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2章
Part 79 『君に誓う。』
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サクヤは、「本当に峰さんは関係ないんです。何も悪くないんです。」と慌てて否定する。
「じゃあ、なんか別にあるんだろ? 全然、聴くよ。心配だしさ。」
「えっと・・・怒りませんか?」
こちらの様子を伺うようにサクヤが尋ねてくる。そのおっかなびっくりな雰囲気がどこか小動物っぽい・・・
「なんで泣いてる人間に怒ったりするんだよ。怒らないって」
サクヤは、俺の言葉を聞いて「約束ですよ?」と言ってゆっくりと話し始めた。
「その・・・映画を見て・・・」
「うん」
「凄い感動して・・・」
「うん?」
「それを思い出してたら泣けてきて・・・」
「・・・・・・」
「あの・・・峰さん? 怒ってます? 別に心配させるつもりじゃなかったんですよ。その凄い名作で女優の方の演技が本当に名演技で・・・」
俺の顔色を伺うサクヤは少し慌てていた。それってつまりは・・・
「思い出し泣きしてたって事?」
「・・・はい。端的に言えば・・・」
申し訳なさそうにいうサクヤに体の力が抜ける。なんだ。知り合いがなくなったとかそういう類のものではなかったのか・・・
サクヤが泣くほどだから何かあるのかと思ったが感動の涙だったのか・・・
え、つまり、俺は、映画のせいで自分のこの気持ちを自覚したのか・・・
なんというか、凄い嫌だな・・・
「あの・・・みねひゃん・・・なんれ、わたひのほっぺをつねるんでふか・・・」
少し涙目になりながら俺に両手で左右の頬を引っ張られているサクヤが呂律の回っていない喋り方で言ってくる。
なんか、少し意地悪したくなってついつい手が勝手に動いていた。これは、愛ゆえなのかもしれない。うん、そういう事にしとこう。
「ああ、悪い悪い。考え事してた。」
「考え事しながら私の頬つねったんですか!? ていうか、怒らないって言ったじゃないですか!」
少しサクヤの方が怒っている気がする。全然、怒っているわけではないんだが・・・
「すまん。怒ってはないんだが手が勝手に・・・」
「なんれ、また、つねるんれふか・・・」
「おっと・・・なんだろう。一度つまむと永遠につまんでいたくなる。魔性のほっぺだな・・・病みつきになりそうだ。精霊の特殊能力なんじゃないのか・・・」
「や、やめてください! 精霊のほっぺにそんな特殊能力はありません!」
警戒する猫のような俊敏さでサクヤは俺が距離をとってそう言った。
「まあ、本当に怒ってないよ。心配だったのは本当だけど、俺の勘違いだったんならそれが一番だ。サクヤが泣いてるのは嫌だしな。」
「・・・・・・・なん・・・・そ・・・こ・・・うん・・・すか・・・」
サクヤが小さく何かを呟いたが上手く聞き取れなかった。
「なんて言った?」
「いえ、なんでもないです。それより、どうかしたんですか?」
サクヤが俺にそう尋ねる。涙が感動だったことよりもそっちの方に少し怒りを感じたが、ここはぐっとこらえる。
「なんか、サクヤ、俺のこと避けてないか?」
「っ!? そ、そんなことな、ないですよ!?」
明らかに動揺した姿のサクヤを見て確信する。こいつは、完全に俺を避けている。理由はわからないが間違いない。というか、小学生でも、もう少しうまく嘘をつくと思う。
じっとサクヤを見ているとどうやら、観念したようで「はい。ちょっと避けてました・・・」と頭を下げた。
「で、でも、別に峰さんのことが嫌いになったとかではなくて・・・その、お友達といる中に私がいるの邪魔かなって思って・・・」
確かに柏木さんと一緒にいる時はサクヤと話がほとんど出来ていなかったから、居心地が悪かったのかもしれない。それに関しては、俺の気遣いがやっぱり足りてなかった気がする。
「ごめんな。それに関しては、俺がもっと上手くやってればな・・・」
「いえ・・・そんな・・・それにそれだけじゃないんです。」
