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89.パパと同じツノが欲しいの
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お風呂でパパとお馬さんの話をする。今日乗せてくれたのは、アモンのお馬さんでリック。パパやアガレスもお馬さんがいるんだよ。今度会いに行きたいな。
「俺の馬はツノがあるから危ないぞ」
「パパとお揃いだね。僕もツノがあればいいのに」
パパは変な顔をする。ツノが欲しいのは、悪いことなのかな。僕もパパと同じようにツノがあれば、お揃いだと思ったんだけど。
「カリスが大きくなって選べばいいさ」
選んだらツノが生えてくるの? じゃあ、同じ形のツノがいいな。細くてくねってて、銀色の!
「カリスの髪は銀だから、銀のツノは見えなくなるぞ」
「そっか。パパと同じ黒髪になるのは、どうしたらいいの?」
ツノはパパと同じがいい。髪も同じにしたら、もっと親子みたいだよ。にこにこしながらパパを振り返った。方法があれば教えて欲しいんだ。後ろから抱っこして、湯船に座るパパが笑い出した。
「同じがいいか! 大人になるまでに色んなツノや髪を見るぞ。それでも俺と同じでいいのか?」
もっと気に入るツノや髪色があるんじゃないか? 意地悪なことを言うパパに、僕は考えた。きらきら光ってカッコいいツノがあったとして、僕はどっちを選ぶかな。パパのよりカッコいいツノなんてあるの?
「あのね、僕はちゃんと言えないんだけど。パパのだから同じがいいの」
他の人がどんなにカッコいいツノでも、僕はパパと同じじゃないと嫌だ。馬に乗ってた時みたいに、後ろから抱っこするパパの腕が僕のお腹に回った。どうしたんだろう、動かなくなっちゃった。
ぱちゃんとお湯をかき回す。今日は青いお湯だった。底まで見える透き通ったお湯も好きだけど、濁ったお湯も好き。後ですべすべするから。今日のお湯は出た後、どんな感じになるんだろう。
「カリス、そろそろ上がるか」
パパがようやく動いた。僕を抱っこしたまま立ち上がり、湯船の外に立たせてもらう。滑るから、お風呂の中ではパパと手を繋ぐ約束だった。右手を繋いで歩き、大きなタオルで包まれる。青いお湯はぽかぽかするね。
「食事の用意が出来てますよ」
「先にカリスを送るから、服を着せてやってくれ」
アガレスの声がして、パパが返事をする。僕はタオルを巻いて、部屋に送り出された。頼んでお馬さんの服にしてもらう。人参を抱っこして、お風呂の方を見つめた。
「先に座りましょう」
「やだ」
僕はずっとパパが出てくるまで、ここから動かない。見つめる先で、ようやく扉が開いてパパが出てきた。寝る時の服に着替えてて、お仕事用の姿じゃない。よかった。パパは疲れてるんだと思う。今日は絵本も我慢して、早く寝なくちゃ。
「食事なのにここにいたのか?」
「パパと一緒じゃないと食べない」
「それは困った子だ」
嫌われたかと心配になったけど、パパは笑ってる。アガレスも優しい顔をしていた。僕は我が侭になったの、たぶん。いっぱい優しくされて、もっと欲しいんだもん。
パパとアガレス、二人と手を繋いで移動した。お肉にたっぷりソースが掛かったお皿の前で、僕は肉の骨を掴む。両手で掴んで齧った。パンも野菜も、いっぱい食べる。早く大きくなって、ツノをもらうんだから!
「俺の馬はツノがあるから危ないぞ」
「パパとお揃いだね。僕もツノがあればいいのに」
パパは変な顔をする。ツノが欲しいのは、悪いことなのかな。僕もパパと同じようにツノがあれば、お揃いだと思ったんだけど。
「カリスが大きくなって選べばいいさ」
選んだらツノが生えてくるの? じゃあ、同じ形のツノがいいな。細くてくねってて、銀色の!
「カリスの髪は銀だから、銀のツノは見えなくなるぞ」
「そっか。パパと同じ黒髪になるのは、どうしたらいいの?」
ツノはパパと同じがいい。髪も同じにしたら、もっと親子みたいだよ。にこにこしながらパパを振り返った。方法があれば教えて欲しいんだ。後ろから抱っこして、湯船に座るパパが笑い出した。
「同じがいいか! 大人になるまでに色んなツノや髪を見るぞ。それでも俺と同じでいいのか?」
もっと気に入るツノや髪色があるんじゃないか? 意地悪なことを言うパパに、僕は考えた。きらきら光ってカッコいいツノがあったとして、僕はどっちを選ぶかな。パパのよりカッコいいツノなんてあるの?
「あのね、僕はちゃんと言えないんだけど。パパのだから同じがいいの」
他の人がどんなにカッコいいツノでも、僕はパパと同じじゃないと嫌だ。馬に乗ってた時みたいに、後ろから抱っこするパパの腕が僕のお腹に回った。どうしたんだろう、動かなくなっちゃった。
ぱちゃんとお湯をかき回す。今日は青いお湯だった。底まで見える透き通ったお湯も好きだけど、濁ったお湯も好き。後ですべすべするから。今日のお湯は出た後、どんな感じになるんだろう。
「カリス、そろそろ上がるか」
パパがようやく動いた。僕を抱っこしたまま立ち上がり、湯船の外に立たせてもらう。滑るから、お風呂の中ではパパと手を繋ぐ約束だった。右手を繋いで歩き、大きなタオルで包まれる。青いお湯はぽかぽかするね。
「食事の用意が出来てますよ」
「先にカリスを送るから、服を着せてやってくれ」
アガレスの声がして、パパが返事をする。僕はタオルを巻いて、部屋に送り出された。頼んでお馬さんの服にしてもらう。人参を抱っこして、お風呂の方を見つめた。
「先に座りましょう」
「やだ」
僕はずっとパパが出てくるまで、ここから動かない。見つめる先で、ようやく扉が開いてパパが出てきた。寝る時の服に着替えてて、お仕事用の姿じゃない。よかった。パパは疲れてるんだと思う。今日は絵本も我慢して、早く寝なくちゃ。
「食事なのにここにいたのか?」
「パパと一緒じゃないと食べない」
「それは困った子だ」
嫌われたかと心配になったけど、パパは笑ってる。アガレスも優しい顔をしていた。僕は我が侭になったの、たぶん。いっぱい優しくされて、もっと欲しいんだもん。
パパとアガレス、二人と手を繋いで移動した。お肉にたっぷりソースが掛かったお皿の前で、僕は肉の骨を掴む。両手で掴んで齧った。パンも野菜も、いっぱい食べる。早く大きくなって、ツノをもらうんだから!
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※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
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