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14.想像よりエグい復讐されていた
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ママはその後も説明を続けた。全員の朝食が終わり、お茶が出て冷める頃、ようやく一段落する。
結論として、爆発で吹き飛ばされた私の魂は、聖女リリアンの胎児に宿った。納得できないママは、爆発で死んだ王族の魂を代償に、魂の固定を妨げたらしい。この辺の技術は、お祖父様の許可がないと話せないのだとか。王族に伝わる秘術かしら。
人には魔力の色や質がある。それは生まれ変わっても変化しない本質と呼ばれ、ママは私がリリアンの中に宿ったことを確信した。だからリリアンは幽閉の塔へ入れられたのだ。その間に新しい器を宿して、魂を移し替えようと考えた。
「ただね、さっきも話した通り……この人が失敗したの。キースは相手がいなくて作れないし、焦ってる間にあなたが定着してしまったわ」
ママが使えた魔法では定着を遅らせるだけ。パパがママを妊娠させることができず、さらににぃにも奥さん不在で失敗した、と。なんとも我が家族らしい顛末ね。いつも最後の一押しが足りないのよ。
「すまなかった。さすがに三日三晩頑張ったら、枯れた」
パパ、表現が露骨すぎるわ。親の寝室事情なんて、娘に語るものじゃない。情事中にうっかり足を踏み入れたみたいで、恥ずかしくなっちゃう。もっと包んで表現して頂戴。睨む私の視線に気づいたにぃにがフォローを入れる。
「父上は頑張ったんだ!」
絶妙にフォローしきれていない。そっちじゃなくて、表現の仕方が問題なのよ。指摘するのも面倒なので、にぃにが剥いた蜜柑を口に投げ込んだ。うっ、酸っぱい。
「王族って代償になるの?」
「ええ。人の魂を動かすために、人の魂を消費するわ。王族を使ったのは、償わせるためよ」
ママの説明で、王族を使う理由は復讐だと知れた。消費された魂は長い時間苦しんで、元の形に戻る。その間は生まれ変わることも出来ないし、世界に干渉も不可能だった。そこまで聞いて、嫌な考えが浮かぶ。
「ママ……メレディスの魂も使った?」
「もちろんよ! 念入りにすり潰して最後の一滴まで絞ってやったわ」
得意げなママが怖い。なにそれ、他の魂よりズタボロにされたって意味よね。
「私が復讐したかったのに」
「私達の小さなお姫様、あなたが手を汚すことないの」
「そうだぞ、クズのためにグロリアの魂が傷付いたら取り返しが付かない」
ムッとした口調で、にぃにも付け足した。愛されてるなぁ……前世以上にそう思う。ともあれ、私は勢いでリリアンの胎児に宿り、その後取り出し損ねて今に至ったわけで。出会えてよか……あれ?
違和感を覚えた。順番に考えていくと何かおかしい。だって、リリアンの胎児が私だと知ってるのに、どうしてすぐに保護しなかったんだろう。
この疑問を素直にぶつけた。
「私をすぐに迎えに来なかったのは、どうして?」
結論として、爆発で吹き飛ばされた私の魂は、聖女リリアンの胎児に宿った。納得できないママは、爆発で死んだ王族の魂を代償に、魂の固定を妨げたらしい。この辺の技術は、お祖父様の許可がないと話せないのだとか。王族に伝わる秘術かしら。
人には魔力の色や質がある。それは生まれ変わっても変化しない本質と呼ばれ、ママは私がリリアンの中に宿ったことを確信した。だからリリアンは幽閉の塔へ入れられたのだ。その間に新しい器を宿して、魂を移し替えようと考えた。
「ただね、さっきも話した通り……この人が失敗したの。キースは相手がいなくて作れないし、焦ってる間にあなたが定着してしまったわ」
ママが使えた魔法では定着を遅らせるだけ。パパがママを妊娠させることができず、さらににぃにも奥さん不在で失敗した、と。なんとも我が家族らしい顛末ね。いつも最後の一押しが足りないのよ。
「すまなかった。さすがに三日三晩頑張ったら、枯れた」
パパ、表現が露骨すぎるわ。親の寝室事情なんて、娘に語るものじゃない。情事中にうっかり足を踏み入れたみたいで、恥ずかしくなっちゃう。もっと包んで表現して頂戴。睨む私の視線に気づいたにぃにがフォローを入れる。
「父上は頑張ったんだ!」
絶妙にフォローしきれていない。そっちじゃなくて、表現の仕方が問題なのよ。指摘するのも面倒なので、にぃにが剥いた蜜柑を口に投げ込んだ。うっ、酸っぱい。
「王族って代償になるの?」
「ええ。人の魂を動かすために、人の魂を消費するわ。王族を使ったのは、償わせるためよ」
ママの説明で、王族を使う理由は復讐だと知れた。消費された魂は長い時間苦しんで、元の形に戻る。その間は生まれ変わることも出来ないし、世界に干渉も不可能だった。そこまで聞いて、嫌な考えが浮かぶ。
「ママ……メレディスの魂も使った?」
「もちろんよ! 念入りにすり潰して最後の一滴まで絞ってやったわ」
得意げなママが怖い。なにそれ、他の魂よりズタボロにされたって意味よね。
「私が復讐したかったのに」
「私達の小さなお姫様、あなたが手を汚すことないの」
「そうだぞ、クズのためにグロリアの魂が傷付いたら取り返しが付かない」
ムッとした口調で、にぃにも付け足した。愛されてるなぁ……前世以上にそう思う。ともあれ、私は勢いでリリアンの胎児に宿り、その後取り出し損ねて今に至ったわけで。出会えてよか……あれ?
違和感を覚えた。順番に考えていくと何かおかしい。だって、リリアンの胎児が私だと知ってるのに、どうしてすぐに保護しなかったんだろう。
この疑問を素直にぶつけた。
「私をすぐに迎えに来なかったのは、どうして?」
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