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2章
Part 89 『短期決戦』
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ユキの攻撃は、意識のあった頃に比べて効率的になっているように感じた。
鋭く尖った氷をぶつける。炎を相手に向かって飛ばす。確かに殺傷性はあるが、もっと効率的に殺害だけを追求するならそんな演出過多な攻撃など無駄が多すぎる。
こと、対人において人間という存在は、いくつも魔法よりも恐ろしいものを作り出してきた。その一つが銃器である。
引き金を引けば時速1000kmを上回る速度で目標にめがけて鉛玉飛んでくる。その殺傷能力は、鋭く尖った氷や炎を飛ばすなどという方法よりも単純で確実だ。
短時間で最小の質量で、それでいて確実な威力をもつそれは、魔法で相手を攻撃するよりも効率的だ。ユキのとった攻撃手段は、つまりは、そういう事だ。
ユキの周りに浮遊するのはいくつもの銃器、種類の様々な銃器が明らかに20丁以上空中で固定されている。
そして、銃の引き金は、ユキが軽く腕を振るうのを合図にまるで雨のように隙間なく僕とリドを襲った。
発砲の予兆を感じてすぐに身を守るために魔法の道具を起動する。襲いかかる弾丸は、まるで僕を避けるように起動を逸らしていく。リドは、僕の後ろに隠れて攻撃を回避する。
「まったく、嫌な戦い方をする・・・」
僕は、心からの不満を吐き出す。これだけ大規模に発砲されれば、下手に動けば命取りになる。心を読まれている対策なのか、一点特化の攻撃ではなく、範囲的な攻撃に切り替えている辺り本当に性格が悪い。
僕は、他人の心が読める道具を所有している。と言っても万能じゃない。一度に複数人の心は読めない。苦痛や恨みなんかの負の感情をもろに自分にも受けるので今のような呪いに支配されている人間の心を読むなんて事は出来ない。
つまり、僕にはユキの思考を読むことは出来ていない。
魔法の道具には色々と小難しい制約のようなものが多いので瞬時に使いこなすのは難しい。
先程、起動した魔法の道具も使用後は一定時間は使えなくなるので持久戦はどんどん不利になっていく。
ユキが出現させた巨大な岩の破片に身を隠しながら私は、リドに声をかける。
「リド、どうだい? 避けれるかい?」
僕がそう尋ねるとリドが「相手に近づくのは不可能じゃない。だけど、そのあとが問題だな。攻撃が当たる気がしない。」と答えた。
魔女は自分で言うのもなんだが破格の能力を持っている。魔力を必要とするという対価はあるが、考えられる事は全て可能になるという事は、認識されていれば、どんな状況からでも回避されてしまうという事だ。
つまり、魔女を倒すなら意識を奪うか不意をつくしかない。
こうして放置していれば、第2射がすぐに来るだろう。相手が現代兵器を存分に使ってくるのならこちらも対抗してやるしかない。
「魔女でも相手は新米の子供だ。知識量の差はどうしたって出る。そこを狙うよ。」
立ち振る舞いも含めて精神の成熟は小学生とは思えない。魔女になった副産物的なものだろうが、そうは言っても小学生、使う銃も映画や漫画で出てくるような派手な武器ばかりだ。
「そういえば、どうやって呪いを解除するんだ。魔法か?」
「本来ならね。魔法で解除するのが手っ取り早いんだけど、それ以上に良いものがある。」
僕は、魔法でしまった日本刀を取り出す。
ウチガネが最期に打った生涯最高の一振り妖刀『真冬』
その力はひどくシンプルだ。斬る事ただそれだけだ。刀の性質をただただ追求したこの妖刀は、とてもウチガネらしい。
「魔女を叩っ斬るのか?」
「そんな事したら流石に魔女でも死ぬよ。リド。この刀、大体切りたいと思ったものはなんでも切れる。」
「なんだそのアバウトな説明」
呆れたような表情を浮かべるリドに説明するために刀を引き抜く。目の前の岩を刀で斬る。
しかし、確実に斬ったはずの岩は一切、傷が付いていない。
「斬りたいものだけを斬る。斬りたくないものを斬らない。あとは分かるね?」
「あん? どういう事だ・・・?」
「呪いを切り裂けって言ってるんだよ。まったく、なんで分からないんだ。」
僕は、リドに刀を渡す。
呪いが目に見える訳ではないけれど、この刀の能力なら不可能ではないはずなのだ。
「次、僕は見つかってもう一回攻撃されるから、あの射撃が終わったら耳と目を塞いでるんだよ。その直後に行動開始だよ。」
