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2章
Part 67『輝く光は死を告げる』
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真冬さんがこちらに笑顔を向ける。俺達の前にいたはずの醜穢は、弾け飛んで原型をとどめていなかった。
「真冬さん? どうしてここに・・・」
「いえ、リューさんに少しお願いをしに行っていたんですが、そのお願いの対価にそこの化物の撃退を依頼されましてね。まあ、それぐらいならと」
なんて事なさそうに言うが醜穢は間違いなく、危険な生き物だ。それを撃退するというのは、一体どんなお願いをしたんだろうか。
「しかし、随分と大きく育ちましたね。元はさぞや力のある妖怪だったと思いますが・・・」
そんな世間話をしていると背後で弾け飛んだ醜穢の破片がくっついて元の形に戻って行く。
「まあ、あの程度で消えるようなものなら、私に依頼されるわけもないですか。」
「大丈夫なんですか?」
「ええ、大丈夫です。私、こう見えて結構強いんですよ。ただ、危ないので峰さん達は、少し離れていてください。」
余裕を持ってそう答える真冬さんの言葉を信用して、俺とユキは少し距離を取る。
「あのお兄さん。あの人は大丈夫なんですか?」
「まあ、大丈夫だとは思うよ。」
真冬さんは、鬼女だ。その身体能力は人間など足元にも及ばない。圧倒的に体のつくりが違うのだ。オリンピック選手も涙目になるような力を持つ彼女が本気で相手と戦えば、まず間違いなく負けることはないと思う。
いくら醜穢が体に慣れて動きが多少良くなったとしても速さで真冬さんに勝てるとは思えない。実際に真冬さんは、人間離れした速さと動きで醜悪の動きを完全に見切っていた。
醜穢は、人間の形を何度も取ろうとするがその度にとんでもない威力の拳が放たれ衝撃波と共に醜悪が弾け飛んでいる。しかし、何度もその形態に戻ろうとするだけでダメージを与えているような感じはしない。
醜穢は、人間の形を取ろうとすることを諦めたのか、体の一部をトゲにして真冬さんを貫こうと勢いよく伸ばす。
それを真冬さんは飛び退いて攻撃を回避する。そして、すぐさま反撃に攻撃する。
相手は、形状の定まっていない異形で再生するのであるならこの攻撃は無意味に感じた。
「キリがありませんね・・・」
真冬さんが呆れたように呟く・・・。正直、状況は芳しくないようだった。
物理的な攻撃は醜穢とは相性が圧倒的に悪いように感じた。負けはしないけれど、勝てもしないこの状況で不利なのは圧倒的にこちら側だと思う。
「大丈夫ですか!」
俺が真冬さんに声をかけると真冬さんは、迫り来るいくつもの棘を避けながら「難しいですね。」と答えた。
「勝てる算段はあるんですけど・・・街中でやっていいものかと思いまして・・・」
「被害が出るんですか?」
「威力を抑えれば小さなビル一個で済むんですけど・・・ダメですか?」
「あの・・・何だかよくわかんないですけど、多分ダメです・・・それ」
「ですよね。」と小さく笑った。余裕が結構あるようだった。ていうか、一体何をするつもりだったんだこの人
「だとするとちょっとここで戦いを始めたのは失敗だったかもしれません。」
醜穢の猛攻は止まることはなく数十本の鋭い棘が真冬さんを襲う。真冬さんは、それを回避し、避けきれない攻撃に関しては力任せに腕を振るって破壊する。
醜穢の攻撃は次第に処理が難しくなっていっている気がする。
「自我を失っているのに随分と頭の良い・・・成長してますね。死に間際で戦い方を覚えるなんて・・・」
どうやら気のせいではなく実際に攻撃が最適化されていっているようだった。真冬さんを倒すために攻撃の仕方を覚えたのか・・・
