咲かない桜

御伽 白

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3章

Part 116『目には目を歯には歯を』

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 「私の向こうの世界のでの同業者がいたんだ。けれど、殺された。その時に依頼をしていた私の魔法具を1つ奪われたんだ。それを取り返すのが今回の依頼だ。」

 「元を辿れば私の物なんだから取り返して何が悪いって事だ。」

 確かにその理屈で言えば、奪われたものを奪い返すのだから奪還である。正当性はあるように感じる。しかし、殺されたというのが気になった。

 「まあ、確かに危険な話だ。私ももっと楽な仕事を依頼するつもりだったが、向こうとこっちは時間の長さが違うんだ。下手をすると魔法具を売り飛ばしたりしたら探すのが余計に困難になる。」

 時間の長さが違う?  それは、向こうでは進む長さが違うという事だろうか。竜宮城のように向こうに行って帰って来てみたら数十年時間が経っていたなんて笑えない。

 「まあ、ありえないとは言わないさ。異世界とこちらの時間の流れる速さは、噛み合う瞬間の方が珍しいから、こちらでの1時間が向こうでの3時間に相当する事だってある。はたまた、4時間だったり、2時間だったり落ち着きなく変化しているからね。」

 つまり、こうして話している間にも3倍や4倍時間が経過している可能性があるという事になる。

 「だから、探してこいってことか。でも、リューが行った方が確実じゃないのか?」

 「残念ながらそういう訳にもいかないのさ。珍しく依頼がたくさん舞い込んで来てね。それにタイミングよく護衛役を手に入れる事が出来たからね。」

 「さっきから言ってる護衛ってなんなんだよ。ツララの事か?」

 「あの子はまだ外に出せるような状態じゃない。もう少し、上手く生きる方法が分かったらそっち関係の仕事も任せる予定だけどね。護衛役は、真冬さ。どうだい? 心強いだろう?」

 そう言われて真冬さんが、何かの用事でこの街に来ていたと言っていたのを思い出した。

 「彼女の依頼は、向こうの世界に連れて行く事、そして、こちらの世界に帰ってくる事だった。だからその報酬として君たちの護衛を依頼したって訳だ。良いタイミングだっただろう?」

 「確かにそりゃあ、ベストなタイミングだな。」

 「あの、リューさん、私、1日以上、木から離れられないんですけど・・・」

 そうだ。サクヤの本体はあくまで桜の木だ。それから離れるのは、不可能なはずだ。

 「それに関しては、前々から不便そうだと思って対策しておいたんだ。とりあえずは、安心すると良い。峰の家を開ける事に関しての問題も対策しているから、君達は心置きなく泥棒して帰って来ておくれ。」

 リューが自信満々にそう言うので、俺達は結局、泥棒の片棒を担ぐ事に決定したのだった・・・
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