの主婦さ。
ちょうど成人した15のときに、腐れ縁のトマスと一緒になってもう15年。
結婚したときは、惚れた腫れたで初々しかったねぇ。
あんなに甘い言葉を吐いてたトマスが、アタシを『お前』って呼ぶのにはそんなに時間はかからなかったよ。
まぁ子供が出来たからね。
もちろん子供を産むのは女の仕事だし、生まれてすぐのルドは宝石のように可愛かった。
本当だよ。
ただ、宝石が『ガキ』に変わるのもそんなに時間はかからなかったね。
トマスの事も『アンタ』と呼び始めたのも『ガキ』になった頃だったような気がするよ。
そういえばアタシ達が、最後にお互いを名前で呼び合ったのはいつだっかねぇ。
まぁ、結婚して子供が生まれたらそんなもんさ。
だってみんなそうだろう?
アタシのは母親もそうだったし、婆ちゃんもそうだった。
井戸端でグチばっかり言ってる、エルダもルシアもそうだしね。
トマスも昔はカッコ良かったんだよ。
ルドがまだ生まれて間もない頃、熱が下がらなくてアタシが慌ててた時にトマスは吹雪の中、薬草を取りに行ってくれたんだよ。
まぁ採って来たのは腹痛の薬草だったんだけどね。
たまたまエルダが熱冷ましの薬草を持ってたからルドの熱は下がったんだ。
エルダから違う薬草だと言われて、熱冷ましの薬草を貰った時に『恩人だ』って土下座してたけど、アタシにとっては誰よりもカッコ良いって思ったんだよ。
まぁ昔の事だけどね。
あれから子供も2人生まれて、嬉しい反面忙しくなって夫婦の営みも無くなっちまったね。
アタシも体型が変わったし、そりゃあ女から母親へ変わっちまったから魅力が無くなっちまっても仕方ないと思うけどさ。
アンタと違って女には娼館なんてないんだよ。
男なんて、若い女だったら何だって良いんだよねぇ。
アンタがわざわざ街まで行って、可愛がってる娼婦だけど本命は他にいるよ。
わかってないのは男だけ。
『貴方だけ♡』
なんて、来てる客全員に言ってるにきまってるよ。
本当、男はバカだよね。
いつもと同じ、そんな話をウチの前でエルダとしてる時だった。
ルシアが血相変えて井戸から戻ってきたんだ。
「昼になったら教会にいくよ!」
「急にどうしたんだい」
「シスターニャミーが大変なんだよ!」
この間まで、ニャミーちゃんなんて呼んでたけど、成人してからはシスターニャミーと呼ばないといけなくなっちまった。
何だか距離が出来てしまって、最近は話す事も無くなっちまったけど、何があったんだろうね?
「いいから、昼メシを食ったら教会にいくよ。いいね?」
アタシもエルダも気迫に押されて教会に行く事になったんだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
何でこんなに教会に人がいるんだい?10人はいるんじゃないの?
これから何が始まるのかと思ったら現れたのは……
正直、シスターニャミーじゃないと思ったよ、驚いたなんてもんじゃない。
肌が真っ白!
白粉おしろいの白さじゃなくて、なんていうか……そう、透明感があるんだよ。
髪ももっと脂っぽくて、ぺったりしてたのに。
そよ風で靡なびく髪なんて見た事無いよ。
え、誰でもなれる?
アンタは誰だい?