「それだけじゃないって?」
「峰さんはもっと人間の方と関わるべきだと思います。私達みたいなこっちの世界の住人とじゃなく」
サクヤは、下を向いてこっちを見ようともしない。なぜ突然、そんなことを言うのだろうか。
「峰さんは人間です。妖怪じゃありません。本来なら関わることがない存在に肩入れするのはやっぱり、峰さんのためにならないと思います。人間は人間と関わるべきだと思います。」
「・・・・・・」
人間と妖怪、存在や考え方から違うというのは、最初から分かっていた。自分が明らかに妖怪達の方に寄った生活をしているのも自覚している。
それは周囲から見れば異物でしかない行為で正解ではないのかもしれない。
けれど、それをサクヤが言うのか・・・
「つまりは、あれか、俺と話しもしたくないからとっとといなくなれって事だな。」
サクヤは、妖怪と関わりすぎるなとそう言っているのだ。
「そんな! 私は、峰さんのために・・・」
顔を上げて俺の言葉を否定するサクヤの頭を両手で掴んで勢いよく頭突きをした。
結構な衝撃が頭に響く。サクヤ意外と石頭なんだな・・・むしろこっちの方が痛いのではと思うほどに脳が揺れている気がする。
サクヤの方は、自分が何をされたか、なんでされたのかがよくわからないという混乱しきった表情をしている。
「見くびんな。俺の付き合うべきやつぐらい俺が決める。勝手に自己完結すんな。」
それこそ、本当に今更なのだ。それに俺は妖怪と出会った事に後悔はない。
多くの出会いをしてきた。いいものしかなかったとは言えない。けれど、その出会いの中で俺は確かに変われたのだ。
「俺は、お前達と出会った事に後悔なんてしない。」
「・・・・・・」
「それにサクヤは、俺を頼ったんだぞ? 頼ったんなら責任持って頼ってろよ! 俺がお前を咲かしてやる。」
俺はサクヤに向かって誓う。最初から考えていた事だったけれど、直接言うことは今までなかった。
サクヤは、しばらく、何も言わずに黙っていたがその瞳に涙を浮かべて「ありがとうございます。ごめんなさい。」と俺に頭を下げた。
俺もサクヤに「頭突きしてごめんな。」と謝った。
「じゃあ、なんか別にあるんだろ? 全然、聴くよ。心配だしさ。」
「えっと・・・怒りませんか?」
こちらの様子を伺うようにサクヤが尋ねてくる。そのおっかなびっくりな雰囲気がどこか小動物っぽい・・・
「なんで泣いてる人間に怒ったりするんだよ。怒らないって」
サクヤは、俺の言葉を聞いて「約束ですよ?」と言ってゆっくりと話し始めた。
「その・・・映画を見て・・・」
「うん」
「凄い感動して・・・」
「うん?」
「それを思い出してたら泣けてきて・・・」
「・・・・・・」
「あの・・・峰さん? 怒ってます? 別に心配させるつもりじゃなかったんですよ。その凄い名作で女優の方の演技が本当に名演技で・・・」
俺の顔色を伺うサクヤは少し慌てていた。それってつまりは・・・
「思い出し泣きしてたって事?」
「・・・はい。端的に言えば・・・」
申し訳なさそうにいうサクヤに体の力が抜ける。なんだ。知り合いがなくなったとかそういう類のものではなかったのか・・・
サクヤが泣くほどだから何かあるのかと思ったが感動の涙だったのか・・・
え、つまり、俺は、映画のせいで自分のこの気持ちを自覚したのか・・・
なんというか、凄い嫌だな・・・
「あの・・・みねひゃん・・・なんれ、わたひのほっぺをつねるんでふか・・・」
少し涙目になりながら俺に両手で左右の頬を引っ張られているサクヤが呂律の回っていない喋り方で言ってくる。
なんか、少し意地悪したくなってついつい手が勝手に動いていた。これは、愛ゆえなのかもしれない。うん、そういう事にしとこう。
「ああ、悪い悪い。考え事してた。」
「考え事しながら私の頬つねったんですか!? ていうか、怒らないって言ったじゃないですか!」
少しサクヤの方が怒っている気がする。全然、怒っているわけではないんだが・・・
「すまん。怒ってはないんだが手が勝手に・・・」
