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162.カリスに見える世界は優しいか
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ケガした騎士の人は6人だった。パパと一緒に全員を回って、傷に効く薬草を渡す。皆、すぐに治るって言ってくれた。薬草だけじゃなくて、元気になれるよう果物も渡す。
「これ、甘くて美味しいの」
「ありがとうございます。すぐに治しますよ」
嬉しそうに受け取ってくれた。早く治してね。ケガした人の手を撫でて、僕はお部屋に帰った。騎士の人はケガしてるのに、手を振って見送ってくれる。僕もいっぱい手を振ったよ。
ベロはいつの間にか小さくなってた。ご飯を食べたら、ミカエル達のいる地下のお部屋に行くの。もう戦いが終わったから帰るんだって。次に遊びに来るときは、上のお部屋に泊まったらいいと思う。
「それは違うぞ。あいつらは客じゃないからな」
パパのお話は難しかったので、頷かなかった。分からない時はそれでいい、とプルソンが教えてくれたから。分からないままにしないで、聞いてもいいの。だからパパに「どうして?」と首を傾げた。
「天使と悪魔は敵同士だ」
「仲良くしないの?」
「出来ないんだ」
変なの。僕とミカエルは一緒に遊んだし、ウリエルやガブリエルも仲良しだよ。天使だからダメなのかな。ミカエル達も悪魔になっちゃえばいいのに。
「くくっ、面白いことを考える。カリスに見える世界は優しいか?」
「皆、僕に優しいよ」
攻めてきたラファエルって天使も、僕を傷つけたり痛いことはしなかった。きっと天使も悪魔も仲良くなれるよ。にこにこしながら見上げたパパは、眉尻を下げて困った顔をした後、大笑いした。僕を抱っこしたまま笑うから、すごく揺れる。なんだか楽しい。
ご飯はセーレが用意してくれたパンとスープ。全員同じのを食べると聞いた。アガレスとマルバスは書類処理があるし、プルソンも手伝うの。セーレ達は逃げてた洞窟から、戻ってすぐに料理を作ったんだよ。凄いね。温めるだけでごめんねと言われたけど、美味しい。
温かいご飯はほっとするんだって。ミカエル達にも持って行きたいな。
「あいつらはすぐ帰るから、ここでは食べないんだ」
「僕がパパと食べるみたいに、お家で家族と食べるの?」
「そうだな」
ミカエルとウリエルに挨拶に行くため、しっかりご飯を食べた。果物の赤い林檎を持って地下へ向かう。パパとベロと僕、忙しいのにアガレスも来てくれた。
階段は危険だからパパの抱っこ。ベロが吠えて大きくなったけど、背中に乗るのは危ないからダメみたい。ベロはしょんぼりして小さくなっちゃった。アガレスが僕の腕に抱き上げたベロを撫でて、地下へと降りる。
「ベロ、また今度ね」
大きくなると、ベロは3頭になるの。でも体と尻尾が1つ。数え方をプルソンに聞いてみよう。わんっ、張り切って返事をするベロは尻尾を振った。
地下は暗いけど、アガレスが魔法で灯りをつけた。鉄格子がついた部屋の中で、ミカエルとウリエルがお座りしてる。手前で降りて駆け寄った。鉄格子の隙間から、林檎を渡す。
「戦い、終わったの」
「ああ、知ってる。さすがだ。林檎は遠慮なく貰うよ」
「君に敵う天使も悪魔もいないな」
ミカエル達が笑って僕を撫でる。帰る準備をして、手を振って消えちゃった。鉄格子があっても、自分で出たり入ったり出来るんだね。僕にも出来るようになれば便利かも。
「あっ」
「どうした?」
「また遊んでって言うの忘れたよ、パパ」
「心配するな、また来るさ」
パパがそう言ってくれたので安心した。すると今度はアガレスが声を上げる。
「あっ!」
「お前はなんだ?」
