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序章
Part 10 『サクヤは混乱している。』
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俺の住む家は、都心という訳でもなければ、ど田舎という訳でもない。うちの周りは、田んぼや畑が多いが、ちょっと駅の方に行けば、店も結構な数がある。娯楽のための施設もその辺りに行けばいくつもあるし、特に特殊な用事がなければ、外の街に出る必要がない程度には、色々なものがある街だ。
そんな中で、魔女なんて不可思議なものが存在する場所がどこにあるのか疑問であった。街のある方向に歩きながら俺は、サクヤにいくつか聞いて見ることにした。
「なあ、魔女ってどこに住んでるんだ?」
「駅から徒歩10分って話ですけど」
「結構、良いとこに住んでるんだな・・・」
妖怪とかも駅近とかを意識したりするんだろうか。ていうか、電車乗るんだろうか・・・あんな馬鹿みたいな速度で移動できる存在が・・・
山であったピンク色の髪の少女を思い出す。あの子の速さは正直に言えば、電車よりも圧倒的に早かった。
「妖怪とか妖精も公共交通機関使うもんなの?」
「公共交通機関というのは、電車とかバスとかの事ですよね・・・そうですね。乗ったり乗らなかったりですかね。そもそも、私達は、遠出をすることが本来あまりないので」
「え? そうなの?」
「はい。私達みたいな、物に依り代を持つものは、勿論遠出なんて中々出来ませんけど、他の妖怪達も街に出ることはあっても遠出することは滅多にありません。だって、自分の気に入った場所に住んでるんですから、他に行きたい場所があるならそこに住めば良いんです。」
もっともな話だ。彼らは基本的に金品を持たないので街に買い物に行くこともない。 ならば、彼らが求めるのは、住みやすいかそうでないかなのか。
「魔女は、見た目は人間と変わりませんし、普通の人にも見えるんですよ。」
「あ、そうなんだ・・・」
「はい。後は、想像してる通りだと思いますよ。魔法で色々なことが出来るそんな存在です。あと、使い魔を連れてますね。猫とかカラスとか動物を」
「まあ、イメージとしてはたしかにドンピシャって感じだな。」
だいたいイメージする通りの魔女のイメージだ。これにとんがり帽子でも被ってたらまさしくだ。
「魔女は私たちよりも出来ることの幅が広いんですよね。噂によれば、想像できることの全てが魔女の出来ることらしいですから」
「幅が広いとかいうレベルじゃないだろそれ」
「それぐらい破格の存在ということなんでしょうね。」
だとすると、本当に心の準備が必要な相手だ。機嫌を損ねればもしかしたら本当に殺されてしまうかもしれない。
だが、逆に万能であるというなら俺の目を治すことも可能なのではないのだろうか・・・
「もうすぐ着きますよ。心の準備はいいですか?」
「ああ、大丈夫・・・」
「ほんとに、ほんとにですか? 無理なさらなくて大丈夫ですよ? 怖いならちょっと気持ちの整理をするぐらいの時間は全然ありますよ?
「ああ、こういうのは、度胸が大事だと思うぞ。気持ちで負けたら勝てるものも勝て・・・」
「ない」と続けようと彼女の顔を見るとまるで今にも死にそうなほど青ざめていた。
これは・・・大丈夫じゃないな。サクヤが
「大丈夫か? 顔が真っ青だぞ?」
「大丈夫か、大丈夫じゃないかと言いますと魔女の噂がとんでもないことを思い出してしまって大丈夫じゃないんですけど、たしかに気持ちで負けていてはどうにもなりませんし、私も昨日から準備をしていた訳で・・・いや、準備って言っても心の準備だけで別に対策とかは全然出来てないっていうか、対策の方法が思いつかなかったっていうか、だってだって、全能の能力を持ってる存在に私はどう対処すればいいんですか、大人しくなすがままに切り倒されるのが運命じゃないかって、だけど、もし、なんとなくで呪いをかけられたのなら、今回だってなんとなくで呪いを解いてもらえるかもしれないって思いますし、まあ、それで怒りを買ってしまって、燃やされたら私どうやって生きていけば、いや、燃やされたら私は死んじゃうんですけど——」
サクヤは、ひどく混乱しているようでブツブツと呟き続ける。緊張してたのか・・・平気そうだと思ったのは取り繕っていたようだ。
「なんか、そんな反応してると俺まで不安になってくるんだけど・・・」
「だ、大丈夫です! 是が非でも峰さんは、私が守・・・・・・」
守ると言いかけた途中で魔女の存在を思い出したのか、死んだ目をしながら俺に向かって「大丈夫です。死ぬときは一緒です。」と呟いた。
「諦めんの早い!?」
「も、勿論、この身が引き裂かれて桜餅になったとしても守りたいとは思いますけど! 私、戦闘に関しての能力ってあんまり・・・」
「落ち着いてくれ、サクヤがどんなに頑張っても桜餅にはなれない。」
「そうですよね。所詮、私は、桜餅の葉っぱですよ。咲きませんから」
「桜餅の餅には桜は入ってないと思うけど? いや、そういう話をしたいんじゃないだよ。」
この状態で魔女にあったら錯乱して何を言うか分かったもんじゃない。とりあえず、落ち着かせなければいけない。
幸い駅に近いこの場所は、そういったスペースにことかかない。
「とりあえず、喫茶店で落ち着こう。」
「・・・・・・喫茶店?」
「うん、昼飯にはまだ早いけど、ちょっと、小腹も空いてきたし丁度いいかなって・・・」
