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第一章 開幕の襲来
開幕の襲来
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機工都市ルフス・中央塔。
防衛部隊本部。
「何だ今のは?!」
「強力な魔力力場が発生し都市の全機工装置がやられたようです……! しかし何故急に空が暗くなったのでしょうか」
「あれは、魔法生命体だ」
「ロイ隊長っ。魔法生命体……召喚獣!? あの規模の、ルフスよりも巨大なのでは……!?」
「そんな……」
陽の光が突然消えたのは太陽が沈み夜になったのではなく、都市を覆い尽くせるほどの巨大な漆黒の召喚獣が突如として都市上空に召喚されたのだとロイは推測していた。
魔法生命体、召喚獣、使い魔。呼び方は様々あるがその根幹にあるのは人が使役できるレベルの生命の呼称である、ということ。
数千の人々が住む大きな都市を覆い尽くせるほど巨大な生命を、人レベルの叡智で使役できるとは到底思えない。故に隊員達は驚愕していた。
「上空から発せられている魔力の質、明らかに召喚獣のソレに近い、間違いなくあれは何者かの魔力によって現界した生命だ。
それよりも、魔法防御障壁の再展開はまだか、このままではあの召喚獣に都市もろとも押しつぶされるぞ……!」
今、ルフス上空を覆う防御障壁は無い。
このままでは上空に召喚された召喚獣によってルフスは壊滅、為す術無くやられてしまう。
討伐しようにもこれだけの規模、何処が弱点で何をすればダメージを与えられるのかなど見当もつかない。召喚獣は召喚主を斃せば現界を維持できずに消滅するが、ルフスに落下するまえに見つけ出して斃すなど不可能に近い。
ルフスに残されている手段は一つ、魔法防御障壁を再展開しあの漆黒の召喚獣を受け止める事。
「最終防壁ラインまで後一分!」
「今、修復班が作業を――うわっ!」
突然都市が“揺れ”。雷鳴のような音が轟く。
本部の窓から外の様子を伺うと、紫電を纏った何かが空を走り、自身の体積の倍以上はある召喚獣に突撃したかと思えばなんと、上空へ押し返した。
「召喚獣……空中で静止、いや上昇してます! なんですかあれ!?」
「バカな、どれだけのパワーがあればそんな芸当を。一体だれが……」
隊員達が驚きの声を上げる中、ロイだけは溜息をついていた。
「見当たらないと思ったら……リンク様は。またおひとりで行動なされて」
紫電を纏った何か……防衛部隊総隊長のリンク・クレイオスは漆黒の召喚獣を上空へ100メートル吹き飛ばすと、背中に背負っていた大剣を引き抜き紫電の斬撃を放ち、召喚獣の落下を食い止めて見せた。
空を漆黒と迸る雷が彩る中、リンクは空中を物凄い速度で移動して防衛部隊本部に突っ込んでいった。
「ふう」
何食わぬ顔で窓をぶち破って本部に帰還すると何事も無かったかのように指揮をとりはじめ――。
「リンク様」
「げ」
ロイがリンクを呼び止める、その声は明らかに怒りに満ちていた。
「時間稼ぎどうもありがとうございます。しかし……今の入室方法は少々野蛮なのでは?」
「あは、あはは! いやーわざわざ一階から上がってくるのまどろっこしいじゃん……? 時は一刻も争う! って言うじゃねぇかよぉ」
「はぁ……、後進の教育に悪いので部下の前では控えていただくようお願い致します」
「か、畏まりまし――」
雷鳴の次は大きな爆発音が発生、都市の南西と北東の鉄の壁付近から煙があがっているのが確認できた。
「今度はなんだ?!」
「この魔力……」
リンクとロイは爆発の方向からまるで自分に注意を向ける様に放たれている魔力を感知して眉をしかめる。
「壁をぶち破って、何者かがルフスに侵入した」
「相当な手練れだなコリャ」
「な――……リンク様、ロイ隊長」
「何だ」
「正門付近の魔力感知機工が復旧、報告によれば凡そ千体もの魔物が現在ルフスにむかって進攻中とのことです……」
「次から次へと……」
