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3章
Part 200『ムゲツ』
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彼岸花のような鮮やかな赤い行灯に薄く照らされた部屋に小麦色の長い髪の着物を着た美女は、窓辺に座り手に持った盃に注がれた酒を眺める。
小麦色の髪に腰のあたりからは、九本のふわふわとした柔らかそうな尻尾が生えており、頭からは、狐の耳が時折、外の音を聴きピクピクと揺れている。
ややツリ目気味の黄金色の瞳は、まるで全てを見透かしているかのような吸い込まれるような美しさで、その細くしなやかな手足は、細く作り物のような造形美であった。
やや着崩され胸元のはだけた着物は、花魁のようであり、豊満な体は、妖艶であり多くの人を魅了する事だろう。
盃に映る月を眺めるその姿は、腕のある画家に描かせればさぞ素晴らしい代物が出来上がる事だろう。
彼女を見た妖怪達は、口を揃えて言う。狐月の当主、ムゲツは、紛れもなく絶世の美女である。
寒気がするほどに完成された顔立ちの良さ、多くの人を虜にするであろう体は、存在そのものが芸術品の様である。
彼女は、憂いを帯びた表情で酒を煽る。
しばらくすると彼女のいる部屋に一人の男が入ってくる。その男は、腰に刀を下げ見るからに侍というような見た目をしている。着物から出ている手足にはびっしりと不可思議な模様が描かれている。
無愛想なその表情は、ムゲツの前でも崩れることはなく、耳によく通るしっかりとした低い声で「主人、調べたところ、餓狼衆は、あの時見逃した者達である事は間違いないようです。」と片膝をついて報告する。
「ご苦労様です。つまりは、狙いはサツキ姉さんの封印の開放ですか。」
無月は、思い出すように言葉を発する。サツキ、自分が封印した実の姉の名を。
「封印の解除には、人間の力が必要です。今のうちに拉致された人間を始末するのも手かと」
淡々とした口調で男はそう続ける。そこに慈悲や情などは一切ない。ただただ、機械的に手段を提案する。
「同族をそこまで冷たくするものではないですよ。それにその人間に手を出せば鬼島との関係も悪くなるでしょう。ただ、このまま、静観する訳にもいきませんね。」
ムゲツは、酒を飲みきり盃を置いて男に向かって「明日、篠山に向かいます。」と告げた。
「随分と時間が経ちましたね。あなたとも長い付き合いです。今回もよろしくお願いしますね。冬夜」
「主人が望むのであれば、いかなる敵も斬り伏せましょう。」
冬夜と呼ばれる人間は、はっきりと、そして淡々とそう告げた。
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彼岸花のような鮮やかな赤い行灯に薄く照らされた部屋に小麦色の長い髪の着物を着た美女は、窓辺に座り手に持った盃に注がれた酒を眺める。
小麦色の髪に腰のあたりからは、九本のふわふわとした柔らかそうな尻尾が生えており、頭からは、狐の耳が時折、外の音を聴きピクピクと揺れている。
ややツリ目気味の黄金色の瞳は、まるで全てを見透かしているかのような吸い込まれるような美しさで、その細くしなやかな手足は、細く作り物のような造形美であった。
やや着崩され胸元のはだけた着物は、花魁のようであり、豊満な体は、妖艶であり多くの人を魅了する事だろう。
盃に映る月を眺めるその姿は、腕のある画家に描かせればさぞ素晴らしい代物が出来上がる事だろう。
彼女を見た妖怪達は、口を揃えて言う。狐月の当主、ムゲツは、紛れもなく絶世の美女である。
寒気がするほどに完成された顔立ちの良さ、多くの人を虜にするであろう体は、存在そのものが芸術品の様である。
彼女は、憂いを帯びた表情で酒を煽る。
しばらくすると彼女のいる部屋に一人の男が入ってくる。その男は、腰に刀を下げ見るからに侍というような見た目をしている。着物から出ている手足にはびっしりと不可思議な模様が描かれている。
無愛想なその表情は、ムゲツの前でも崩れることはなく、耳によく通るしっかりとした低い声で「主人、調べたところ、餓狼衆は、あの時見逃した者達である事は間違いないようです。」と片膝をついて報告する。
「ご苦労様です。つまりは、狙いはサツキ姉さんの封印の開放ですか。」
無月は、思い出すように言葉を発する。サツキ、自分が封印した実の姉の名を。
「封印の解除には、人間の力が必要です。今のうちに拉致された人間を始末するのも手かと」
淡々とした口調で男はそう続ける。そこに慈悲や情などは一切ない。ただただ、機械的に手段を提案する。
「同族をそこまで冷たくするものではないですよ。それにその人間に手を出せば鬼島との関係も悪くなるでしょう。ただ、このまま、静観する訳にもいきませんね。」
ムゲツは、酒を飲みきり盃を置いて男に向かって「明日、篠山に向かいます。」と告げた。
「随分と時間が経ちましたね。あなたとも長い付き合いです。今回もよろしくお願いしますね。冬夜」
「主人が望むのであれば、いかなる敵も斬り伏せましょう。」
冬夜と呼ばれる人間は、はっきりと、そして淡々とそう告げた。
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