「……彼らが来たら知らせてください。牢の壁を直させなくては」
本当だ! ミカエルとウリエルが仲良くするために消した壁、そのままになってる。今度来たら、僕も言っておくね。
「これ、甘くて美味しいの」
「ありがとうございます。すぐに治しますよ」
嬉しそうに受け取ってくれた。早く治してね。ケガした人の手を撫でて、僕はお部屋に帰った。騎士の人はケガしてるのに、手を振って見送ってくれる。僕もいっぱい手を振ったよ。
ベロはいつの間にか小さくなってた。ご飯を食べたら、ミカエル達のいる地下のお部屋に行くの。もう戦いが終わったから帰るんだって。次に遊びに来るときは、上のお部屋に泊まったらいいと思う。
「それは違うぞ。あいつらは客じゃないからな」
パパのお話は難しかったので、頷かなかった。分からない時はそれでいい、とプルソンが教えてくれたから。分からないままにしないで、聞いてもいいの。だからパパに「どうして?」と首を傾げた。
「天使と悪魔は敵同士だ」
「仲良くしないの?」
「出来ないんだ」
変なの。僕とミカエルは一緒に遊んだし、ウリエルやガブリエルも仲良しだよ。天使だからダメなのかな。ミカエル達も悪魔になっちゃえばいいのに。
「くくっ、面白いことを考える。カリスに見える世界は優しいか?」
「皆、僕に優しいよ」
攻めてきたラファエルって天使も、僕を傷つけたり痛いことはしなかった。きっと天使も悪魔も仲良くなれるよ。にこにこしながら見上げたパパは、眉尻を下げて困った顔をした後、大笑いした。僕を抱っこしたまま笑うから、すごく揺れる。なんだか楽しい。
ご飯はセーレが用意してくれたパンとスープ。全員同じのを食べると聞いた。アガレスとマルバスは書類処理があるし、プルソンも手伝うの。セーレ達は逃げてた洞窟から、戻ってすぐに料理を作ったんだよ。凄いね。温めるだけでごめんねと言われたけど、美味しい。
温かいご飯はほっとするんだって。ミカエル達にも持って行きたいな。
「あいつらはすぐ帰るから、ここでは食べないんだ」
「僕がパパと食べるみたいに、お家で家族と食べるの?」
「そうだな」
ミカエルとウリエルに挨拶に行くため、しっかりご飯を食べた。果物の赤い林檎を持って地下へ向かう。パパとベロと僕、忙しいのにアガレスも来てくれた。
階段は危険だからパパの抱っこ。ベロが吠えて大きくなったけど、背中に乗るのは危ないからダメみたい。ベロはしょんぼりして小さくなっちゃった。アガレスが僕の腕に抱き上げたベロを撫でて、地下へと降りる。
「ベロ、また今度ね」
大きくなると、ベロは3頭になるの。でも体と尻尾が1つ。数え方をプルソンに聞いてみよう。わんっ、張り切って返事をするベロは尻尾を振った。
地下は暗いけど、アガレスが魔法で灯りをつけた。鉄格子がついた部屋の中で、ミカエルとウリエルがお座りしてる。手前で降りて駆け寄った。鉄格子の隙間から、林檎を渡す。
「戦い、終わったの」
「ああ、知ってる。さすがだ。林檎は遠慮なく貰うよ」
「君に敵う天使も悪魔もいないな」
ミカエル達が笑って僕を撫でる。帰る準備をして、手を振って消えちゃった。鉄格子があっても、自分で出たり入ったり出来るんだね。僕にも出来るようになれば便利かも。
「あっ」
「どうした?」
「また遊んでって言うの忘れたよ、パパ」
「心配するな、また来るさ」
パパがそう言ってくれたので安心した。すると今度はアガレスが声を上げる。
「あっ!」
「お前はなんだ?」
「……彼らが来たら知らせてください。牢の壁を直させなくては」
本当だ! ミカエルとウリエルが仲良くするために消した壁、そのままになってる。今度来たら、僕も言っておくね。
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