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第一章
40.戦は戦略が大切なんだよ
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ラミアは蛇女だ。女性ばかりの種族だが、他種族の男を待ち伏せて、頭の先から足の先までねっとりと愛する。音を消し忍び寄る特技が今回の作戦で役に立った。誰かに気づかれずに忍び寄る能力は高く、上半身が人間と同じで両手が器用に使えるのだ。そこに魔法が得意なエルフを組み合わせた。
2人一組で行動させ、何かあれば転移魔法で逃げるよう指示する。一度に大量の物資を運ぶため、森の際にオレと双子が潜んで待った。人海戦術ができればいいのだが、魔族の個体数が減っている。魔王崩御の影響は大きく、追い回され狩られた魔族に余力はなかった。
負担は大きくなるが、ラミアとエルフの精鋭に任せるしかない。じりじりしながら待つオレの前に、ぽんと麻袋が現れた。あっという間に積み重なっていく。それをオレが森の奥へ転送した。
送る先は巨人族が潜む大木の陰だ。夜通し転送作業を続け、最後にラミアとエルフは自身を転移させた。額に汗を浮かべたエルフに、冷たい水を差し出す。隣のラミアも勝手に水に口をつけた。上半身裸の本来の姿に戻るラミアは、眉を顰めた。
「服なんてよく着ていられるわね」
「慣れると快適だぞ。冬とか寒くないのか?」
「そのために巣ごもりするんじゃない」
ラミアが冬眠ありの種族なのだと知り、正直驚いた。そういえば、魔王城の裏手に住んでるのに、冬は見かけなかった。寒いからだと思い込んでいたが、冬眠していたのか。
「何はともあれ、お疲れさん。夜までしっかり休んでくれ」
「すべての村でやるの?」
エルフが疲れたとぼやきながら寝転がる。薄緑の髪がさらりと流れた。あまり美人ではないが、尖った耳には特徴がある。たくさんのピアスが飾られており、何か記念やお祝いがあるたびに増えると聞いた。そういやエルフの代表で来る婆様は、耳が垂れるほど飾りが付いてたっけ。
「全部の村じゃなく、選んでるよ」
進軍ルートに該当する部分だけだ。真っ直ぐに王都へ向けて進路を取る。その途中にあって焼き払う予定の村が対象だった。それ以外の村は、国を落としてからでも間に合う。派手に焼き払う村は回収しながらだと間に合わないから、早めに回収するのだ。
「おやすみ」
うとうとする2人の上に毛布を掛けた。
「サクヤも寝てていいよ」
「見張りは交代でするから」
森の獣の王フェンリルの言葉に、欠伸をひとつ。有り難く休ませてもらうことにした。ごろんと寝転んだオレの横に、柔らかい毛皮が寄り添う。先に寝るのはカインだった。アベルは夜明け前に仮眠を取ったから問題ない。ぼんやりと確認しながら、目を閉じた。
少数精鋭といえば聞こえはいいが、ぎりぎりの戦いだ。誰も欠けずに勝つのが大前提だった。目を閉じて眠りたいのに、冴えた意識がいつまでも覚醒したままで……オレは夢の中でも作戦を組み立て、戦っていた気がする。
隣の温かな毛皮が動き、代わりに少し冷えた別の温もりが寄り添う。アベルとカインが交代したようだ。半分起きた意識が判断し、ゆっくりと目を開けた。明るい日差しに手を翳し、目を守りながら身を起こす。
「起きた。これ……飲む?」
差し出されたカップを受け取り、温かなスープのようなどろりとした液体を飲んだ。ぼんやりしながら「うまい」と呟くと、声の主は嬉しそうに笑う。完全に覚醒しないまま横になり、アベルの毛皮に顔を埋めた。双子なのに匂いが違うんだよな。どうでも良いことを考えながら、浅い眠りの淵から深い闇に意識を沈めることに成功した。
2人一組で行動させ、何かあれば転移魔法で逃げるよう指示する。一度に大量の物資を運ぶため、森の際にオレと双子が潜んで待った。人海戦術ができればいいのだが、魔族の個体数が減っている。魔王崩御の影響は大きく、追い回され狩られた魔族に余力はなかった。
負担は大きくなるが、ラミアとエルフの精鋭に任せるしかない。じりじりしながら待つオレの前に、ぽんと麻袋が現れた。あっという間に積み重なっていく。それをオレが森の奥へ転送した。
送る先は巨人族が潜む大木の陰だ。夜通し転送作業を続け、最後にラミアとエルフは自身を転移させた。額に汗を浮かべたエルフに、冷たい水を差し出す。隣のラミアも勝手に水に口をつけた。上半身裸の本来の姿に戻るラミアは、眉を顰めた。
「服なんてよく着ていられるわね」
「慣れると快適だぞ。冬とか寒くないのか?」
「そのために巣ごもりするんじゃない」
ラミアが冬眠ありの種族なのだと知り、正直驚いた。そういえば、魔王城の裏手に住んでるのに、冬は見かけなかった。寒いからだと思い込んでいたが、冬眠していたのか。
「何はともあれ、お疲れさん。夜までしっかり休んでくれ」
「すべての村でやるの?」
エルフが疲れたとぼやきながら寝転がる。薄緑の髪がさらりと流れた。あまり美人ではないが、尖った耳には特徴がある。たくさんのピアスが飾られており、何か記念やお祝いがあるたびに増えると聞いた。そういやエルフの代表で来る婆様は、耳が垂れるほど飾りが付いてたっけ。
「全部の村じゃなく、選んでるよ」
進軍ルートに該当する部分だけだ。真っ直ぐに王都へ向けて進路を取る。その途中にあって焼き払う予定の村が対象だった。それ以外の村は、国を落としてからでも間に合う。派手に焼き払う村は回収しながらだと間に合わないから、早めに回収するのだ。
「おやすみ」
うとうとする2人の上に毛布を掛けた。
「サクヤも寝てていいよ」
「見張りは交代でするから」
森の獣の王フェンリルの言葉に、欠伸をひとつ。有り難く休ませてもらうことにした。ごろんと寝転んだオレの横に、柔らかい毛皮が寄り添う。先に寝るのはカインだった。アベルは夜明け前に仮眠を取ったから問題ない。ぼんやりと確認しながら、目を閉じた。
少数精鋭といえば聞こえはいいが、ぎりぎりの戦いだ。誰も欠けずに勝つのが大前提だった。目を閉じて眠りたいのに、冴えた意識がいつまでも覚醒したままで……オレは夢の中でも作戦を組み立て、戦っていた気がする。
隣の温かな毛皮が動き、代わりに少し冷えた別の温もりが寄り添う。アベルとカインが交代したようだ。半分起きた意識が判断し、ゆっくりと目を開けた。明るい日差しに手を翳し、目を守りながら身を起こす。
「起きた。これ……飲む?」
差し出されたカップを受け取り、温かなスープのようなどろりとした液体を飲んだ。ぼんやりしながら「うまい」と呟くと、声の主は嬉しそうに笑う。完全に覚醒しないまま横になり、アベルの毛皮に顔を埋めた。双子なのに匂いが違うんだよな。どうでも良いことを考えながら、浅い眠りの淵から深い闇に意識を沈めることに成功した。
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