はじめてのドキドキ

ぱんだくらぶ

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第8話: 「初めてのデート」

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月曜日の朝、あかりはいつもより早く目が覚めた。週末の出来事がまだ夢のようで、胸がドキドキしていた。ゆうすけに「好き」と言ってもらったこと、そして自分もその気持ちを伝えたことが何度も頭の中で再生される。

「本当に…付き合ってるってことなのかな?」

まだ現実感がないまま、あかりは制服に着替え、朝ごはんを食べながら母親に声をかけられた。

「今日も元気そうね。何かいいことあったの?」

「う、うん!ちょっとね!」

母の勘の良さに少しドキッとしながらも、あかりは軽くごまかした。学校に向かう道も、いつもより楽しく感じられる。教室に着くと、ゆうすけの姿を探してしまう自分に気づき、恥ずかしくなった。

「おはよう、あかり!」

ゆうすけの明るい声が聞こえて、あかりの心臓が一瞬止まりそうになった。彼はいつも通りの笑顔で、あかりに手を振っている。まるで昨日までと何も変わらないように見えるけれど、二人の間には確かに違う何かがあった。

「あ、おはよう…」

緊張しながら返事をするあかりに、ゆうすけはちょっとだけ照れくさそうな表情を浮かべた。そして、小声で囁くように言った。

「昨日のこと…忘れてないよね?」

その言葉に、あかりは小さく頷いた。どうしても顔が赤くなってしまうのを隠せなくて、視線を逸らしてしまう。

「うん、もちろん覚えてるよ。」

その日、授業中も何度か目が合って、二人はお互いに小さく笑い合った。クラスメイトたちには気づかれないようにしていたけど、心の中ではずっとゆうすけのことを考えていた。

放課後、ゆうすけがあかりの席にやってきて、小さなメモを手渡した。

「これ、読んでみて。」

あかりはメモを開いて、そこに書かれた言葉に目を丸くした。

「土曜日、映画館で待ち合わせしない?デートしよう。」

そのメッセージに、あかりは嬉しくて顔が自然とほころんだ。初めてのデートのお誘いだった。彼女はすぐに「うん!行きたい!」と返事をしたい気持ちでいっぱいだったが、少しだけ考えた後、落ち着いて「うん、行く!」とだけメモに書き足して返した。

土曜日が待ち遠しくて、その週の授業は全然頭に入らなかった。あかりは毎日、何を着て行くか、どんな髪型にするか、どんな話をしようかと考えていた。友達のさくらにはそのことを相談しようか迷ったが、なんとなく自分だけの秘密にしておきたくて、結局言わずにいた。

そして、ついに土曜日がやってきた。朝からソワソワして、服を何度も着替えた。結局、ピンクのカーディガンと白いワンピースに決めた。母には「今日は友達と映画に行くの」とだけ伝えて、家を出た。映画館に着くと、すでにゆうすけが待っていた。

「あかり、こっちだよ!」

ゆうすけは普段の制服姿とは違い、ちょっと大人びたカジュアルな服装だった。あかりも「ゆうすけくん、かっこいい…」と思いながら、照れ隠しに軽く手を振った。

「お待たせ。映画、楽しみにしてたんだ。」

「うん、僕も。あかり、今日の服すごく似合ってるよ。」

突然の褒め言葉に、あかりは思わず顔を赤くした。「ありがとう」と小さく答えて、二人は並んでチケットを買いに行った。映画のタイトルは二人で選んだ冒険もののアニメで、席に着くと自然と緊張が解けていった。

映画が始まると、二人は真剣にスクリーンを見つめていたが、時折同じシーンで笑い合ったり、驚いたり。手が触れそうで触れない距離感に、あかりはドキドキしっぱなしだった。それでも、ゆうすけの隣にいる安心感が嬉しかった。

映画が終わって外に出ると、二人は少し照れながらも自然と手を繋いで歩き始めた。あかりの手は少し汗ばんでいたが、それでも離したくなかった。ゆうすけもそれに気づいているのか、優しく握り返してくれた。

「今日、楽しかったね。あかりと一緒に来てよかった。」

ゆうすけがそう言うと、あかりも素直に「うん、すごく楽しかった」と答えた。初めてのデートは緊張もしたけれど、ゆうすけの隣にいるだけで幸せだった。

帰り道、夕焼け空の下で二人は並んで歩いた。少しの沈黙も心地よくて、言葉がなくても気持ちは通じ合っている気がした。

「ねえ、またデートしよう。」

ゆうすけのその一言に、あかりは嬉しそうに頷いた。二人の関係はまだ始まったばかりだけれど、その一歩一歩があかりにとっては特別なものだった。夕日が二人の背中を温かく照らしながら、二人は家路へと続く道をゆっくりと歩き続けた。
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