「いきます! 私、行きたいです! 喫茶店!」
目を輝かせながらサクヤは、俺の手を引いて駆け足で向かう。本当に街が好きなんだな・・・
さっきまでのテンションはどこにいったのやら、俺達は、魔女の家に行く前に休憩することにした。
そんな中で、魔女なんて不可思議なものが存在する場所がどこにあるのか疑問であった。街のある方向に歩きながら俺は、サクヤにいくつか聞いて見ることにした。
「なあ、魔女ってどこに住んでるんだ?」
「駅から徒歩10分って話ですけど」
「結構、良いとこに住んでるんだな・・・」
妖怪とかも駅近とかを意識したりするんだろうか。ていうか、電車乗るんだろうか・・・あんな馬鹿みたいな速度で移動できる存在が・・・
山であったピンク色の髪の少女を思い出す。あの子の速さは正直に言えば、電車よりも圧倒的に早かった。
「妖怪とか妖精も公共交通機関使うもんなの?」
「公共交通機関というのは、電車とかバスとかの事ですよね・・・そうですね。乗ったり乗らなかったりですかね。そもそも、私達は、遠出をすることが本来あまりないので」
「え? そうなの?」
「はい。私達みたいな、物に依り代を持つものは、勿論遠出なんて中々出来ませんけど、他の妖怪達も街に出ることはあっても遠出することは滅多にありません。だって、自分の気に入った場所に住んでるんですから、他に行きたい場所があるならそこに住めば良いんです。」
もっともな話だ。彼らは基本的に金品を持たないので街に買い物に行くこともない。 ならば、彼らが求めるのは、住みやすいかそうでないかなのか。
「魔女は、見た目は人間と変わりませんし、普通の人にも見えるんですよ。」
「あ、そうなんだ・・・」
「はい。後は、想像してる通りだと思いますよ。魔法で色々なことが出来るそんな存在です。あと、使い魔を連れてますね。猫とかカラスとか動物を」
「まあ、イメージとしてはたしかにドンピシャって感じだな。」
だいたいイメージする通りの魔女のイメージだ。これにとんがり帽子でも被ってたらまさしくだ。
「魔女は私たちよりも出来ることの幅が広いんですよね。噂によれば、想像できることの全てが魔女の出来ることらしいですから」
「幅が広いとかいうレベルじゃないだろそれ」
「それぐらい破格の存在ということなんでしょうね。」
だとすると、本当に心の準備が必要な相手だ。機嫌を損ねればもしかしたら本当に殺されてしまうかもしれない。
だが、逆に万能であるというなら俺の目を治すことも可能なのではないのだろうか・・・
「もうすぐ着きますよ。心の準備はいいですか?」
「ああ、大丈夫・・・」
「ほんとに、ほんとにですか? 無理なさらなくて大丈夫ですよ? 怖いならちょっと気持ちの整理をするぐらいの時間は全然ありますよ?
「ああ、こういうのは、度胸が大事だと思うぞ。気持ちで負けたら勝てるものも勝て・・・」
「ない」と続けようと彼女の顔を見るとまるで今にも死にそうなほど青ざめていた。
これは・・・大丈夫じゃないな。サクヤが
「大丈夫か? 顔が真っ青だぞ?」
「大丈夫か、大丈夫じゃないかと言いますと魔女の噂がとんでもないことを思い出してしまって大丈夫じゃないんですけど、たしかに気持ちで負けていてはどうにもなりませんし、私も昨日から準備をしていた訳で・・・いや、準備って言っても心の準備だけで別に対策とかは全然出来てないっていうか、対策の方法が思いつかなかったっていうか、だってだって、全能の能力を持ってる存在に私はどう対処すればいいんですか、大人しくなすがままに切り倒されるのが運命じゃないかって、だけど、もし、なんとなくで呪いをかけられたのなら、今回だってなんとなくで呪いを解いてもらえるかもしれないって思いますし、まあ、それで怒りを買ってしまって、燃やされたら私どうやって生きていけば、いや、燃やされたら私は死んじゃうんですけど——」
サクヤは、ひどく混乱しているようでブツブツと呟き続ける。緊張してたのか・・・平気そうだと思ったのは取り繕っていたようだ。
「なんか、そんな反応してると俺まで不安になってくるんだけど・・・」
「だ、大丈夫です! 是が非でも峰さんは、私が守・・・・・・」
守ると言いかけた途中で魔女の存在を思い出したのか、死んだ目をしながら俺に向かって「大丈夫です。死ぬときは一緒です。」と呟いた。
「諦めんの早い!?」
「も、勿論、この身が引き裂かれて桜餅になったとしても守りたいとは思いますけど! 私、戦闘に関しての能力ってあんまり・・・」
「落ち着いてくれ、サクヤがどんなに頑張っても桜餅にはなれない。」
「そうですよね。所詮、私は、桜餅の葉っぱですよ。咲きませんから」
「桜餅の餅には桜は入ってないと思うけど? いや、そういう話をしたいんじゃないだよ。」
この状態で魔女にあったら錯乱して何を言うか分かったもんじゃない。とりあえず、落ち着かせなければいけない。
幸い駅に近いこの場所は、そういったスペースにことかかない。
「とりあえず、喫茶店で落ち着こう。」
「・・・・・・喫茶店?」
「うん、昼飯にはまだ早いけど、ちょっと、小腹も空いてきたし丁度いいかなって・・・」
「いきます! 私、行きたいです! 喫茶店!」
目を輝かせながらサクヤは、俺の手を引いて駆け足で向かう。本当に街が好きなんだな・・・
さっきまでのテンションはどこにいったのやら、俺達は、魔女の家に行く前に休憩することにした。
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