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第一章 開幕の襲来
謎の爆発、降り立つ闇・シュトラーフェ
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「ロイ隊長、いつも以上に真剣だったね」
「なんだろうねぇ」
「ありゃきっと一大事だな、よーしお前ら! くれぐれも面倒事には巻き込まれないようにな! 俺の仕事が増えそうだから!!」
「どちらかというと面倒事に俺らを巻き込むなよディアス?」
「それよりも早く食べなよディアスくん」
「チ、チクショーー!」
ディアスの大盛肉定食の完食を見届けたレイルはソア達と別れ資料保管庫へ。
―――――
(闇の魔力に関する資料。食堂で隊員の人達が話してた事件に似た爆発事件の内容をまとめたものだよな。確か……)
数か月前、ルフスから遠く離れた東にある秋の大地でも同じような爆発事件が起きていた。爆発の原因は謎のカルト集団“黒い月”の儀式の最中に発生した魔法反応。
その事故で近隣の村は全焼し村人は跡形もなく消し飛んだらしい。
本国直属の騎士団“ゼネラル騎士団”の調査によれば儀式をとりおこなっていた黒い月メンバーもその爆発に巻き込まれて死亡……唯一爆発現場に残っていたのは黒い月のメンバーが身に纏っていたであろう謎の模様が描かれた黒い布きれのみ。
この事件は謎に包まれたまま真相は解らず、黒い月の他のメンバーの捜索が今も続けられている。
(いったい何の儀式をしていたのやら、怖いな)
と、そんな奇妙な事件を思い出しているうちにレイルは資料保管庫にたどり着いた。
ルフス総合資料保管庫。
中央塔から東に数百メートル先、レンガ造りで苔が生えた古びた建物。鉄の壁に囲まれた機工都市ルフスにはちょっと雰囲気があわない造りなのが特徴的。
此処はルフスが今までに獲得した情報と外部から取り寄せた資料を管理する為に作られた施設。
中に入ると壁一面にずらりと本棚が並んでおり、その周囲を水色の水晶が飛び回っている。
扉からの一本道、その先を進んだ所に天井の大窓から差す日差しに照らされた大きな水晶がひとつ。この資料保管庫内の全水晶とつながっている母体のようなもの。
レイルはその母体に手ををかざす。
ブォン――と音が鳴る。
魔法陣のようなものが水晶から浮かび上がり、ずらりと文字の羅列が表示された。どうやら資料の題名の一覧のようだ。
「んーっと、あったあったこれだ」
資料のタイトルは『秋の大地・アートノイン 闇の魔力暴走によるコルラ平原爆発事件』
―――――
同時刻。
ゼネラル大陸・西の大地プリマヴェーラ。
山岳の集落・バルデ
黒い塗料で塗りつぶされたかのように、不自然に黒く染まる大地。
「少し、足りんか」
黒いローブに身を包んだ男は物音ひとつしない、静寂の中。虚空に言の葉を放った。
寂れた集落ではあるが人が居ない訳ではない、だが現状この集落には人の気配が一つも無かった。
それもそのはず、先程までここで生活していた数十名もの人々は全員、この男に殺され、彼らの遺体は黒く染まった大地が一つ残らず呑み込んでしまったのだから。
大地を黒く染める何かが沸騰したようにぶくぶくと泡を吹き始めると次第に膨れ上がっていき、ローブ姿の男の背丈と同じサイズの黒い卵を造り出した。
「あの幼稚な鉄のオモチャで守ったつもりでいる馬鹿共の巣を壊す程度ならコレで十分、か」
ニヤリ、と不敵に笑みを浮かべ男は黒い卵に己の魔力を流し込み始める。
「さぁ目覚めろ、醜悪なる闇の獣!! 狙うは神剣……阻止する者は迷わず殺せ、逃げまどう者も迷わず殺せ!