「なんれ、また、つねるんれふか・・・」
「おっと・・・なんだろう。一度つまむと永遠につまんでいたくなる。魔性のほっぺだな・・・病みつきになりそうだ。精霊の特殊能力なんじゃないのか・・・」
「や、やめてください! 精霊のほっぺにそんな特殊能力はありません!」
警戒する猫のような俊敏さでサクヤは俺が距離をとってそう言った。
「まあ、本当に怒ってないよ。心配だったのは本当だけど、俺の勘違いだったんならそれが一番だ。サクヤが泣いてるのは嫌だしな。」
「・・・・・・・なん・・・・そ・・・こ・・・うん・・・すか・・・」
サクヤが小さく何かを呟いたが上手く聞き取れなかった。
「なんて言った?」
「いえ、なんでもないです。それより、どうかしたんですか?」
サクヤが俺にそう尋ねる。涙が感動だったことよりもそっちの方に少し怒りを感じたが、ここはぐっとこらえる。
「なんか、サクヤ、俺のこと避けてないか?」
「っ!? そ、そんなことな、ないですよ!?」
明らかに動揺した姿のサクヤを見て確信する。こいつは、完全に俺を避けている。理由はわからないが間違いない。というか、小学生でも、もう少しうまく嘘をつくと思う。
じっとサクヤを見ているとどうやら、観念したようで「はい。ちょっと避けてました・・・」と頭を下げた。
「で、でも、別に峰さんのことが嫌いになったとかではなくて・・・その、お友達といる中に私がいるの邪魔かなって思って・・・」
確かに柏木さんと一緒にいる時はサクヤと話がほとんど出来ていなかったから、居心地が悪かったのかもしれない。それに関しては、俺の気遣いがやっぱり足りてなかった気がする。
「ごめんな。それに関しては、俺がもっと上手くやってればな・・・」
「いえ・・・そんな・・・それにそれだけじゃないんです。」
「それだけじゃないって?」
「峰さんはもっと人間の方と関わるべきだと思います。私達みたいなこっちの世界の住人とじゃなく」
サクヤは、下を向いてこっちを見ようともしない。なぜ突然、そんなことを言うのだろうか。
「峰さんは人間です。妖怪じゃありません。本来なら関わることがない存在に肩入れするのはやっぱり、峰さんのためにならないと思います。人間は人間と関わるべきだと思います。」
「・・・・・・」
人間と妖怪、存在や考え方から違うというのは、最初から分かっていた。自分が明らかに妖怪達の方に寄った生活をしているのも自覚している。
それは周囲から見れば異物でしかない行為で正解ではないのかもしれない。
けれど、それをサクヤが言うのか・・・
「つまりは、あれか、俺と話しもしたくないからとっとといなくなれって事だな。」
サクヤは、妖怪と関わりすぎるなとそう言っているのだ。
「そんな! 私は、峰さんのために・・・」
顔を上げて俺の言葉を否定するサクヤの頭を両手で掴んで勢いよく頭突きをした。
結構な衝撃が頭に響く。サクヤ意外と石頭なんだな・・・むしろこっちの方が痛いのではと思うほどに脳が揺れている気がする。
サクヤの方は、自分が何をされたか、なんでされたのかがよくわからないという混乱しきった表情をしている。
「見くびんな。俺の付き合うべきやつぐらい俺が決める。勝手に自己完結すんな。」
それこそ、本当に今更なのだ。それに俺は妖怪と出会った事に後悔はない。
多くの出会いをしてきた。いいものしかなかったとは言えない。けれど、その出会いの中で俺は確かに変われたのだ。
「俺は、お前達と出会った事に後悔なんてしない。」
「・・・・・・」
「それにサクヤは、俺を頼ったんだぞ? 頼ったんなら責任持って頼ってろよ! 俺がお前を咲かしてやる。」
俺はサクヤに向かって誓う。最初から考えていた事だったけれど、直接言うことは今までなかった。
サクヤは、しばらく、何も言わずに黙っていたがその瞳に涙を浮かべて「ありがとうございます。ごめんなさい。」と俺に頭を下げた。
俺もサクヤに「頭突きしてごめんな。」と謝った。
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