リンクは耳元に手を当てて、耳に取り付けられた小型の結晶機工装置を起動させ遠隔会話魔法を発動させた。
「全防衛部隊隊員に強制接続。これから状況及び作戦の概要を説明する、一度しか言わねぇから耳ン穴かっぽじってよーく聞いとけよお前ら……!」
現在――。
機工都市ルフスは四方向からの襲撃を受けている。
一つは上空に突如として現れた巨大な漆黒の召喚獣。現在はリンクが放った紫電の斬撃によって空中で食い止められているが再び降下してくるのも時間の問題。
それまでに魔法防御障壁の展開は間に合うとのこと。
正門には千体もの魔物が進行中。機工迎撃装置が何体か再起動し迎撃を開始しているものの都市内への侵入は避けられない。
次に南西、北東の鉄の壁が破壊され何者かが侵入。
餌をばら撒くように魔力を放出し続け、防衛部隊の気を引こうとしている。
「状況説明は以上、次に作戦を説明する」
こうしてリンクは第五まである防衛部隊班に指示を下した。
正門に接近中の魔物は第三、第四、第五部隊と魔法研究所の後方支援部隊が対処。
南西の侵入者は総隊長のリンクが、北東の侵入者は第二部隊が対処に当たる。
残る第一部隊は上空の召喚獣が魔法防御障壁の破壊に集中させないように、注意を引き付ける――。
「……注意を引く、ですか」
窓から見える、空を覆う巨大な物体に視線を向けるロイ。
これ程巨大な相手に対してどう戦えばいいのか、少し困惑しているとリンクは強く、ロイの肩を叩いた。
「なぁに、ちょっとつついて怒らせて逃げてくれればそれで良いさ。
さぁて……それじゃあ作戦開始だ!!」
「え、あ。ちょっとリンク様! ……まったく、相変わらず適当だなあのお方は」
溜息をつき、右手で口元をなぞる。
気まずそうにしながら隊員がロイに声を掛けた。
「どうなされますか?」
「リンク様の命令通り、通常陣形だ。我々第一部隊は上空へ向かう、浮遊魔法の用意を急げ」
「はっ!」
「先遣していた第五部隊、所定の位置に到着。
魔物の軍勢の一部が機工迎撃を掻い潜り正門付近に接近。正門への物理干渉を開始しました!!」
「来たか……」
防衛部隊本部。
「何だ今のは?!」
「強力な魔力力場が発生し都市の全機工装置がやられたようです……! しかし何故急に空が暗くなったのでしょうか」
「あれは、魔法生命体だ」
「ロイ隊長っ。魔法生命体……召喚獣!? あの規模の、ルフスよりも巨大なのでは……!?」
「そんな……」
陽の光が突然消えたのは太陽が沈み夜になったのではなく、都市を覆い尽くせるほどの巨大な漆黒の召喚獣が突如として都市上空に召喚されたのだとロイは推測していた。
魔法生命体、召喚獣、使い魔。呼び方は様々あるがその根幹にあるのは人が使役できるレベルの生命の呼称である、ということ。
数千の人々が住む大きな都市を覆い尽くせるほど巨大な生命を、人レベルの叡智で使役できるとは到底思えない。故に隊員達は驚愕していた。
「上空から発せられている魔力の質、明らかに召喚獣のソレに近い、間違いなくあれは何者かの魔力によって現界した生命だ。
それよりも、魔法防御障壁の再展開はまだか、このままではあの召喚獣に都市もろとも押しつぶされるぞ……!」
今、ルフス上空を覆う防御障壁は無い。
このままでは上空に召喚された召喚獣によってルフスは壊滅、為す術無くやられてしまう。
討伐しようにもこれだけの規模、何処が弱点で何をすればダメージを与えられるのかなど見当もつかない。召喚獣は召喚主を斃せば現界を維持できずに消滅するが、ルフスに落下するまえに見つけ出して斃すなど不可能に近い。
ルフスに残されている手段は一つ、魔法防御障壁を再展開しあの漆黒の召喚獣を受け止める事。
「最終防壁ラインまで後一分!」
「今、修復班が作業を――うわっ!」
突然都市が“揺れ”。雷鳴のような音が轟く。
本部の窓から外の様子を伺うと、紫電を纏った何かが空を走り、自身の体積の倍以上はある召喚獣に突撃したかと思えばなんと、上空へ押し返した。
「召喚獣……空中で静止、いや上昇してます! なんですかあれ!?」