顕現しろ、我が怒り――!!」
流し込まれた魔力に呼応して、無人の集落に心音が響く。
漆黒の卵の中から聞こえる獣の産声。
卵の表面に皹が入っていくにつれてその声は大きくなっていく。
「Gi―――――――――aaaAAAA!!!!」
そして、山の向こうまで届いているのではないかと思えるくらいの雄叫びの後、黒い異質な雰囲気を醸す細い腕が卵の殻を突き破りこの世界に現れた。
「hllllllllllll....」
人の死を糧として、一匹の獣が誕生する。
漆黒の卵から姿を現した異形はゆっくりと男の前に立つ。
「――ん?」
「グルルルァアア!!!」
突然。
異質な化け物は叫び、異様に細長い腕を男に向かって鞭のように振るった。回避行動を取るよりも前に腕は男に直撃し右方向へ吹き飛ばされていった。
「ギャッギャッギャッギャ!!!」
頭部から伸びる管のような物体の隙間から見える赤い瞳。
切れ長な口はニタニタと不気味な笑みを浮かべている。
「チッ……」
男は山肌にクレーターが出来る程の衝撃で叩きつけられたが然程の痛みはない様子で何事も無かったかのようにローブについた砂埃を払いながら男は悪態をつく。
「急造品が……。知性の欠片も感じられん」
「ギィィィ!!!」
男の生存を確認するや否や再び化け物は彼に飛び掛かる。
「剣技・三心一閃……黙っていろド低脳が」
男が姿勢を低めて、柄に手をそえた――。
刹那。
腰にぶら下げていた長剣が一呼吸の内に鞘から抜かれ、切っ先が天を斬る。
化け物がそれを認識するよりも前に、刃は化け物の漆黒の皮膚を傷つけていた。
「ギィィギャヤアアアアア!!!」
傷は深いが痛みにもがく素振りは無く、化け物は鬼の形相で男を睨みつけ振り上げた腕で叩き潰そうとするも、
「黙って……。従え!!」
男は風に揺れる葉のように、ひらりと揺れて回避すると懐から杭のような物体を取り出して、化け物へと突き立てた。
杭が化け物の肉体に刺さる。
「ギッ―――……!」
突き立てられたと同時に突然線が切れた操り人形のようにピタリと動きを止める化け物。
男はソレから離れ、剣を鞘に収める。
「行くぞ“シュトラーフェ”、それが貴様の名だ」
化け物“シュトラーフェ”に突き刺された杭はゆっくりと体内に侵食し肉体と一体化する。そして、男の声にシュトラーフェがピクリ、と反応し先程の獰猛さが嘘かのように忠誠を誓う騎士のように男の前に跪いた。
「さァ、運命の始りだリンク・クレイオス。
そして、未だ己の力を受け入れぬ哀れな信徒レイルよ……。
今、私が迎えに行こう――」
闇が、迫る――。
「なんだろうねぇ」
「ありゃきっと一大事だな、よーしお前ら! くれぐれも面倒事には巻き込まれないようにな! 俺の仕事が増えそうだから!!」
「どちらかというと面倒事に俺らを巻き込むなよディアス?」
「それよりも早く食べなよディアスくん」
「チ、チクショーー!」
ディアスの大盛肉定食の完食を見届けたレイルはソア達と別れ資料保管庫へ。
―――――
(闇の魔力に関する資料。食堂で隊員の人達が話してた事件に似た爆発事件の内容をまとめたものだよな。確か……)
数か月前、ルフスから遠く離れた東にある秋の大地でも同じような爆発事件が起きていた。爆発の原因は謎のカルト集団“黒い月”の儀式の最中に発生した魔法反応。
その事故で近隣の村は全焼し村人は跡形もなく消し飛んだらしい。
本国直属の騎士団“ゼネラル騎士団”の調査によれば儀式をとりおこなっていた黒い月メンバーもその爆発に巻き込まれて死亡……唯一爆発現場に残っていたのは黒い月のメンバーが身に纏っていたであろう謎の模様が描かれた黒い布きれのみ。
この事件は謎に包まれたまま真相は解らず、黒い月の他のメンバーの捜索が今も続けられている。
(いったい何の儀式をしていたのやら、怖いな)
と、そんな奇妙な事件を思い出しているうちにレイルは資料保管庫にたどり着いた。
ルフス総合資料保管庫。
中央塔から東に数百メートル先、レンガ造りで苔が生えた古びた建物。鉄の壁に囲まれた機工都市ルフスにはちょっと雰囲気があわない造りなのが特徴的。
此処はルフスが今までに獲得した情報と外部から取り寄せた資料を管理する為に作られた施設。
中に入ると壁一面にずらりと本棚が並んでおり、その周囲を水色の水晶が飛び回っている。
