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137.ばらばらになっちゃった
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ご飯を食べ終えて、僕とガイアは手を繋いだ。ガイアはゲリュオンと、僕はセティと繋ぐの。こうしたら全員が並ぶんだよ。前に子供が真ん中で、両側にお父さんとお母さんがいる絵を見たんだ。あれに似てるよね、仲良しの証拠だと笑ったらセティも微笑み返してくれた。
手を少し振りながら歩いていると、トムがごそごそと動く。ぴょこっと顔が出た。広い大通りの左側にある細い路地を見つめたと思ったら、飛び出してしまう。両手を繋いでたから間に合わなくて。解いた手で布袋を押さえたときには、もうトムは路地に消えていくところだった。
「ど、どうしよう」
駆け出そうとした僕に、ゲリュオンが肩を竦めた。
「安心しろ、俺が見つけてやるから」
ガイアと繋いでいた手を離して路地に向かう。猫は小さな動物を見ると追いかけたくなる生き物だって、ガイアが教えてくれた。話を聞きながらも心配で、何度も振り返ってしまう。どうしよう、僕がお母さんなのに……トムをちゃんと見てなかったから。
ずずっと鼻を啜り、唇を噛む。目から涙が落ちそうになって、乱暴に肩の部分で拭った。
「ほら、目が痛くなるぞ」
セティが手を解いてハンカチを渡す。受け取って涙を拭いた。ガイアが頭を撫でる手が優しくて、また涙が出ちゃった。トム、怖い思いしてないかな。ゲリュオンが分かる? 早く帰ってきて。屋台がある広場の端で、ベンチに腰掛けた。
コロンと後ろに転がって、何が起きたか分からない。回転する視界の中で、伸ばされた手を取った。ぎゅっと握りながら、僕は思う。あ……これ、セティの手じゃない。
「起きて、イシス」
ぽんと頬を叩くように揺らされて、僕はゆっくり目を開けた。見える景色がぐるぐるして気持ち悪い。吐きそう。ご飯食べたばっかりで、こんなに揺れたら我慢できない。苦しくて涙目になった僕に、ガイアの声が聞こえた。
「私達をどうするんですか!?」
誰かいるの? 知らない人がいるみたい。ガイアが怒ってる。今は女の子なんだから、僕が守らなくちゃ。でも気持ち悪い、怖い。セティ! お父さん! 怖い!!
「うっせぇ。大人しくしてろ」
つき飛ばされたガイアを僕は受け止めた。やっと目を開けてもぐらぐらしない。ぎゅっと抱き着くガイアは、震えてなかった。きっと強いからガイアは怖くないんだね、凄いな。顔を上げると、ゲリュオンみたいな体格の人が何人もいた。顔に傷があったり、腕が傷だらけの人ばっかり。
「どっちも高く売れそうだ。傷つけるなよ」
「わかってるよ」
げらげら笑いながら、彼らが出ていくとガイアが座り直した。暗い部屋は石の冷たい床だった。前にいた神殿みたいで嫌だな。
「ベンチに座ったの覚えてる?」
「うん」
ガイアは丁寧に説明してくれた。あの椅子に魔法陣が仕掛けられていたこと。咄嗟で解除が間に合わず、一緒に手を握って転送されたこと。人攫いの集団に捕まったけど、セティが向かってるみたい。すぐに飛んでこないのかと聞いたら、ここはややこしい場所なんだって。
セティ達神様には制約がある。そのひとつが大陸をまたいでの移動が難しいこと、僕はよくわからないけど違う大陸なの? じゃあ、違う神様の土地だねって言ったら「ちゃんと理解してる」と褒められる。違う神様がいるから、勝手に飛んでくると迷惑になっちゃうんだと思う。
セティが心配してるだろうな……しょんぼりした僕は、心の中でたくさん名前を呼んでいた。
手を少し振りながら歩いていると、トムがごそごそと動く。ぴょこっと顔が出た。広い大通りの左側にある細い路地を見つめたと思ったら、飛び出してしまう。両手を繋いでたから間に合わなくて。解いた手で布袋を押さえたときには、もうトムは路地に消えていくところだった。
「ど、どうしよう」
駆け出そうとした僕に、ゲリュオンが肩を竦めた。
「安心しろ、俺が見つけてやるから」
ガイアと繋いでいた手を離して路地に向かう。猫は小さな動物を見ると追いかけたくなる生き物だって、ガイアが教えてくれた。話を聞きながらも心配で、何度も振り返ってしまう。どうしよう、僕がお母さんなのに……トムをちゃんと見てなかったから。
ずずっと鼻を啜り、唇を噛む。目から涙が落ちそうになって、乱暴に肩の部分で拭った。
「ほら、目が痛くなるぞ」
セティが手を解いてハンカチを渡す。受け取って涙を拭いた。ガイアが頭を撫でる手が優しくて、また涙が出ちゃった。トム、怖い思いしてないかな。ゲリュオンが分かる? 早く帰ってきて。屋台がある広場の端で、ベンチに腰掛けた。
コロンと後ろに転がって、何が起きたか分からない。回転する視界の中で、伸ばされた手を取った。ぎゅっと握りながら、僕は思う。あ……これ、セティの手じゃない。
「起きて、イシス」
ぽんと頬を叩くように揺らされて、僕はゆっくり目を開けた。見える景色がぐるぐるして気持ち悪い。吐きそう。ご飯食べたばっかりで、こんなに揺れたら我慢できない。苦しくて涙目になった僕に、ガイアの声が聞こえた。
「私達をどうするんですか!?」
誰かいるの? 知らない人がいるみたい。ガイアが怒ってる。今は女の子なんだから、僕が守らなくちゃ。でも気持ち悪い、怖い。セティ! お父さん! 怖い!!
「うっせぇ。大人しくしてろ」
つき飛ばされたガイアを僕は受け止めた。やっと目を開けてもぐらぐらしない。ぎゅっと抱き着くガイアは、震えてなかった。きっと強いからガイアは怖くないんだね、凄いな。顔を上げると、ゲリュオンみたいな体格の人が何人もいた。顔に傷があったり、腕が傷だらけの人ばっかり。
「どっちも高く売れそうだ。傷つけるなよ」
「わかってるよ」
げらげら笑いながら、彼らが出ていくとガイアが座り直した。暗い部屋は石の冷たい床だった。前にいた神殿みたいで嫌だな。
「ベンチに座ったの覚えてる?」
「うん」
ガイアは丁寧に説明してくれた。あの椅子に魔法陣が仕掛けられていたこと。咄嗟で解除が間に合わず、一緒に手を握って転送されたこと。人攫いの集団に捕まったけど、セティが向かってるみたい。すぐに飛んでこないのかと聞いたら、ここはややこしい場所なんだって。
セティ達神様には制約がある。そのひとつが大陸をまたいでの移動が難しいこと、僕はよくわからないけど違う大陸なの? じゃあ、違う神様の土地だねって言ったら「ちゃんと理解してる」と褒められる。違う神様がいるから、勝手に飛んでくると迷惑になっちゃうんだと思う。
セティが心配してるだろうな……しょんぼりした僕は、心の中でたくさん名前を呼んでいた。
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