「バカな、どれだけのパワーがあればそんな芸当を。一体だれが……」
隊員達が驚きの声を上げる中、ロイだけは溜息をついていた。
「見当たらないと思ったら……リンク様は。またおひとりで行動なされて」
紫電を纏った何か……防衛部隊総隊長のリンク・クレイオスは漆黒の召喚獣を上空へ100メートル吹き飛ばすと、背中に背負っていた大剣を引き抜き紫電の斬撃を放ち、召喚獣の落下を食い止めて見せた。
空を漆黒と迸る雷が彩る中、リンクは空中を物凄い速度で移動して防衛部隊本部に突っ込んでいった。
「ふう」
何食わぬ顔で窓をぶち破って本部に帰還すると何事も無かったかのように指揮をとりはじめ――。
「リンク様」
「げ」
ロイがリンクを呼び止める、その声は明らかに怒りに満ちていた。
「時間稼ぎどうもありがとうございます。しかし……今の入室方法は少々野蛮なのでは?」
「あは、あはは! いやーわざわざ一階から上がってくるのまどろっこしいじゃん……? 時は一刻も争う! って言うじゃねぇかよぉ」
「はぁ……、後進の教育に悪いので部下の前では控えていただくようお願い致します」
「か、畏まりまし――」
雷鳴の次は大きな爆発音が発生、都市の南西と北東の鉄の壁付近から煙があがっているのが確認できた。
「今度はなんだ?!」
「この魔力……」
リンクとロイは爆発の方向からまるで自分に注意を向ける様に放たれている魔力を感知して眉をしかめる。
「壁をぶち破って、何者かがルフスに侵入した」
「相当な手練れだなコリャ」
「な――……リンク様、ロイ隊長」
「何だ」
「正門付近の魔力感知機工が復旧、報告によれば凡そ千体もの魔物が現在ルフスにむかって進攻中とのことです……」
「次から次へと……」
リンクは耳元に手を当てて、耳に取り付けられた小型の結晶機工装置を起動させ遠隔会話魔法を発動させた。
「全防衛部隊隊員に強制接続。これから状況及び作戦の概要を説明する、一度しか言わねぇから耳ン穴かっぽじってよーく聞いとけよお前ら……!」
現在――。
機工都市ルフスは四方向からの襲撃を受けている。
一つは上空に突如として現れた巨大な漆黒の召喚獣。現在はリンクが放った紫電の斬撃によって空中で食い止められているが再び降下してくるのも時間の問題。
それまでに魔法防御障壁の展開は間に合うとのこと。
正門には千体もの魔物が進行中。機工迎撃装置が何体か再起動し迎撃を開始しているものの都市内への侵入は避けられない。
次に南西、北東の鉄の壁が破壊され何者かが侵入。
餌をばら撒くように魔力を放出し続け、防衛部隊の気を引こうとしている。
「状況説明は以上、次に作戦を説明する」
こうしてリンクは第五まである防衛部隊班に指示を下した。
正門に接近中の魔物は第三、第四、第五部隊と魔法研究所の後方支援部隊が対処。
南西の侵入者は総隊長のリンクが、北東の侵入者は第二部隊が対処に当たる。
残る第一部隊は上空の召喚獣が魔法防御障壁の破壊に集中させないように、注意を引き付ける――。
「……注意を引く、ですか」
窓から見える、空を覆う巨大な物体に視線を向けるロイ。
これ程巨大な相手に対してどう戦えばいいのか、少し困惑しているとリンクは強く、ロイの肩を叩いた。
「なぁに、ちょっとつついて怒らせて逃げてくれればそれで良いさ。
さぁて……それじゃあ作戦開始だ!!」
「え、あ。ちょっとリンク様! ……まったく、相変わらず適当だなあのお方は」
溜息をつき、右手で口元をなぞる。
気まずそうにしながら隊員がロイに声を掛けた。
「どうなされますか?」
「リンク様の命令通り、通常陣形だ。我々第一部隊は上空へ向かう、浮遊魔法の用意を急げ」
「はっ!」
「先遣していた第五部隊、所定の位置に到着。
魔物の軍勢の一部が機工迎撃を掻い潜り正門付近に接近。正門への物理干渉を開始しました!!」
「来たか……」
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