扉からの一本道、その先を進んだ所に天井の大窓から差す日差しに照らされた大きな水晶がひとつ。この資料保管庫内の全水晶とつながっている母体のようなもの。
レイルはその母体に手ををかざす。
ブォン――と音が鳴る。
魔法陣のようなものが水晶から浮かび上がり、ずらりと文字の羅列が表示された。どうやら資料の題名の一覧のようだ。
「んーっと、あったあったこれだ」
資料のタイトルは『秋の大地・アートノイン 闇の魔力暴走によるコルラ平原爆発事件』
―――――
同時刻。
ゼネラル大陸・西の大地プリマヴェーラ。
山岳の集落・バルデ
黒い塗料で塗りつぶされたかのように、不自然に黒く染まる大地。
「少し、足りんか」
黒いローブに身を包んだ男は物音ひとつしない、静寂の中。虚空に言の葉を放った。
寂れた集落ではあるが人が居ない訳ではない、だが現状この集落には人の気配が一つも無かった。
それもそのはず、先程までここで生活していた数十名もの人々は全員、この男に殺され、彼らの遺体は黒く染まった大地が一つ残らず呑み込んでしまったのだから。
大地を黒く染める何かが沸騰したようにぶくぶくと泡を吹き始めると次第に膨れ上がっていき、ローブ姿の男の背丈と同じサイズの黒い卵を造り出した。
「あの幼稚な鉄のオモチャで守ったつもりでいる馬鹿共の巣を壊す程度ならコレで十分、か」
ニヤリ、と不敵に笑みを浮かべ男は黒い卵に己の魔力を流し込み始める。
「さぁ目覚めろ、醜悪なる闇の獣!! 狙うは神剣……阻止する者は迷わず殺せ、逃げまどう者も迷わず殺せ!
顕現しろ、我が怒り――!!」
流し込まれた魔力に呼応して、無人の集落に心音が響く。
漆黒の卵の中から聞こえる獣の産声。
卵の表面に皹が入っていくにつれてその声は大きくなっていく。
「Gi―――――――――aaaAAAA!!!!」
そして、山の向こうまで届いているのではないかと思えるくらいの雄叫びの後、黒い異質な雰囲気を醸す細い腕が卵の殻を突き破りこの世界に現れた。
「hllllllllllll....」
人の死を糧として、一匹の獣が誕生する。
漆黒の卵から姿を現した異形はゆっくりと男の前に立つ。
「――ん?」
「グルルルァアア!!!」
突然。
異質な化け物は叫び、異様に細長い腕を男に向かって鞭のように振るった。回避行動を取るよりも前に腕は男に直撃し右方向へ吹き飛ばされていった。
「ギャッギャッギャッギャ!!!」
頭部から伸びる管のような物体の隙間から見える赤い瞳。
切れ長な口はニタニタと不気味な笑みを浮かべている。
「チッ……」
男は山肌にクレーターが出来る程の衝撃で叩きつけられたが然程の痛みはない様子で何事も無かったかのようにローブについた砂埃を払いながら男は悪態をつく。
「急造品が……。知性の欠片も感じられん」
「ギィィィ!!!」
男の生存を確認するや否や再び化け物は彼に飛び掛かる。
「剣技・三心一閃……黙っていろド低脳が」
男が姿勢を低めて、柄に手をそえた――。
刹那。
腰にぶら下げていた長剣が一呼吸の内に鞘から抜かれ、切っ先が天を斬る。
化け物がそれを認識するよりも前に、刃は化け物の漆黒の皮膚を傷つけていた。
「ギィィギャヤアアアアア!!!」
傷は深いが痛みにもがく素振りは無く、化け物は鬼の形相で男を睨みつけ振り上げた腕で叩き潰そうとするも、
「黙って……。従え!!」
男は風に揺れる葉のように、ひらりと揺れて回避すると懐から杭のような物体を取り出して、化け物へと突き立てた。
杭が化け物の肉体に刺さる。
「ギッ―――……!」
突き立てられたと同時に突然線が切れた操り人形のようにピタリと動きを止める化け物。
男はソレから離れ、剣を鞘に収める。
「行くぞ“シュトラーフェ”、それが貴様の名だ」
化け物“シュトラーフェ”に突き刺された杭はゆっくりと体内に侵食し肉体と一体化する。そして、男の声にシュトラーフェがピクリ、と反応し先程の獰猛さが嘘かのように忠誠を誓う騎士のように男の前に跪いた。
「さァ、運命の始りだリンク・クレイオス。
そして、未だ己の力を受け入れぬ哀れな信徒レイルよ……。
今、私が迎えに行こう――」
闇が、迫る――。
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