とは言ってもトゲの数が増えたり回避しにくいように満遍なく棘を伸ばして来ているだけなので現状では真冬さんに一撃当てることは難しいはずだ。
そう思わせることが醜穢の狙いだったのかもしれない。真冬さんが一本の棘を避けて攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、棘の一部から別の棘が勢いよく飛び出した。
本来、決まった形を持たない醜穢は、体を硬質化させて鋭い棘を生み出していた。しかし、それは、あくまで体の形を変えている能力、攻撃後に変化しないなんて道理は最初から存在していなかったのだ。
棘から飛び出した新しい棘に真冬さんも対応しきれずに突き刺さる。まるでそれを待っていたかのように醜穢は、体からさらに棘を生み出して真冬さんに追撃を行なった。
「真冬さん!」
ブスリという音がいくつも聞こえた。真冬さんの体から真っ赤な血が飛び散る。勢いよく伸ばされた鋭利な棘は体を貫通して血が滴っている。
いくつもの棘の突き刺さったその様子は、巨大な針山のようで現実離れした光景だった。
「峰・・・さん・・・離れて・・・て・・・ください・・・」
消え入りそうな声で真冬さんは、俺にそんな言葉をかけてくる。この人なんでこんな時まで俺のことを気にかけているんだ・・・
何とかしないと・・・だけど、先にユキだけでも逃して・・・そう考えて俺は、ユキを連れて逃げようとした。
真冬さんから激しい光を放ち始めた。真っ黒な綺麗な髪は、いつのまにか銀色に変わってた。そして、頭からは二本の角が伸びて、ウチガネさんの最期の時に見せていた鬼の姿だった。
バチバチッと弾けるような音が聞こえはじめて次第に音が大きくなっている。
これって・・・・・・電気?
次の瞬間、真冬さんを貫く棘を伝って光が勢いよく走った。その瞬間、俺のいる一帯の温度が急激に上昇した。まるでサウナのような熱量に一瞬なのに汗が勢いよく吹き出した。
醜穢の体が完全に包まれ消えた。
光が収まったその頃には、何故か怪我が完治している真冬さんと焼け焦げたコンクリートだけで醜穢の姿は完全になくなっていた。
「真冬さん? どうしてここに・・・」
「いえ、リューさんに少しお願いをしに行っていたんですが、そのお願いの対価にそこの化物の撃退を依頼されましてね。まあ、それぐらいならと」
なんて事なさそうに言うが醜穢は間違いなく、危険な生き物だ。それを撃退するというのは、一体どんなお願いをしたんだろうか。
「しかし、随分と大きく育ちましたね。元はさぞや力のある妖怪だったと思いますが・・・」
そんな世間話をしていると背後で弾け飛んだ醜穢の破片がくっついて元の形に戻って行く。
「まあ、あの程度で消えるようなものなら、私に依頼されるわけもないですか。」
「大丈夫なんですか?」
「ええ、大丈夫です。私、こう見えて結構強いんですよ。ただ、危ないので峰さん達は、少し離れていてください。」
余裕を持ってそう答える真冬さんの言葉を信用して、俺とユキは少し距離を取る。
「あのお兄さん。あの人は大丈夫なんですか?」
「まあ、大丈夫だとは思うよ。」
真冬さんは、鬼女だ。その身体能力は人間など足元にも及ばない。圧倒的に体のつくりが違うのだ。オリンピック選手も涙目になるような力を持つ彼女が本気で相手と戦えば、まず間違いなく負けることはないと思う。
いくら醜穢が体に慣れて動きが多少良くなったとしても速さで真冬さんに勝てるとは思えない。実際に真冬さんは、人間離れした速さと動きで醜悪の動きを完全に見切っていた。
醜穢は、人間の形を何度も取ろうとするがその度にとんでもない威力の拳が放たれ衝撃波と共に醜悪が弾け飛んでいる。しかし、何度もその形態に戻ろうとするだけでダメージを与えているような感じはしない。
醜穢は、人間の形を取ろうとすることを諦めたのか、体の一部をトゲにして真冬さんを貫こうと勢いよく伸ばす。