シスターニャミーに驚いてたけど、アンタも尋常じゃないくらい美人だね。
なんて言うか、神々しいというか……
『私が皆さんを本来の美しさに戻します』
何言ってるんだい。
アタシが本当は美人みたいじゃないか。
そりゃあこの中じゃアタシが1番……いやいや、美しいとかはどうでもいいんだよ。
母親になったら子供達を世話して、食わしていくのが仕事だからね。
え、タダでやってくれる?そんな上手い話があるわけ無いよ。
アタシは騙され……なんでだろう『ミスズ』って女の言葉は心に染みてくる。
まぁタダならね……
「ねぇあなた! 髪がサラッサラッよ! それに何よこの光沢!」
「アンタの髪もサラッサラッになってるわよ!」
『えすて』と『しゃんぷー』を終えた主婦達が(アタシもそうだったね)みんなして騒いでる。
『シスターニャミー』じゃ無くて、昔みたいに『ニャミーちゃん』に呼び方が戻ってるし。
アタシは自分が見えないから、どうなってるのかわからないけど、髪の手触りだけはわかる。
本当に『サラサラ』じゃなくて『サラッサラッ』だ!
エルダもルシアも髪や頬を撫でてうっとりしてる。
何だよアンタ達、そんなに艶っぽくて色っぽかったかい?
アタシより……いや、アタシとそんなに変わらなかったハズだろう?
アタシはどうなってるんだい!エルダとルシアの方がキレイなのかい?
不安に思ってると美鈴さんの亭主が鏡っていうのを配ってる。
自分を見られるらしいから、奪うように貰っちまったよ。
『これがアタシ……本当に……』
「イーナ……アンタ、もの凄い美人になってるよ!」
エルダが言ってきたけど、本当に……?
「間違いなく、今日来た主婦の中で一番美人だよ」
ルシアも言ってきたけど、本当なのかな……
『この鏡に写ってるのはアタシ……』
何でだろう。
アタシを『アタシ』って言うのが違和感がある。
鏡に写ってる人が『アタシ』なんて言葉を使うだろうか?
自分のはずなのに、恥ずかしくなって来てしまった。
それに怖くなった……このまま家に戻って大丈夫だろうか……
「おう、帰ったぞ!」
「おかえりなさい……」
「今日の晩メシは何だ、だ、だ、だ、誰だ?!」
「イーナです……」
「いっ、いっ、イーナ?!」
「はい、アナタ。イーナです……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ……確かによく見るとイーナの面影がある……どうしちまったんだ……」
「エステをしてもらったの。変じゃないかな」
「えっ、えすて? こ、こんなに美人になっちまって……それに『アナタ』って……言葉遣いも変わっちまって……」
「何だかこの姿に合わなくて、ダメだったかな?本当はもっと女性らしく話したいんだけど、急にはムリみたい」
「いや、充分だ。そう……その位がいい。子供達はどうしたんだ?」
「エルダが見てくれてる。それに今日は旦那さんが泊まりの仕事だから、明日の朝まで預かってくれるって」
「……エルダには頭が上がらないな。今日は預かって貰おう。なぁイーナ」
「トマス……うっ、うっ……」
「イーナどうしたんだ? 急に泣くなんて……」
「……ひっく……トマスと名前で呼び合えるのが嬉しい……」
「イーナ……」
「あっ……」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あんなに幸福を感じられたのはいつ以来だろう。
翌日エルダにお礼を伝えに行くと、握った手から親指を上げてくれた。
私も同じ様に親指を上げたけど、顔は真っ赤だったと思う。
まるで初めて恋をした時みたいだ。
急いで教会に向かう。
すぐにお礼を言いたかったから。
私の他にも何人か来ていて、美鈴さんとニャミーさんにお礼を言っていた。
きっと私と同じ様な事が起こったのだろう。
みんな満ち足りた表情をしているから。
自分の事では無いのに、嬉しくて思わず口角が上がってしまう。
その時、美鈴さんは昨日より驚く事を話してくれた。
エステの技術を無料で教えてくれると言うのだ。
美鈴さんは本当に女神様ではないだろうか?
きっとこの技術は誰もが喉から手が出るほどの価値がある。
私はすぐに手を上げた……
私は今、毎日が充実している。
子供達も可愛くて仕方がない。
子供達も今のお母さんが好きと言ってくれる。
そして何より、トマスが私を名前で呼んでくれる。
これから、この幸せを分けてあげる仕事が出来る様になるかもしれない。
私はこの町が大好きだ!
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