「あいよ。頼むぜ。」
「さあ、本当に幕引きだ。」
鋭く尖った氷をぶつける。炎を相手に向かって飛ばす。確かに殺傷性はあるが、もっと効率的に殺害だけを追求するならそんな演出過多な攻撃など無駄が多すぎる。
こと、対人において人間という存在は、いくつも魔法よりも恐ろしいものを作り出してきた。その一つが銃器である。
引き金を引けば時速1000kmを上回る速度で目標にめがけて鉛玉飛んでくる。その殺傷能力は、鋭く尖った氷や炎を飛ばすなどという方法よりも単純で確実だ。
短時間で最小の質量で、それでいて確実な威力をもつそれは、魔法で相手を攻撃するよりも効率的だ。ユキのとった攻撃手段は、つまりは、そういう事だ。
ユキの周りに浮遊するのはいくつもの銃器、種類の様々な銃器が明らかに20丁以上空中で固定されている。
そして、銃の引き金は、ユキが軽く腕を振るうのを合図にまるで雨のように隙間なく僕とリドを襲った。
発砲の予兆を感じてすぐに身を守るために魔法の道具を起動する。襲いかかる弾丸は、まるで僕を避けるように起動を逸らしていく。リドは、僕の後ろに隠れて攻撃を回避する。
「まったく、嫌な戦い方をする・・・」
僕は、心からの不満を吐き出す。これだけ大規模に発砲されれば、下手に動けば命取りになる。心を読まれている対策なのか、一点特化の攻撃ではなく、範囲的な攻撃に切り替えている辺り本当に性格が悪い。
僕は、他人の心が読める道具を所有している。と言っても万能じゃない。一度に複数人の心は読めない。苦痛や恨みなんかの負の感情をもろに自分にも受けるので今のような呪いに支配されている人間の心を読むなんて事は出来ない。
つまり、僕にはユキの思考を読むことは出来ていない。
魔法の道具には色々と小難しい制約のようなものが多いので瞬時に使いこなすのは難しい。
先程、起動した魔法の道具も使用後は一定時間は使えなくなるので持久戦はどんどん不利になっていく。
ユキが出現させた巨大な岩の破片に身を隠しながら私は、リドに声をかける。
「リド、どうだい? 避けれるかい?」
僕がそう尋ねるとリドが「相手に近づくのは不可能じゃない。だけど、そのあとが問題だな。攻撃が当たる気がしない。」と答えた。
魔女は自分で言うのもなんだが破格の能力を持っている。魔力を必要とするという対価はあるが、考えられる事は全て可能になるという事は、認識されていれば、どんな状況からでも回避されてしまうという事だ。
つまり、魔女を倒すなら意識を奪うか不意をつくしかない。
こうして放置していれば、第2射がすぐに来るだろう。相手が現代兵器を存分に使ってくるのならこちらも対抗してやるしかない。
「魔女でも相手は新米の子供だ。知識量の差はどうしたって出る。そこを狙うよ。」
立ち振る舞いも含めて精神の成熟は小学生とは思えない。魔女になった副産物的なものだろうが、そうは言っても小学生、使う銃も映画や漫画で出てくるような派手な武器ばかりだ。
「そういえば、どうやって呪いを解除するんだ。魔法か?」
「本来ならね。魔法で解除するのが手っ取り早いんだけど、それ以上に良いものがある。」
僕は、魔法でしまった日本刀を取り出す。
ウチガネが最期に打った生涯最高の一振り妖刀『真冬』
その力はひどくシンプルだ。斬る事ただそれだけだ。刀の性質をただただ追求したこの妖刀は、とてもウチガネらしい。
「魔女を叩っ斬るのか?」
「そんな事したら流石に魔女でも死ぬよ。リド。この刀、大体切りたいと思ったものはなんでも切れる。」
「なんだそのアバウトな説明」
呆れたような表情を浮かべるリドに説明するために刀を引き抜く。目の前の岩を刀で斬る。
しかし、確実に斬ったはずの岩は一切、傷が付いていない。
「斬りたいものだけを斬る。斬りたくないものを斬らない。あとは分かるね?」
「あん? どういう事だ・・・?」
「呪いを切り裂けって言ってるんだよ。まったく、なんで分からないんだ。」
僕は、リドに刀を渡す。
呪いが目に見える訳ではないけれど、この刀の能力なら不可能ではないはずなのだ。
「次、僕は見つかってもう一回攻撃されるから、あの射撃が終わったら耳と目を塞いでるんだよ。その直後に行動開始だよ。」
「あいよ。頼むぜ。」
「さあ、本当に幕引きだ。」
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