それを真冬さんは飛び退いて攻撃を回避する。そして、すぐさま反撃に攻撃する。
相手は、形状の定まっていない異形で再生するのであるならこの攻撃は無意味に感じた。
「キリがありませんね・・・」
真冬さんが呆れたように呟く・・・。正直、状況は芳しくないようだった。
物理的な攻撃は醜穢とは相性が圧倒的に悪いように感じた。負けはしないけれど、勝てもしないこの状況で不利なのは圧倒的にこちら側だと思う。
「大丈夫ですか!」
俺が真冬さんに声をかけると真冬さんは、迫り来るいくつもの棘を避けながら「難しいですね。」と答えた。
「勝てる算段はあるんですけど・・・街中でやっていいものかと思いまして・・・」
「被害が出るんですか?」
「威力を抑えれば小さなビル一個で済むんですけど・・・ダメですか?」
「あの・・・何だかよくわかんないですけど、多分ダメです・・・それ」
「ですよね。」と小さく笑った。余裕が結構あるようだった。ていうか、一体何をするつもりだったんだこの人
「だとするとちょっとここで戦いを始めたのは失敗だったかもしれません。」
醜穢の猛攻は止まることはなく数十本の鋭い棘が真冬さんを襲う。真冬さんは、それを回避し、避けきれない攻撃に関しては力任せに腕を振るって破壊する。
醜穢の攻撃は次第に処理が難しくなっていっている気がする。
「自我を失っているのに随分と頭の良い・・・成長してますね。死に間際で戦い方を覚えるなんて・・・」
どうやら気のせいではなく実際に攻撃が最適化されていっているようだった。真冬さんを倒すために攻撃の仕方を覚えたのか・・・
とは言ってもトゲの数が増えたり回避しにくいように満遍なく棘を伸ばして来ているだけなので現状では真冬さんに一撃当てることは難しいはずだ。
そう思わせることが醜穢の狙いだったのかもしれない。真冬さんが一本の棘を避けて攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、棘の一部から別の棘が勢いよく飛び出した。
本来、決まった形を持たない醜穢は、体を硬質化させて鋭い棘を生み出していた。しかし、それは、あくまで体の形を変えている能力、攻撃後に変化しないなんて道理は最初から存在していなかったのだ。
棘から飛び出した新しい棘に真冬さんも対応しきれずに突き刺さる。まるでそれを待っていたかのように醜穢は、体からさらに棘を生み出して真冬さんに追撃を行なった。
「真冬さん!」
ブスリという音がいくつも聞こえた。真冬さんの体から真っ赤な血が飛び散る。勢いよく伸ばされた鋭利な棘は体を貫通して血が滴っている。
いくつもの棘の突き刺さったその様子は、巨大な針山のようで現実離れした光景だった。
「峰・・・さん・・・離れて・・・て・・・ください・・・」
消え入りそうな声で真冬さんは、俺にそんな言葉をかけてくる。この人なんでこんな時まで俺のことを気にかけているんだ・・・
何とかしないと・・・だけど、先にユキだけでも逃して・・・そう考えて俺は、ユキを連れて逃げようとした。
真冬さんから激しい光を放ち始めた。真っ黒な綺麗な髪は、いつのまにか銀色に変わってた。そして、頭からは二本の角が伸びて、ウチガネさんの最期の時に見せていた鬼の姿だった。
バチバチッと弾けるような音が聞こえはじめて次第に音が大きくなっている。
これって・・・・・・電気?
次の瞬間、真冬さんを貫く棘を伝って光が勢いよく走った。その瞬間、俺のいる一帯の温度が急激に上昇した。まるでサウナのような熱量に一瞬なのに汗が勢いよく吹き出した。
醜穢の体が完全に包まれ消えた。
光が収まったその頃には、何故か怪我が完治している真冬さんと焼け焦げたコンクリートだけで醜穢の姿は完全になくなっていた。
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