咲かない桜

御伽 白

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2.5章

Part 101 『絶叫フルコース』

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 実際に体験してみると想像の数倍、振り回された。目が回ると言うよりは、内臓をぐるぐると回されるような感覚だ。

 「なんか、やつれました? 峰さん」

 サクヤが俺の顔を覗き込みながらそう尋ねてくる。サクヤはこういう乗り物は平気なタイプなようでキャーキャー言いながら体を振り回していた。

 「え? 別に全然、余裕だけど? ああ、楽しすぎてもう一回乗りたいぐらいだ。」

 なんとなく、サクヤが平気そうなのに自分だけダメージを負っているのが悔しくてついつい強がりが口に出た。

 「あ、そうなんですか!? じゃあ、もう一回乗ります!?」

 こいつ・・・実は分かってて言ってるんじゃないだろうな・・・

 「いや、他にもアトラクションはあるし・・・次、行こうぜ・・・」

 そう言って歩き出そうとすると後ろから、凛が俺の肩を軽く叩いた。

 「日向が乗りたいならもう一回乗っても良い」

 笑顔でそう言ってくる。やめて、そういう方向の優しさはいらないの・・・

 「私も大丈夫です!」

 ユキはかなり楽しかったようで、少し普段よりも元気にそう言った。

 だめだ。このままだと、内臓を全て吐き出して死ぬかもしれない。いや、どんな拷問されたらそんな死に方するんだ。

 コンに助けを求める視線を送ると「しゃーないっすね」とやれやれと言った表情を浮かべ「さすがにもう一回一席確保するのは、難しいっすね・・・残念っすけど、次のアトラクション行きましょうっす。」と3人に声をかけてくれた。

 そういうと流石の3人も諦めたらしく、次のアトラクションに向かって歩き始めた。

 「貸しっすからね。」

 歩き出す女性陣達の後ろを歩く俺にコンが声をかけてくる。

 「ああ、ソフトクリームでもなんでも奢るよ・・・」

 「ていうか、なんであんな無意味な嘘を吐いたんっすか・・・」

 「なんか、俺だけきついとかなんか悔しいだろ・・・」

 「男の子っすね~」

 茶化すように笑うコンに少しムッとして「いや、お前も男子だろ・・・」と返すと「まあ、気持ちはわかるっすけどね。」とフォローを入れた。

 「でも、峰さんは、そういう見栄とかとは無縁だと思ってたっすよ。」

 「好きな子の前ぐらいちょっとは無理してでも見栄はるよ。」

 「サクヤさんっすか」

 コンがハッキリとそう言うので少し面を食らってしまった。そうハッキリと言われると少し照れるものがある。

 「そんな、あからさまに照れないでくださいっす。」

 「いや、最近、意識し始めたから、なんか改めて言われると恥ずかしくってさ・・・」

 「難しいと思うっすよ。人間と妖怪は有りようが違うっす・・・特にサクヤさんは」

 真面目な表情を浮かべてコンは俺にそう言う。サクヤは、普通の人には姿が見えない。人間の体を持っているコン達とは根本から違う。けれど、そんな事は分かっている。

 「大丈夫だよ。姿が見えないって言ったって俺は見えるし触れるんだから・・・」

 そう言うとコンは何故か驚いた表情を浮かべたかと思うとすぐに「ああ、なるほど・・・」と何かに納得したようにそう呟いた。

 「なんだよ。」

 「峰さん・・・いや・・・本気で好きなんだなと思っただけっすよ。頑張ってくださいっす。応援してるっすよ!」

 そう言ってコンは俺を茶化すように言った。

 「ただ、峰さん、さっき見たんっすけど、これから、多分、4個ぐらい連続でかなりの絶叫系っす・・・」

 目の前に見えるいくつもアトラクションに思わず涙が出そうになる。しかし、一度、吐いた唾は飲み込めない。

 「ワー・・・タノシソウダナー」

 まるで自分の声じゃないように魂の抜けた声が出た。
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